WFRD NASDAQ 油田サービス

ウェザーフォード・インターナショナル

人工採油・改修に強い油田サービス4番手。破綻後に負債を約8割削減、ROICは大手最高水準。ベネズエラ再参入は2027年からの上乗せ要素。

01 / OVERVIEW

スナップショット

株価

$84.03

2026/9/22 終値(前日比+2.23%)

時価総額

約$6.04bn

発行済 71.69百万株

PER(TTM/予想)

16.7倍/13.5倍

TTM EPS $5.07、予想PERは13.48倍

PBR/EV/EBITDA

3.30倍/7.03倍

EV 約$6.56bn

配当利回り

1.30%

年$1.10(四半期$0.275)

52週レンジ

$60.84〜$113.15

現値は高値から約26%下

出典:stockanalysis.com(statistics、overview、2026/9/22終値ベースで取得)。ウェザーフォード(Weatherford International plc、NASDAQ: WFRD)は、油井の掘削・仕上げ・生産維持に使う機器とサービスを提供する油田サービス会社で、SLB・ハリバートン・ベーカー・ヒューズに次ぐ「4番手」にあたる。2019年に連邦破産法第11章(チャプター11)を申請し、約$6.2bnの債務を削減して同年12月に再生した。今回取り上げた理由はベネズエラで、2026年1月のマドゥロ拘束、8月31日のNABEP合意を経て原油増産が政策課題になった。同社は第2四半期の決算説明会で「最初に立ち上がるのは人工採油(アーティフィシャル・リフト)とインターベンション」「ピーク時のベネズエラ売上は約5億ドル」「2027年にはより目に見える寄与」と話している。ただし足元の業績は中東の混乱(イラン紛争)とメキシコの減速で減収が続いており、ベネズエラの寄与は2026年のガイダンスに入っていない。
日本の証券会社での取扱:未確認。株探US(us.kabutan.jp)など日本語の情報サイトにWFRDのページはあるが、SBI証券の取扱銘柄一覧は取得できた範囲にWで始まる銘柄が含まれておらず、楽天証券・moomoo証券のページは取得エラーで確認できなかった。取引前に各社の取扱銘柄検索で確認する必要がある。

02 / SEGMENT

事業ごと・国/エリアごとの売上高比率

事業セグメント別 売上高(2025年12月期、合計$4,918m)

WCC(坑井建設・仕上げ) $1,875m / 38.1% DRE(掘削・評価) $1,371m / 27.9% PRI(生産・インターベンション) $1,340m / 27.2% その他 $332m / 6.8%

事業セグメント別 調整後EBITDA(2025年12月期)

WCC $515m(マージン27.5%) DRE $309m(マージン22.5%) PRI $257m(マージン19.2%) その他 $42m(マージン12.7%)

地域別 売上高(2025年12月期)

中東・北アフリカ・アジア $2,116m / 43.0% 北米 $983m / 20.0% 欧州・サブサハラ・ロシア $921m / 18.7% 中南米 $898m / 18.3%

地域別 売上高の変化($m)

地域FY2024FY2025前年比Q2 2026前年同期比
北米1,046983-6.0%205-15%
中南米1,393898-35.5%197+1%
中東・北アフリカ・アジア2,1232,116-0.3%446-15%
欧州・サブサハラ・ロシア951921-3.2%257+5%
合計5,5134,918-10.8%1,105-8%

出典:2025年第4四半期決算リリース(SEC EX-99.1)、2026年第2四半期決算リリース(GlobeNewswire)。比率・マージンは当ページで計算。
3つの事業はほぼ3等分で、稼ぎ頭はWCC(ケーシング・チュービング作業、ライナーハンガー、仕上げ機器など)。WCCは売上の38%、セグメントEBITDAの46%を占め、マージンも27.5%と最も高い。今回のテーマで重要なのはPRI(人工採油、インターベンション、坑井サービス、生産最適化ソフト)で、ベネズエラで最初に動く事業として会社が名前を挙げている。ただしPRIは3事業のうちマージンが最も低い(19.2%)。
地域では中東・北アフリカ・アジアが43%で最大。2025年の中南米は前年から35.5%減と大きく落ちた。報道(BNamericas、2026/7/22)はメキシコの減速を要因として挙げているが、国別の数字は開示されていないため、メキシコの減収額は未確認。国別売上高(ベネズエラ単体を含む)も開示されていない。

03 / HISTORY

創業からの歴史

創業は1941年。Jesse E. Hall Sr.がテキサス州ウェザーフォードで「Weatherford Spring Company」を始めたのが起点で、社名はこの町の名前に由来する。現在の会社の骨格は1987年以降の買収戦略でつくられ、1998年にEnergy Ventures(1990年にEVIへ改称)と合併して「Weatherford International」となった。Wikipediaの整理では、1987年以降の買収は300件を超える。
2000年代は買収で規模を広げると同時に、登記地を移していった。2008年にバミューダからスイスへ、2014年4月にアイルランドへ登記を移し、実際の本社機能はヒューストンに置いた。売上は2012〜2014年に年$15bn前後まで膨らんだが(companiesmarketcap集計で2013年$15.26bn)、その裏で借入が積み上がった。2016年9月には、法人税の会計処理をめぐりSECと$140mで和解している。
2014年後半からの原油価格の急落で、この借入が重荷になった。売上は2016年に$5.75bnまで縮み、2016〜2018年は3年続けて税引前で$2.6〜2.9bnの赤字を出した。2018年末には株主資本がマイナス$3,666m(債務超過)、総負債(有利子)は$7,988mに達した。2019年7月1日にチャプター11を申請し、同年12月13日に約$6.2bnの債務を削減して再生した。旧株は消却され、フレッシュスタート会計が適用された。
再生後はNYSE上場が廃止され、2021年6月2日にNASDAQへ「WFRD」として再上場した。2020年10月に就任したGirish Saligram氏のもとで、利益率の改善と借入の返済を優先した。2024年7月には初めての配当(四半期$0.25)と3年$500mの自社株買い枠を発表し、2025年9月には格付け3社が揃って格上げした。2026年9月3日には株主がデラウェア州への登記移転(米国への回帰)を承認しており、完了は2026年第4四半期(アイルランド高等裁判所の承認が条件)の予定である。

出典:Wikipedia「Weatherford International」(en.wikipedia.org)、companiesmarketcap(売上推移)、SEC プレスリリース2016-194(sec.gov)、2019年第4四半期決算リリース(PR Newswire)、2019年第1四半期10-Q(SEC)、配当開始(GlobeNewswire 2024/7/23)、格上げ(GlobeNewswire 2025/9/22)、デラウェア移転承認(GlobeNewswire 2026/9/3)。

04 / MISSION, VISION, VALUE

ミッション・ビジョン・バリュー

公式サイトの「Who We Are」が掲げるミッションは「Producing energy for today and tomorrow(今日と明日のエネルギーを生み出す)」。ビジョンは、エネルギーサービスのグローバルリーダーとして、革新的で持続可能な技術によりオペレーター(石油会社)の価値最大化・業務の効率化・安全性向上を助けることとしている。
コアバリューは4つ。①Passion(業界に良い影響を与える仕事への情熱)、②Accountability(誠実さと信頼性をもって行動する)、③Innovation(会社と顧客を前に進める技術革新)、④Value Creation(技術とオペレーションの卓越によって長期的な価値をつくる)。あわせて、部門の壁を越えて協力する「One Weatherford」という文化を打ち出している。
推察:4つのうち「Accountability」と「Value Creation」は、SEC和解(2016年)と破綻(2019年)を経た会社が掲げる言葉としては分かりやすい。現経営陣が決算説明で繰り返す「マージン」と「フリーキャッシュフロー転換率」は、この2つのバリューを数字に置き換えたものと読める。

出典:Weatherford「Who We Are」(weatherford.com)。

05 / LEADERSHIP

現経営者の特徴・過去の実績(レジリエンスの観点)

Saligram氏就任前後の主要指標($m)

指標FY2020(就任年)FY2025変化
売上高3,6854,918+33%
調整後EBITDA4591,0672.3倍
調整後EBITDAマージン12.5%21.7%+9.2pt
純利益-1,921431黒字化
有利子負債2,6141,485-43%
ネット負債(負債−現金)1,496498-67%
株主資本9371,696+81%
株主還元(配当+自社株買い)01732024年に開始
社長兼CEOはGirish K. Saligram(ギリシュ・サリグラム)氏。2020年9月10日に任命が発表され、同年10月に就任した。前職は圧縮機サービス会社Exterranの最高執行責任者(COO)で、それ以前はGEに約20年在籍し、GEヘルスケアで12年、GEオイル&ガスで下流製品・サービス部門のゼネラルマネジャーや、イタリア・フィレンツェを拠点とする契約サービス事業の責任者を務めた。注意点として、チャプター11の申請と再生(2019年)は前任のMark McCollum氏の時代であり、Saligram氏は再生直後、コロナ禍で売上が29%減った2020年に着任している。
レジリエンスの観点では、就任時の出発点は厳しかった。2020年は営業損失$1,486m、純損失$1,921m、有利子負債$2,614m。ここから同氏は、①不採算の国・製品からの撤退と価格規律による利益率の改善、②設備投資を売上の3〜5%台に抑えたキャッシュ創出、③借入の繰上げ返済、の3つを進めた。結果として調整後EBITDAマージンは2020年の12.5%から2024年に25.1%へ上がり、2023年から3年連続で純利益$400m超を計上した。2024年に配当を始め、2025年9月にはMoody’sがBa2、S&PとFitchがBBへ格上げした(いずれも投資適格の一段下)。
2026年は2度目の試練になっている。イラン紛争による中東の操業停止・物流混乱で、上半期に$30〜50mの利益影響が出たと会社は説明しており、第2四半期の純利益は前年同期比71%減の$39mだった。ただし同じ四半期の調整後フリーキャッシュフローは$139m(前年同期比+76%)で、会社予想のレンジ上限付近の売上を出している。推察:「利益は落ちてもキャッシュは落とさない」という運営は、破綻を経験した会社の経営としては筋が通っている。一方で、減収局面でNCS Multistage買収(株式対価中心)とデラウェア移転を同時に進めており、実行の負荷は小さくない。

出典:CEO任命リリース(PR Newswire 2020/9/10)、2020年通期決算(PR Newswire)、2025年通期決算(SEC)、格上げ(GlobeNewswire)、2026年第1四半期説明会(Motley Fool)、第2四半期決算(GlobeNewswire)。FY2020の調整後EBITDAマージンとネット負債は当ページで計算(459÷3,685、有利子負債−現金。FY2025は987を控除した値で、制限付き現金も控除した会社発表のネット負債は$443m)。

06 / LATEST EARNINGS

直近決算の予想・ガイダンスに対する結果

2026年第2四半期(4〜6月):会社予想・市場予想と実績

指標会社予想(Q1決算時)市場予想実績判定
売上高$1,017m〜$1,110m$1.07bn$1,105m(前年比-8%)レンジ上限付近/予想超え
調整後EBITDA$195m〜$220m未確認$223m(マージン20.2%)レンジ上限を上回る
希薄化後EPS―$0.90$0.55(前年比-70%)市場予想を下回る
調整後FCF――$139m(転換率62.3%)前年同期比+76%
ネットレバレッジ――0.34倍ネット負債$343m

2026年通期ガイダンスの推移

項目Q1決算時(2026/4)Q2決算時(2026/7)Q3ガイダンス
売上高$4.50bn〜$4.95bn$4.54bn〜$4.80bn(中央値$4.67bn)$1,105m〜$1,155m
調整後EBITDA$945m〜$1,075m$951m〜$1,046m(中央値で約1%引き下げ)$235m〜$265m
調整後FCF転換率40%台半ば40%台半ば〜後半へ引き上げ―
実効税率20%台前半〜半ば20%台前半〜半ば―

2026年第2四半期 セグメント別($m)

セグメント売上高前年同期比調整後EBITDA前年同期比
DRE291-13%58-16%
WCC433-5%107-9%
PRI316-3%70+11%
売上とEBITDAは会社予想の上限付近、EPSは市場予想を大きく下回ったという、ちぐはぐな四半期だった。EPS $0.55は、営業利益が前年同期比55%減の$107mに落ちたためで、決算リリースは中東(イラン紛争)による操業停止と物流混乱、インドネシアの減速、一部地域の価格圧力、ノルウェーのストライキを挙げている。それでも時間外で株価は9.49%上がり$91.23をつけた(Investing.com)。市場は利益の落ち込みよりも、調整後FCF $139m、FCF転換率見通しの引き上げ、第3四半期に「少なくとも100bpのマージン改善」を見込むガイダンスを評価したと読める。
セグメントでは、PRIだけがEBITDAを前年同期比+11%と伸ばした(前四半期比では+30%)。売上は北米と中南米の人工採油の減少で3%減ったが、利益率は改善している。通期ガイダンスは売上レンジの上限を$4.95bnから$4.80bnへ下げ、EBITDA中央値もわずかに下げた。ベネズエラは2026年の数字にほぼ入っていない:第4四半期決算説明会(2026年2月)でSaligram氏は「ガイダンスにベネズエラの上振れは一切織り込んでいない」と話している。次回決算は2026年10月20日の予定(stockanalysis.com)。

出典:2026年第2四半期決算リリース(GlobeNewswire 2026/7/21)、第2四半期決算説明会(Benzinga全文、Investing.com)、第1四半期決算説明会(Motley Fool)、第4四半期決算説明会(Motley Fool)。市場予想はInvesting.comの記載値。2026年2月時点の当初通期ガイダンス(数値)は未確認。

07 / REVENUE & PRETAX PROFIT

売上高・税引前利益の推移(直近10年間)

売上高(FY2016〜FY2025、12月期、$m)

5,749 FY16 5,699 FY17 5,744 FY18 5,215 FY19 3,685 FY20 3,645 FY21 4,331 FY22 5,135 FY23 5,513 FY24 4,918 FY25

税引前利益($m)※FY2019は再生時の債務免除益を含む

-2,877 FY16 -2,656 FY17 -2,757 FY18 3,804 FY19 -1,814 FY20 -343 FY21 138 FY22 506 FY23 739 FY24 554 FY25

10年データ表($m)

年度売上高営業利益税引前利益純利益(親会社帰属)営業利益率
FY165,749-2,250-2,877-3,392-39.1%
FY175,699-2,130-2,656-2,813-37.4%
FY185,744未確認-2,757-2,811未確認
FY195,215-1,1813,8043,635-22.6%
FY203,685-1,486-1,814-1,921-40.3%
FY213,645116-343-4503.2%
FY224,331412138269.5%
FY235,13582050641716.0%
FY245,51393873950617.0%
FY254,91875655443115.4%
TTM(2026/6)4,778647(stockanalysis)未確認36613.5%

出典:各年第4四半期決算リリース——FY2016・FY2017(SEC EX-99.1 Q4 2017)、FY2018(Q4 2018)、FY2019・FY2020(Q4 2020)、FY2020・FY2021(Q4 2021)、FY2022・FY2023(Q4 2023)、FY2024・FY2025(Q4 2025)。TTMはstockanalysis.com(financials)。FY2019は前身会社(1/1〜12/13)と承継会社(12/14〜12/31)の合算で、税引前$3,804mには債務免除などの再生関連益が含まれる(前身会社単体ではroic.ai・companiesmarketcapが$3,819mと表示)。FY2016・FY2017の営業損失は決算リリース本文の概数($2.25bn、$2.13bn)。FY2018の営業損失は未確認。営業利益はstockanalysisの値(FY2023 $834m、FY2024 $980m等)と会社発表値で差があるため、会社発表値を採用した。
この10年は「縮小→破綻→立て直し→足踏み」の4幕である。FY2016〜FY2018は売上$5.7bn前後を保ちながら、減損と金利負担で毎年$2.6〜2.9bnの税引前赤字を出した。FY2019の黒字は再生の会計上の益で、本業の黒字ではない。コロナ禍のFY2020に売上は$3.7bnまで縮み、FY2021は営業黒字に戻ったが税引前は赤字。FY2022に税引前黒字化し、FY2024に売上$5.5bn・税引前$739mでピークをつけた。FY2025は売上-10.8%、税引前-25%と下がり、2026年も減収が続いている。破綻前と同じ売上規模に戻った時点で、税引前利益は$-2.8bnから$+0.7bnへと約$3.5bn改善しており、これは借入の削減(利払いの減少)とコスト構造の見直しによるものである。

08 / VALUATION

PERの推移(直近10年間)

期末PER(倍)※赤字年は算出不能、表示上限40倍

算出不能 FY16 算出不能 FY17 算出不能 FY18 算出不能 FY19 算出不能 FY20 算出不能 FY21 138.3(上限超) FY22 16.9 FY23 10.3 FY24 13.0 FY25 16.7 現在

年度別 EPS・PER

年度希薄化後EPS($)期末PER備考
FY16-3.82算出不能純損失
FY17-2.84算出不能純損失
FY18未確認算出不能純損失
FY19―(旧株消却)算出不能再生益で一時黒字・旧株消却
FY20-27.44算出不能純損失
FY21-6.43算出不能純損失
FY220.36138.28倍EPSが極小
FY235.6616.92倍―
FY246.7510.29倍―
FY255.9313.03倍―
2026/9/22(TTM)5.0716.70倍―
2026/9/22(予想)―13.48倍アナリスト予想EPSベース
算出方法:FY2022〜FY2025の期末PERと現在のPERはstockanalysis.comの表示値。FY2016〜FY2018、FY2020〜FY2021は純損失のため「算出不能」。FY2019は再生時の債務免除益で純利益が$3,635mの黒字になったが、旧株は消却されて新株が発行されており、1株当たりの比較に意味がないため算出不能とした。FY2022の138倍はEPSが$0.36と極小だったためで、割安・割高の判断材料にはならない。
PERで意味のある比較ができるのは直近4年だけである。FY2023の16.9倍からFY2024に10.3倍まで下がったのは、利益が伸びたのに株価が下がったため(時価総額は$7,055m→$5,204m)。市場は「油田サービスの利益は景気の山」と見て、最高益に低い倍率をつけた。現在はTTM 16.7倍・予想13.5倍で、FY2025の13.0倍とほぼ同水準。推察:予想PER 13.5倍は2026年の減益(中東の影響込み)を前提にした数字で、ベネズエラの寄与はほとんど入っていない。同業の予想PER(SLB 18.5倍、HAL 13.1倍、BKR 21.4倍、第13節)と比べると、HALと同じ水準、SLB・BKRより低い位置にある。

出典:stockanalysis.com(ratios、statistics)、各年決算リリース(EPS)。FY2018の通期EPSは未確認。

09 / ROIC & WACC

ROIC・WACCの推移(直近10年間)

ROIC(当ページ試算)とWACC(当ページ試算)(%)

-26.1 -32.7 未確認 -26.5 -61.1 5.9 17.2 35.1 37.0 27.2 8.8 8.9 9.1 8.4 7.4 7.7 8.9 10.0 10.3 10.0 FY16 FY17 FY18 FY19 FY20 FY21 FY22 FY23 FY24 FY25 ROIC(試算) WACC(試算)

年度別 NOPAT・投下資本・ROIC・WACC($m)

年度NOPAT投下資本(有利子負債+株主資本−現金)ROICWACCスプレッド
FY16-2,2508,613-26.1%8.8%-34.9pt
FY17-2,1306,505-32.7%8.9%-41.7pt
FY18未確認3,720未確認9.1%未確認
FY19-1,1814,462-26.5%8.4%-34.9pt
FY20-1,4862,433-61.1%7.4%-68.5pt
FY211161,9735.9%7.7%-1.8pt
FY223251,88917.2%8.9%+8.4pt
FY236481,84735.1%10.0%+25.0pt
FY247412,00137.0%10.3%+26.7pt
FY255972,19427.2%10.0%+17.2pt

WACCの前提(年度別)

年度無リスク金利(米10年債)株主資本コスト負債コスト(税前)負債比率税率WACC
FY162.43%9.58%8.43%(+6pt)70%(仮定)0%(赤字)8.78%
FY172.58%9.73%8.58%(+6pt)70%(仮定)0%(赤字)8.93%
FY182.71%9.86%8.71%(+6pt)70%(仮定)0%(赤字)9.05%
FY191.76%8.91%7.76%(+6pt)43%(簿価)0%(赤字)8.42%
FY201.08%8.23%7.08%(+6pt)74%(簿価)0%(赤字)7.38%
FY211.76%8.91%6.76%(+5pt)56%(時価)0%(赤字)7.72%
FY223.53%10.68%7.53%(+4pt)38%(時価)21%8.86%
FY234.06%11.21%7.06%(+3pt)21%(時価)21%10.02%
FY244.63%11.78%7.13%(+2.5pt)24%(時価)21%10.31%
FY254.21%11.36%6.21%(+2pt)21%(時価)21%10.01%

試算方法(すべて当ページの仮定):
・ROIC=NOPAT÷投下資本。NOPAT=営業利益×(1−21%)。営業赤字の年とFY2019・FY2021(税引前赤字)は税の効果をゼロとした。投下資本=期末の有利子負債+株主資本(非支配持分を含む)−現金。
・WACC=株主資本コスト×株式比率+負債コスト×(1−税率)×負債比率。株主資本コスト=無リスク金利+β1.3×市場リスクプレミアム5.5%(βとプレミアムは全期間一定の仮定)。無リスク金利は翌年1月の米10年債利回り(multpl.com、年末値の近似)。負債コストは無リスク金利に信用スプレッドを足した仮定値(破綻前後6pt→2025年2pt、2025年9月の格上げを反映)。負債比率はFY2021〜FY2025が時価総額(stockanalysis)ベース、FY2019〜FY2020は時価総額未確認のため簿価、FY2016〜FY2018は債務超過で簿価が使えないため70%と置いた。
・参考:stockanalysis.comが表示する現在のWACCは8.55%、ROICは23.28%(算出方法は同サイト準拠で当ページと異なる)。
読み方。ROICがWACCを上回ったのはFY2022からで、FY2023〜FY2024は35〜37%とWACC(約10%)の3倍を超えた。投下資本が$1.8〜2.2bnと小さいのは、破綻で借入が消え、その後も設備投資を抑えてきたためである。FY2025は27.2%に下がったが、なおWACCを約17pt上回る。推察:ROICの高さの一部は「再生で資本が小さくなった」ことの効果で、今後M&Aや設備投資を増やせば分母が膨らむ。NCS Multistage買収(株式対価)は分母を増やす方向に働く。

10 / ROE

ROEの推移(直近10年間)

ROE(純利益÷期首・期末平均株主資本、%)

-105.5% FY16 債務超過 FY17 債務超過 FY18 債務超過 FY19 -99.7% FY20 -62.8% FY21 5.0% FY22 56.6% FY23 45.9% FY24 28.9% FY25

年度別 ROE($m)

年度純利益期首株主資本期末株主資本ROE
FY16-3,3924,3652,068-105.5%
FY17-2,8132,068-571算出不能(債務超過)
FY18-2,811-571-3,666算出不能(債務超過)
FY193,635-3,6662,916算出不能(期首が債務超過・再生益)
FY20-1,9212,916937-99.7%
FY21-450937496-62.8%
FY22264965515.0%
FY2341755192256.6%
FY245069221,28345.9%
FY254311,2831,69628.9%

出典:株主資本は各年決算リリース(FY2016〜FY2025)、FY2015末($4,365m)はroic.ai(roic.ai)。ROEは当ページで計算。株主資本は非支配持分を含む合計額。stockanalysis.comの表示値(FY2025 30.68%、FY2024 49.89%、FY2023 60.96%)とは計算方法の違いで差がある。
FY2017〜FY2019の3年間は債務超過(FY2017末 -$571m、FY2018末 -$3,666m)でROEは算出できない。FY2023の56.6%は、株主資本が$551m→$922mと小さいところに純利益$417mが乗った結果で、収益力というより「資本が薄い」ことの表れである。FY2025は28.9%まで下がったが、株主資本が$1,696mまで積み上がったことが主因。推察:今後ROEは、利益が横ばいでも資本の積み上がりで緩やかに下がっていく構造にある。配当と自社株買いをどこまで増やすかがROE水準を左右する。

11 / CASH FLOW

営業・投資・財務・フリーキャッシュフローの推移(直近10年間)

キャッシュフロー4種(FY2016〜FY2025、$m)

? FY16 FY17 FY18 FY19 FY20 FY21 FY22 FY23 FY24 FY25 営業CF 投資CF 財務CF FCF

年度別 キャッシュフロー($m)

年度営業CF投資CF財務CF設備投資FCF(営業CF−設備投資)
FY16-304-1371,061未確認未確認
FY17-388-6220225-613
FY18-242122168217-459
FY19-686135747270-956
FY20210-7534815456
FY21322-83-40385237
FY22349-54-248132217
FY23832-289-514209623
FY24792-293-511299493
FY25676-145-474226450
H1 2026311未確認未確認未確認(Q2単体$42m)未確認(Q2調整後FCF $139m)

出典:FY2018〜FY2025は各年第4四半期決算リリース(FY2019は前身・承継の合算)。FY2016・FY2017の営業CF・投資CF・財務CFはroic.ai(roic.ai)の値で、会社資料での照合はできていない(FY2018の値は会社資料と一致)。設備投資はFY2017が$225m(Q4 2017リリース)、FY2018が$217m(有形固定資産$186m+売却予定資産$31m)。FY2016の設備投資とFCFは未確認。FCFは当ページで「営業CF−設備投資」と定義しており、会社の「調整後FCF」(資産売却収入を加える。FY2025 $466m、FY2020 $78m)とは異なる。
キャッシュの流れは破綻の前後で逆転した。FY2016〜FY2019は営業CFがマイナスで、足りない分を借入(財務CFのプラス)と資産売却(投資CFのプラス)で埋めていた。FY2020以降は営業CFがプラスに転じ、FY2021からは財務CFが毎年$250〜510mのマイナス——つまり借入の返済と、2024年からは配当・自社株買いに回っている。FY2023〜FY2025の営業CFは$676〜832m、FCFは$450〜623mで、時価総額(約$6.0bn)に対するFCF利回りは約7.5〜10%になる(当ページ計算)。

12 / INVESTMENT & M&A

直近の投資・M&A状況

主な投資・M&A(直近)

時期内容規模・条件狙い
2024年2月完了Ardyne(英)、ISI Holding、Probe Technologiesを取得金額非開示坑井の廃坑・スロット回収(Ardyne)、坑井内計測(Probe)
2024年9月Datagration Solutions取得金額非開示データ統合・機械学習を既存ソフト(ForeSite、CygNet、CENTRO)に統合
2024年7月株主還元方針:配当開始(四半期$0.25)+3年$500mの自社株買い枠2025年は配当$72m+自社株買い$101m資本配分の正常化
2026年6月1日発表NCS Multistage Holdings(NASDAQ: NCSM)買収で合意NCS 1株=WFRD 0.463株相当(最大19.99%現金)。報道ベースの取引額約$113.78m、EBITDA倍率8.88倍(InsideArbitrage)北米シェールの仕上げ(多段フラクチャリング)製品の拡充、年$15m以上のコストシナジー(18カ月以内)
2026年9月3日承認アイルランド→米デラウェア州への登記移転2027年から年$20〜30mの現金節約見込みコスト削減、米国株インデックスへの組み入れ余地(推察)
Saligram体制のM&Aは「小さく、技術を足す」型である。2024年のArdyne・Probe・Datagrationはいずれも金額非開示の小型案件で、年間の投資CF($145〜293m)の範囲に収まっている。2026年のNCS Multistageは、同社としては久しぶりの上場企業買収で、対価の大半を自社株で払う。会社は「調整後FCF/株を即座に押し上げる」と説明している。
推察:NCSは北米シェール向けの仕上げ製品が中心で、ベネズエラのテーマとは直接関係しない。ただしNCSの販売網を同社の世界拠点(6大陸)に乗せる「流通プレイ」と経営陣自身が説明しており、中南米への展開余地はある。破綻前の同社は300件超の買収で膨張して行き詰まった歴史があり、今回のような株式対価・小型の案件にとどまるかどうかは、投資家が見ておくべき点である。

出典:Ardyne(MarketScreener)、Datagration(Weatherford IR 2024/9/3)、還元方針(GlobeNewswire 2024/7/23)、NCS(GlobeNewswire 2026/6/1、InsideArbitrage)、第2四半期説明会(Benzinga)、デラウェア移転(GlobeNewswire 2026/9/3)。NCSの売上規模・会社発表の取引総額は未確認。

13 / SEGMENT GROWTH

主要事業ごとの成長性

セグメント別 売上高の推移(FY2020〜FY2025、$m)

FY20 FY21 FY22 FY23 FY24 FY25 WCC DRE PRI
セグメントFY20FY21FY22FY23FY24FY25
WCC1,4141,3531,5211,8001,9761,875
DRE1,0441,0661,3281,5361,6821,371
PRI1,1061,1271,3951,4721,4521,340

セグメント別 成長率とEBITDAマージン

セグメントFY20→FY24 年率FY25 前年比EBITDAマージン FY23/FY24/FY25Q2 2026 前年同期比(売上/EBITDA)
WCC(坑井建設・仕上げ)+8.7%-5.1%25.3%/28.5%/27.5%-5%/-9%
DRE(掘削・評価)+12.7%-18.5%27.5%/27.8%/22.5%-13%/-16%
PRI(生産・インターベンション)+7.0%-7.7%21.9%/22.0%/19.2%-3%/+11%
WCC:最大かつ最も安定したセグメント。FY2025の減収は-5.1%と3事業で最も小さく、マージン27.5%を維持した。ケーシング・チュービング作業やライナーハンガーなど「井戸を造る」工程の機器・サービスで、NCS Multistage買収(多段フラクチャリング用製品)はこのセグメントを厚くする。
DRE:FY2020〜FY2024に年率12.7%で最も伸びたが、FY2025は-18.5%と最も落ちた。管理圧力掘削(MPD)、指向性掘削、ワイヤーライン検層など掘削の稼働(リグ数)に直結する事業で、景気の振れが最も大きい。
PRI:人工採油(ロッドリフト、プログレッシブ・キャビティ・ポンプ=PCP、ESPなど)、インターベンション、坑井サービス、生産最適化ソフト(ForeSite、CygNet)。成長率は最も低いが、既存井戸の生産維持が中心なので掘削より景気に強い。2026年第2四半期はEBITDAが前年同期比+11%、前四半期比+30%と3事業で唯一伸びた。ベネズエラで会社が「最初に動く」と明言しているのはこの事業である。

出典:FY2020・FY2021(Q4 2021リリース)、FY2022・FY2023(Q4 2023リリース)、FY2024・FY2025(Q4 2025リリース)、Q2 2026(GlobeNewswire)。成長率・マージンは当ページで計算。FY2020〜FY2022のセグメントEBITDAは未取得。

14 / COMPETITIVE POSITION

競争優位性や業界内でのポジション(SLB・HAL・BKRとの比較)

大手4社比較(2026/9/22時点、TTM)

項目Weatherford(WFRD)SLBHalliburton(HAL)Baker Hughes(BKR)
時価総額$6.04bn$77.35bn$27.40bn$56.84bn
売上高(TTM)$4.78bn$36.37bn$22.37bn$27.73bn
EBITDA(TTM)約$0.93bn(EV/EBITDAから逆算)$7.38bn$4.14bn$4.84bn
営業利益率13.5%14.16%13.29%12.79%
PER(TTM)16.70倍25.27倍17.51倍18.59倍
予想PER13.48倍18.45倍13.10倍21.41倍
EV/EBITDA7.03倍11.65倍8.21倍11.52倍
ROIC(stockanalysis)23.28%11.59%13.46%16.16%
ROE(stockanalysis)22.79%12.91%14.92%16.46%
規模は4社で最小、資本効率は最も高く、評価倍率は最も低い——これが同社の業界内の位置である。売上はSLBの約8分の1、ハリバートンの約5分の1しかない。一方、stockanalysisのROIC 23%は他3社(12〜16%)を大きく上回る。これは第9節で見たとおり、破綻で借入と資本がリセットされ、投下資本が小さいことが大きい。EV/EBITDA 7.0倍は4社で最も低い。
強みの中身。①WCCのケーシング・チュービング作業やライナーハンガー、DREの管理圧力掘削(MPD)など、特定工程に強い製品群を持つ。②PRIの人工採油は、2000年のリリースで同社自身が「人工採油システムの世界的リーディングプロバイダー」と称していた古くからの事業で、ベネズエラのオリノコ重質油帯では2000年にPetrozuata(PDVSAとConocoの合弁)向けにPCPシステムの複数年契約を受注している。③中東・北アフリカ・アジアが売上の43%を占め、国営石油会社との長期契約が多い。
弱み。①規模が小さく、一括請負型の大型案件(統合プロジェクト)ではSLB・HALに劣る。②中東への依存度が高く、2026年はイラン紛争の直撃を受けた。③ベネズエラの人工採油では、ベーカー・ヒューズが「同国で人工採油と回転機器の最大の設置基盤を持つ」と主張しており(World Oil 2026/1/23)、ハリバートンのCEOは「数週間で動員できる」と述べている。ベネズエラでWeatherfordが優位に立てるかは未確認であり、4社が同時に再参入を狙う競争になる。現在の人工採油の世界シェアの数値は未確認。

出典:stockanalysis.com(WFRD、SLB、HAL、BKR、いずれも2026/9/22取得。HALの株価は同日10:21時点)、Weatherford 2000/2/23リリース(weatherford.com)、World Oil(worldoil.com 2026/1/23)。WFRDのEBITDAはEV $6.56bn÷7.03倍で当ページが逆算。

15 / SCP ANALYSIS

SCP理論からの分析(市場構造・企業行動・業界トレンド)

Structure(市場構造)

油田サービス市場は、SLB・HAL・BKRの3強とWeatherfordを含む4社寡占に、地域の中小サービス会社が並ぶ構造である。買い手は国営石油会社(サウジアラムコ、ADNOC、PDVSAなど)と国際石油会社。国営石油会社は入札で価格を決めるため買い手の交渉力が強い。一方で、坑井仕上げ・人工採油・管理圧力掘削などは製品と現場技術者がセットで、据付実績と信頼性が参入障壁になる。ベネズエラについては、Reutersの報道(EnergyNow転載、2026/4/27)で2026年3月末の稼働リグがわずか2基(Baker Hughesリグ統計)、石油省は2028年までに93基が必要としており、サービス能力が明らかに不足している。

Conduct(企業行動・規制リスク)

業界の行動は「量より利益率」に変わった。Weatherfordは設備投資を売上の5%前後に抑え、FCFを借入返済と株主還元に回している。規制面では、①ベネズエラ向け取引は米財務省OFACの一般許可(GL46:2026/1/29、GL47:2026/2/3、いずれも原油取引・希釈剤の輸出が対象)の範囲内で動いており、油田サービス・機器輸出を明示的に許可する内容は確認できていない(Holland & Knight)。②8/31のNABEP合意は米政府(国防総省)が親会社株の35%を持ち、取締役の過半を米国籍とする異例の枠組みで、政権交代時の継続性がリスクになる。③同社自身はアイルランドから米デラウェア州への登記移転を進めており、米国企業としての立場は強まる方向にある。

Performance(業界トレンド・収益性への帰結)

トレンドは3つある。①北米シェールの成熟:掘削より既存井戸の生産維持(人工採油・インターベンション)の比重が上がる。②中東の国営石油会社の長期投資:2026年はイラン紛争で中断したが、サウジでは約40基の入札リグが2026年後半に戻る見込みと会社は説明していた(2026年2月時点)。③ベネズエラの再開:同国の生産は2026年4月時点で日量約110万バレル、年末目標137万バレル(Reuters/EnergyNow)。増産の制約は油層ではなく、ワークオーバー(改修)、人工採油、電力、希釈剤、リグの不足にある(World Oil、OilPrice.com)。推察:こうした「既存井戸をすぐ直す」需要は、掘削リグが揃うのを待たずに発生するため、PRIのような生産維持型の事業が最初に恩恵を受けやすい。ただし4社が同じ需要を狙っており、価格が上がるかどうかは支払いの確実性(誰がいつ払うか)に左右される。コンプレッション(ガス圧縮)がボトルネックであるとの具体的な資料は今回確認できていない(未確認)。

出典:EnergyNow/Reuters(energynow.com 2026/4/27)、World Oil(2026/1/23)、OilPrice.com(2026/7/14)、Holland & Knight(hklaw.com)、White House Fact Sheet(whitehouse.gov 2026/8/31)、第4四半期決算説明会(Motley Fool)。

16 / THEME

ルビオ外交・ベネズエラ再建テーマとの接点(事実と推察を分けて)

事実(確認できたこと)

日付出来事出典
2026/1/3米軍の作戦でマドゥロ大統領を拘束Wikipedia(2026 US intervention in Venezuela)
2026/1/23米政権が大手と「全面再建より迅速な井戸修理(ワークオーバー・人工採油・発電)」で協議。BKRは人工採油の最大設置基盤を主張World Oil
2026/1/29・2/3OFAC一般許可GL46(原油取引)・GL47(米国産希釈剤)Holland & Knight
2026/2(Q4決算説明会)Saligram氏「ピーク時のベネズエラ売上は5億ドル超」「インターベンション・坑井サービス・人工採油に中長期で大きな可能性」「ガイダンスには織り込まず」Motley Fool
2026/3末ベネズエラの稼働リグ2基(Baker Hughes統計)。保管中リグ9基以上を再整備中EnergyNow/Reuters
2026/7/21(Q2決算説明会)「最初は人工採油とインターベンション、坑井サービスから」「ピーク時は約5億ドル」「2027年に売上・利益へのより目に見える寄与」「数百万ドルから数千万ドルへ非線形に増える」Benzinga全文
2026/7/22Weatherfordがベネズエラで人員を増やしている、メキシコは縮小BNamericas
2026/8/31NABEPに17油田・100年のコンセッション。米政府が親会社株35%、生産の20%を原価で購入する権利。ルビオ国務長官とヘグセス長官が署名。最大$100bnの投資計画White House、CSIS

推察(当ページの解釈)

①「ピーク5億ドル」の重み:FY2025売上$4,918mに対して約10%。仮にピークの半分まで戻れば売上の5%前後になるが、会社自身が「すぐにはその水準に戻らない」「数百万ドルから数千万ドルへ」と話しており、2027年の寄与は数千万ドル規模と見るのが会社発言に沿った読み方である。
②ルビオ外交との接点:NABEP合意は国務長官自らが署名した「米国が管理するベネズエラ石油」の枠組みで、ホワイトハウスは「米国のリグとインフラで汲み上げる」と明記した。米国籍の油田サービス会社に有利な環境で、デラウェアへの移転を控えたWeatherfordもその対象に入る可能性がある。ただし、NABEPが実際にどのサービス会社を使うか、Weatherfordとの契約があるかは未確認。
③支払いリスク:Saligram氏は2月の時点で「統治、法律、支払いの見通し」を再参入の条件に挙げていた。メキシコ(PEMEX)で支払い遅延に苦しんだ経験を踏まえると、ベネズエラでも「売上は立つが現金が入らない」局面があり得る。
④未確認事項:「オリノコ向けにPCPポンプを納入した」という情報は、今回の調査では2026年の資料で確認できなかった(確認できたのは2000年のPetrozuata向けPCP契約のみ)。

出典:Wikipedia、World Oil、Holland & Knight、Motley Fool Q4 2025、EnergyNow、Benzinga Q2 2026、BNamericas、White House、CSIS。

17 / INVESTMENT THESIS

これらの分析結果をもとにした現在の投資妙味

まとめ:Weatherfordは「破綻で身軽になった4番手」であり、ベネズエラは2027年以降の上乗せ要素、足元の株価を決めているのは中東の回復と利益率である。予想PER 13.5倍、EV/EBITDA 7.0倍は大手3社より低く、ROICは3社より高い。この差は、規模の小ささ・中東依存・破綻の履歴に対する割引と読める。
前向きに見る材料(事実)。①ネットレバレッジ0.34倍、格付けはBa2/BB。破綻前の有利子負債$7,988mから$1,480mまで減った。②FCFは3年連続$450m超、2026年第2四半期の調整後FCFは前年同期比+76%。③配当(利回り1.30%)と自社株買い。④デラウェア移転で2027年から年$20〜30mの節約。⑤会社は「2027年は確実に成長の年」と述べ、第3四半期に100bp以上のマージン改善を見込む。⑥アナリスト12名の平均目標株価は$117.42(stockanalysis)。
慎重に見る材料(事実)。①2026年は減収減益で、通期売上ガイダンス中央値$4.67bnはFY2024比で約15%少ない。②第2四半期EPS $0.55は市場予想$0.90を大きく下回った。③中東の影響は「年後半に増える」と会社自身が述べている。④ベネズエラでは競合3社も再参入を狙い、BKRは最大の設置基盤を主張している。⑤株価は52週高値$113.15から約26%下にあり、50日・200日移動平均($88.41、$93.03)も下回っている。
推察:ベネズエラが同社の業績を大きく動かすのは早くても2027年後半以降で、その規模も当面は売上の1%前後(数千万ドル)にとどまる可能性が高い。このテーマで同社を見るなら、「破綻を経て財務が健全になった油田サービス会社が、中東の回復とPRIの利益率改善で2027年に増益に戻れるか」が本筋で、ベネズエラはその上に乗るオプション(選択肢)と位置づけるのが実態に近い。
18 / WATCH POINTS & RISKS

今後の注目ポイントやリスク要因

注目ポイント(日付)

① 2026年第3四半期決算(2026/10/20予定):ガイダンス(売上$1,105〜1,155m、調整後EBITDA $235〜265m)の達成、中東影響の大きさ、ベネズエラ関連の受注・人員の説明。
② NCS Multistage買収の完了(2026年下半期予定):シナジー$15m以上の進捗。
③ デラウェア移転の完了(2026年第4四半期予定):アイルランド高等裁判所の承認。米国株インデックスへの組み入れの可能性(推察・未確認)。
④ 2027年ガイダンス(2027年2月頃の第4四半期決算):会社が「成長の年」とする2027年の数字、ベネズエラを織り込むかどうか。
⑤ NABEPの発注先:どの油田サービス会社が起用されるか。
⑥ ベネズエラの稼働リグ数と生産量:2026年末目標の日量137万バレルに近づくか。

リスク要因

① 中東の地政学リスク:売上の43%を占める地域で、イラン紛争の影響は上半期$30〜50m、年後半に増える見通し。
② ベネズエラの政治・支払いリスク:NABEP枠組みの持続性、米国の政権交代、支払いの確実性。OFACの許可範囲が油田サービスに及ぶかも未確認。
③ 競争:SLB・HAL・BKRが同時に再参入。BKRは人工採油の最大設置基盤を主張。
④ 原油価格と顧客の投資抑制:北米・中南米の人工採油はすでに減少している。
⑤ M&Aの実行:株式対価の買収は希薄化を伴う。過去に買収で膨らんで破綻した経緯がある。
⑥ メキシコ:PEMEXの支払いと活動縮小。
⑦ ガバナンスの履歴:2016年のSEC和解($140m)、2019年のチャプター11。

出典:第2四半期決算リリース・説明会(GlobeNewswire、Investing.com)、stockanalysis.com(次回決算日)、NCS(GlobeNewswire)、デラウェア移転(GlobeNewswire)、EnergyNow(energynow.com)。

SOURCES

出典一覧

https://stockanalysis.com/stocks/wfrd/
https://stockanalysis.com/stocks/wfrd/statistics/
https://stockanalysis.com/stocks/wfrd/financials/
https://stockanalysis.com/stocks/wfrd/financials/ratios/
https://www.globenewswire.com/news-release/2026/07/21/3330988/0/en/Weatherford-Announces-Second-Quarter-2026-Results.html
https://www.globenewswire.com/news-release/2026/04/21/3278503/0/en/Weatherford-Announces-First-Quarter-2026-Results.html
https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1603923/000160392326000011/a2025-q4ex991earningsrelea.htm
https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1603923/000160392324000040/a2023-q4ex991earningsrelea.htm
https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/0001603923/000160392322000047/ex991q42021wfrdearningsrel.htm
https://www.prnewswire.com/news-releases/weatherford-announces-fourth-quarter-and-full-year-2020-results-301230391.html
https://www.prnewswire.co.uk/news-releases/weatherford-announces-fourth-quarter-and-full-year-2019-results-815141152.html
https://ycharts.com/news/story/PRN-DA40547-20190201
https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1603923/000160392318000020/ex991q42017wftearningsrele.htm
https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1603923/000160392319000063/wftq1201910-q033119.htm
https://www.benzinga.com/news/26/07/60607420/full-transcript-weatherford-international-q2-2026-earnings-call
https://www.investing.com/news/transcripts/earnings-call-transcript-weatherford-rises-on-q2-2026-cash-flow-and-guidance-93CH-4806141
https://www.fool.com/earnings/call-transcripts/2026/04/22/weatherford-wfrd-q1-2026-earnings-transcript/
https://www.fool.com/earnings/call-transcripts/2026/04/21/weatherford-wfrd-q4-2025-earnings-transcript/
https://www.roic.ai/quote/WFRD/financials
https://companiesmarketcap.com/weatherford-international/earnings/
https://companiesmarketcap.com/weatherford-international/revenue/
https://en.wikipedia.org/wiki/Weatherford_International
https://www.weatherford.com/about-us/who-we-are/
https://www.prnewswire.com/news-releases/weatherford-appoints-girish-k-saligram-as-president-ceo-and-director-301127984.html
https://www.sec.gov/newsroom/press-releases/2016-194
https://www.globenewswire.com/news-release/2024/07/23/2917621/0/en/Weatherford-Announces-Second-Quarter-2024-Results-and-Shareholder-Return-Program.html
https://www.globenewswire.com/news-release/2025/09/22/3154345/0/en/Weatherford-Announces-Credit-Rating-Upgrades-from-Moody-s-S-P-and-Fitch.html
https://www.globenewswire.com/news-release/2026/06/01/3304202/0/en/weatherford-announces-definitive-agreement-to-acquire-ncs-multistage-expanding-completions-portfolio-and-unconventional-resource-exposure.html
https://www.insidearbitrage.com/2026/06/weatherford-international-to-acquire-ncs-multistage-holdings-in-a-113-78-million-deal/
https://www.globenewswire.com/news-release/2026/09/03/3356285/0/en/weatherford-shareholders-approve-redomestication-to-delaware.html
https://www.weatherford.com/investor-relations/investor-news-and-events/news/news-article/?ItemID=17341
https://www.marketscreener.com/quote/stock/WEATHERFORD-INTERNATIONAL-120797776/news/Weatherford-International-plc-completed-the-acquisition-of-Ardyne-Holdings-Limited-45899022/
https://www.whitehouse.gov/fact-sheets/2026/08/fact-sheet-president-donald-j-trump-announces-historic-oil-agreement-to-secure-american-energy-dominance-and-drive-venezuelas-economic-recovery/
https://www.csis.org/analysis/understanding-implications-us-venezuela-oil-deal
https://energynow.com/2026/04/companies-dust-off-oil-rigs-in-storage-in-venezuela-as-contracts-are-overhauled/
https://worldoil.com/news/2026/1/23/u-s-moves-to-fast-track-oilfield-repairs-to-lift-venezuela-output/
https://oilprice.com/Energy/Energy-General/Venezuelas-Oil-Revival-Faces-a-Critical-Services-Bottleneck.html
https://www.hklaw.com/en/insights/publications/2026/02/ofac-authorizes-certain-venezuelan-oil-sector-activities
https://en.wikipedia.org/wiki/2026_United_States_intervention_in_Venezuela
https://www.weatherford.com/investor-relations/investor-news-and-events/news/news-article/?ItemID=7366
https://www.bnamericas.com/en/news/weatherford-chases-venezuela-oil-deals-as-it-scales-back-in-mexico
https://www.multpl.com/10-year-treasury-rate/table/by-year
https://stockanalysis.com/stocks/slb/statistics/
https://stockanalysis.com/stocks/hal/statistics/
https://stockanalysis.com/stocks/bkr/statistics/
https://us.kabutan.jp/stocks/WFRD
https://search.sbisec.co.jp/v2/popwin/info/stock/pop6040_usequity_list.html
分析日:2026-09-23(株価・時価総額は2026/9/22終値)。金額はすべて米ドル($m=百万ドル、$bn=十億ドル)。