STUDY REPORT / 2026年3月度 勉強会

敵役は時代で変わる――IPを海外に出すとき、何をカウンターの対象に選ぶべきか

参加者が持ち込んだ「日本のIPを海外へ出す」事業構想への公開フィードバック。埋め込み理論の応用例として始まった議論は、途中から作品設計の話へ移り、敵役は普遍ではなく流動を狙えという具体的な設計原則に着地した。

EXECUTIVE SUMMARY

この回で提示された設計原則

問題の構造
商業と同人の断絶
互いに埋め込まれ、相手に興味を示さない
構想の中身
第2層の設計
売る側と作る側を仲介する層を作る
語の訂正
カウンター→サブ
カウンターカルチャーでは語が重すぎる
狙うべき対象
流動的なもの
宗教・思想は普遍。時代の恐怖を狙う
敵役の変遷
科学者→IT経営者
1946年以降と2000年代以降の対比
最大の課題
プレゼンテーション
コンセプトは通る。説明が通らない

この日の後半は、参加者の一人(作家)が自らの新規事業構想をスライドで共有し、それに対して二人の講師と参加者が公開でフィードバックを行うという形式で進んだ。構想の核は、日本の創作分野が商業(企業による流通)と同人(個人出版)の二層に分かれており、互いの文化が違うためマッチングエラーが起きている、という問題意識である。商業側は腕のいい作家が誰か分からず、個人側は売り方に興味がない。その結果、海外展開のスピードが足りず、当たるかどうかが賭けになる。

最初に返ってきた反応は厳しいものだった。参加者の一人が「何をしようとしているのか、このプレゼンでは全く理解できない」と述べ、講師も同意した。原因は明確で、その日習ったエンベデッドネス理論を無理に組み込もうとしたため、話がぐちゃぐちゃになっていた。講師の指摘は「いつも顧客に説明するように喋ればいい。理論の接続は聞いた側が付け加えればよく、そのほうが全員のためになる」というものだった。

◆ この回を貫く一本の線
理論は説明を助けるためのものであって、説明の代わりにはならない。理解した理論を出力に混ぜた瞬間に、相手には何も伝わらなくなる——この日の議論は、埋め込み理論の応用例として始まりながら、結果的に「理論を学んだ人が最初に踏む落とし穴」の実演になった。
PART 1

問題の再定義――講師が代わりに言い直したこと

混乱を整理するため、講師が本人に代わって問題定義を言い直した。その要約はこうである。

商業側は基本的に「どうやって売るか」しか考えていない。同人側は売ることではなく「自分たちが作りたいもの」しか作っていない。両者はそれぞれ閉じたコミュニティの中で生きていて、互いに興味を示さない。だから、いいものを作っても売れないし、いい売り方があっても物が届かない。これが日本のIPが抱える社会的な問題ではないか。

本人がこれに「まさしくその通り」と応じたことで、議論の前提が共有された。ここで講師が指摘したのは、これがまさに埋め込みの問題であるということより、この整理をそのまま最初に言えばよかったという点である。「僕が説明したらみんな『なるほど』となったのに、本人が説明したときにならなかったのは、この部分を説明していないからだ」という診断だった。

PART 2

カウンターカルチャーという語の誤用

構想の中核概念として提示されていたのが「カウンターカルチャー」だった。欧米や韓国がメインカルチャーを形成しているのに対し、そこから外れた人々を包み込む受け皿を日本文化が担えるのではないか、という発想である。

これに対して二方向から指摘が入った。第一に、説明の技術としての問題。カウンターカルチャーという語を説明するのにカウンターカルチャーという語を使っており、それでは誰にも伝わらない。まずワンセンテンスで概要が分かるように言い換え、そこから詳細へ降りるという段階を踏むべきだ、というものである。

第二に、語の選択そのものの問題。この構想で狙っているのはカウンターカルチャーではなくサブカルチャーである、というのが講師の判断だった。カウンターカルチャーという語は重すぎる。実際にやりたいのは「マーケットとマーケットの間の空白を取ること」であり、それを明示しなければ聞き手は置いていかれる。

PART 3

普遍を叩くな、流動を叩け

もう一つの、より実務的な指摘がここから来る。構想では、キリスト教的な世界観と中華思想を「統一へ向かうメインカルチャー」と位置づけ、それに対するカウンターを日本文化が担うと想定していた。講師の反論は市場論として提示された。

◆ 講師の指摘
キリスト教を否定すればヨーロッパとアメリカで流行らない。中華思想を叩けばアジアで流行らない。海外に輸出しようとしている構想で、輸出先の二大市場を同時に敵に回すことになる。

そのうえで代案が示された。カウンターカルチャーはもっとミクロでよい。みんなが賛同するもの、世界共通の認識になっているものは何かを考えるべきである。例として挙げられたのが、いま各国で台頭しているポピュリスト政治家であり、AIである。こうした対象なら世界中の観客が同じ方向にうなずく。

さらに、宗教を扱う場合の制約についても具体的に述べられた。欧州の人々の宗教の捉え方は日本人が思うより重い。だからキリスト教のカウンターカルチャーを作るならホラーというカテゴリー以外にはありえない——「怖いもの」として枠づけることで初めて受け止められる、という指摘である。それを一般的なキャラクターやアニメーションでやると、かなり危険なことになる。

◆ 導かれた設計原則
普遍的なもの(宗教・思想)は時代が変わっても動かない。だからカウンターの対象にすると市場が絞られ、共感性も高まらない。狙うべきは流動的なもの——その時代に人々が実際に恐れているものである。
PART 4

敵役の変遷――誰が恐れられているかの記録として

この原則を裏づけるものとして、講師は映画の敵役の変遷を持ち出した。時代背景によって、誰が敵役になるかが変わるという観察である。

時期敵役の類型背景
1946年以降(第二次大戦後)マッドサイエンティスト科学技術そのものへの恐怖
2000年代以降IT企業の経営者科学者ではなく、企業の中の科学・技術権力への恐怖
1997〜99年前後滅亡(隕石・彗星)1999年の終末予言をめぐる空気。それを否定する構図の映画が集中的にヒット

例として挙がったのが、スーパーマンの宿敵レックス・ルーサーである。もともとマッドサイエンティスト的な造形だったものが、いまは普通のIT企業経営者になっている。もう一つが『ジュラシック・ワールド』シリーズで、敵役は恐竜ではなく、あるIT企業経営者風の人物である。日本のアニメーションについても『新世紀エヴァンゲリオン』が同じ構造を持つ例として言及された。

📌 Claude補足|敵役の造形についての裏取り

レックス・ルーサー:2025年公開の『Superman』では、ニコラス・ホルトがLuthorCorpのCEOとしてレックス・ルーサーを演じている。ホルトはこの造形にあたって、実業家スティーブ・ジョブズの服装を参考にしたと語っている。「マッドサイエンティストからIT企業経営者へ」という講師の指摘は、この最新の造形において裏づけられる。

ジュラシック・ワールド:講師が「ティム・クックに似た俳優」と述べたのは、『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(2022年)でキャンベル・スコットが演じたBiosyn社CEOルイス・ドジスンを指すと考えられる。同キャラクターの造形と髪型はアップルCEOのティム・クックを参照して作られており、作中のBiosyn Sanctuaryもアップル・パークを部分的に下敷きにしている。講師の記憶は正確である。

終末映画:『ディープ・インパクト』は1998年5月8日公開、『アルマゲドン』も同1998年公開。講師は「1997年から99年」としたが、実際にはこの2作はいずれも1998年に集中している。年代の幅の取り方に若干のずれがある。

PART 5

『ターミネーター2』という多重のカウンター

講師がもっとも詳しく分析したのが『ターミネーター2』だった。この映画は、当時のアメリカ社会が抱えていた複数の問題に対して同時にカウンターを当てている——というのがその読みである。

① 敵役が警察の姿をしている
当時アメリカで警察への不満が高まっていた。作中の敵役ターミネーターが警官の格好をしていることは、その時代の恐怖の対象がそのまま敵役になっていることの表れである。
② サラ・コナーという「意見を言う女性」
前作では守られるヒロインだった。当時求められていたのは優雅な母親像であり、核戦争が来ると真実を語るサラは狂人として処理される。「意見を言う女性」への社会の批判的な視線に、映画の側からカウンターを当てている。
③ ATMをハッキングする少年
ジョン・コナーは優等生ではなく、里親のもとで育っている。冒頭のATMハッキングはコンピュータ反権威文化の象徴で、大きなシステムも銀行も警察も、個人のハッカーによって年齢に関係なく壊されうるというメッセージだと講師は読む。
④ 「父親より父親らしい」ロボット
1980年代後半から90年代のアメリカは離婚が増えていた時期。片親で育てる母親が困難を抱えるなか、親という存在が信頼できないとされる状況で、ロボットが普通の父親より父親らしく振る舞う。これも既存の文化を否定する流れの表現である。

講師の結論は、こうしたカウンターをいくつも重ねている作品こそが「いい作品」になる、というものだった。理想的なものを描き、それに対して否定的なものを作中に入れる——それがこの映画の構造である。

📌 Claude補足|年代の食い違い

講師は「特に1991年、92年というところで、ロドニー・キング事件があってLAで暴動が起きていて、警察への不満が高まっていた」と述べたが、時系列は次のとおりである。

ロドニー・キング氏がロサンゼルス市警の警官に暴行を受けたのは1991年3月3日。その様子を撮影した映像は数日のうちに世界中で放映された。『ターミネーター2』の公開は1991年7月1日(ロサンゼルス)/7月3日(全米)。そしてロサンゼルス暴動は1992年4月29日、警官の無罪評決の直後に発生している。

つまり、暴行事件の映像は公開の4か月前に流れていたが、暴動は公開の9か月後である。映画が暴動に反応することは時系列上ありえない。ただし「警察への不満が社会的に高まっていた時期に、警官の姿をした敵役が置かれた」という講師の読み自体は、暴行事件の映像が公開前に広く流布していたことと、そもそも制作が1990年時点で進行していたことを考えれば、社会的な空気の反映としては成立しうる。因果の順序としては、暴動が先という記述は誤りである。

PART 6

逆輸入する側になる――ミホヨ、ヨースター、テンセント

議論はここで、実際にこの構造を突いた企業の話へ移った。中国のミホヨや、『ブルーアーカイブ』を手がけたヨースターは、かつて自国のIPを売りたくても売れなかった時代があった。そこで彼らは日本のサブカルチャー文化を取り入れに来た。ヨースターの代表がコミックマーケット(個人出版の場)に足を運び、自社タイトルの同人商品を買っていく——そうした行動が挙げられ、講師は「戦略のモデリング先として非常に良い例」と評価した。

そして構想の当人が示したのが、展開スピードの対比である。『鬼滅の刃』はちょうど10年前のIPで展開が遅かったのに対し、ミホヨの『原神』は6年前のIPでありながら圧倒的に速く市場を制圧している。講師はこれを受けて「今度はこちらがパクり出す順番だ、というのがこの資料の主張ということか」と要約し、本人が同意した。

📌 Claude補足|企業と作品の年代・所在地

『鬼滅の刃』:『週刊少年ジャンプ』での連載は2016年2月から2020年5月。2026年時点で連載開始から10年であり、「ちょうど10年前のIP」という発言は正確。

『原神』:2020年9月28日にiOS/Android/PC/PS4向けにリリース。2026年時点で6年であり、「6年前のIP」という発言も正確。

ヨースターと『ブルーアーカイブ』については、講義の説明と実態がずれている。講義では「韓国のヨースターという企業」と語られたが、株式会社Yostarは日本法人(2017年1月設立、代表は中国出身の李衡達氏。親会社は2014年に中国で設立)で、中国製の日本向けゲームを日本で配信することを事業の軸としている。『ブルーアーカイブ』を開発したのは韓国のNexon Games(旧NAT GAMES)傘下のMX Studioであり、Yostarは日本と中国での配信を担当、韓国およびグローバル版はNexonが自社配信している。
つまり「韓国の企業がやっている」という部分は開発元については当たっているが、その企業名はヨースターではない。開発(韓国)とパブリッシング(日本のヨースター)が別会社であるという構造が、発言では一体のものとして語られている。

売れるものを作る、という代償

議論の終盤で、講師はより厳しい現実を提示した。参考にすべき企業レベルの事例としてテンセントのミドルオフィスの役割を挙げつつ、その実態をこう説明している。テンセントのような中国企業や韓国のIPメーカーは、売れるものだけを作るためにクリエイターを殺しに行くやり方をとる。クリエイターは作りたいものを作れず、売れるものを作る。広げるということは、ある意味で殺さざるを得ない時期を伴う。

そのうえでアプローチ先の切り分けが示された。クリエイターには二種類いる。自分の好きなものだけを作りたい人と、クリエイターとして金を稼ぎたい人である。前者は大抵は稼げない。後者に対しては「金が欲しいならこだわりを捨ててください」と言える。アプローチすべきは後者である、という整理だった。

例として挙がったのが音楽業界である。売れるために売れ線を作り、売れてから独自路線へ進んだバンドの例、そして「歌いたい曲ではなく売れる曲を歌っていた」アイドルグループの例が並べられた。講師自身も「分析の本にしたかったのに、売れる本に変えられている。自分は何でもよかったので何でもいいと言った」と自らの経験を開示している。

◆ 帰属の明示
「クリエイターを殺しに行く」「こだわりを捨ててください」という表現はいずれも講師の見解である。創作物の商業化において作り手の裁量をどこまで制限すべきかは価値判断の分かれる論点であり、作家性の維持がむしろ長期の収益に繋がるという反対の立場も広く存在する。本レポートは講師の発言として記録するにとどめる。
PART 7

コンセプトは通る、プレゼンが通らない

この日の講評の結論は、コンセプト自体は評価された、というものだった。「分断しているものを統合しようという考え方は好きだ」「講義をここまで落とし込んでやっているのはなかなか見ない」という言葉が繰り返し出ている。問題はただ一点、それを他人に理解させられるかどうかである。

講師の言い方は具体的だった。マイキークラブの内容を勉強し、講義を理解している人が作ったものが、同じ講義を聞いている参加者にすら伝わらなかった。ならば外の人にはもっと伝わらない。そして「仮に自分がこの事業を持っていけば、コンセプトだけで資金調達できる」とまで述べている。差はアイデアではなく説明にある、ということである。

その場で出された修正指示

指摘理由
思考が分散している。全スライドを通して一本のコンセプトを流す1枚ごとにコンセプトがバラバラだと、人には伝わらない
1枚のスライドに5行以上入れないそれ以上入れると人は理解しない。言葉をそこまで落とし込む必要がある
書き言葉に直す資料が喋り言葉で書かれており、頭に入ってこない
羅列しない。絞る全部広げているので浮いてくる。聞き手には「アイデアがまとまっていない」と聞こえ、それは「投資がつかない」という結論になる
関係のない写真を全部外す写真はインパクトが残るため、内容と無関係だとそちらに印象が持っていかれる。有効な写真が1枚もない
どうしても入れるならアニメーションで段階的に出す3行ずつ順に出せば理解度が上がる。ただしオフラインでは使えないため、オンライン用とオフライン用で資料を分ける
Q & A

質疑応答(このテーマに属する全件)

Q. そもそも何をしようとしているのかが、このプレゼンでは全く理解できない。どのエリアから詰めて、どう広げるのか。ミッションは何で、マネタイズポイントはどこか。

A. 講師が代わりに問題定義を言い直したうえで(PART 1参照)、原因はエンベデッドネス理論を無理に組み込んだことだと診断した。いつも顧客に説明するように話せば、理論の接続は聞いた側が肉付けできる。

Q. このカウンターカルチャーとは、どこを基準にしたカウンターなのか。

A. 本人の回答は「キリスト教・中華思想的なメインカルチャーに対して」。これに対し講師は、輸出先の二大市場を同時に敵に回すことになると指摘し、狙うべきは普遍的なものではなく流動的なもの(ポピュリズム、AIなど)だと修正した。また語としてはサブカルチャーのほうが適切であるとも指摘している。

Q(町田氏). なぜ同人の人たちが埋め込まれていて、コミュニケーションが行われていないのか。そのリサーチはお金の面も含めてあってよいのではないか。また、以前の講義で出たAIとディズニーの契約の話を思い出した。

A. 講師はこの提案を高く評価し、突破口になりうると応じた。これに対し質問者自身から、突破口である一方で「オタクからするとあまりやってほしくない部分もある」という留保が示された。自由に描けるものがなくなる、キャラクターにこうなってほしくないという感覚がある——それ自体が自分たちが埋め込まれているということかもしれない、という自己言及的な整理である。

Q. 第3層の人を第1層へ引き上げるロードマップを作るということか。ただ1層と3層を繋ぐのは極めて難しく、中国や韓国がやっているとしても、その提示がないと説得力がない。

A. 本人の回答は、まず自分が商業側の経験を積み、1層と3層の両方の経験から2層の役割を担うというもの。質問者はこれに対し、2層の形が中国や韓国にすでにあるなら、そのロードマップを示して「この形を日本に導入できる」と提示したほうが面白いと応じた。本人は具体的な形についてリサーチ不足であることを認めている。
これを受けて講師が示した参照先が、テンセントのミドルオフィスの役割である。

補足

構想で使われていた発達段階モデルについて

📌 Claude補足|キーガンとスパイラル・ダイナミクスは別の理論である

構想では、事業の対象者を切り分ける基準としてロバート・キーガンの成長発達理論が挙げられ、レッド/ブルー/オレンジ/グリーン/ティールという色分けが使われていた(本人も「色をつけているのはインテグラル理論のほう」と断っている)。この区別を明確にしておく。

ロバート・キーガン(ハーバード教育大学院)の理論は、意識の発達段階を扱うもので、Impulsive/Imperial/Socialized/Self-Authoring/Self-Transforming の5段階からなる。主体・客体インタビュー(SOI)という検証済みの測定手法を持ち、査読誌に発表されている。

一方、色による段階表現はスパイラル・ダイナミクス(クレア・グレイヴス、ドン・ベック&クリストファー・カウアン)に由来し、ケン・ウィルバーやフレデリック・ラルー『ティール組織』を通じて広まった。こちらは「価値体系」——個人や文化が何を価値とし、何を軸に組織化しているか——を記述するモデルである。

両者は系譜も記述対象も異なる。キーガンは意味づけの構造(心の秩序)を、スパイラル・ダイナミクスは価値体系を扱う。実務家が併用することは多いが、同一のモデルとして扱うべきではない。構想を第三者に説明する際、この二つを混ぜたまま提示すると、この分野に詳しい相手ほど信頼を落とすことになる。

著作権について

この回で触れられた法的論点の扱い

質疑のなかで、生成AI事業者と大手コンテンツ企業とのライセンス契約に関する過去回の話題が想起された。この論点自体は本勉強会シリーズの別レポートで扱われているため、本レポートでは繰り返さない。

◆ 読み手への注記
本レポートに登場する既存作品・キャラクター・企業名は、いずれも論じる対象として言及したものであり、それらの著作物の内容を再現したものではない。作品分析として述べられている読解(『ターミネーター2』の社会的文脈など)は、講師および参加者の解釈であって、権利者の見解や公式の説明ではない。
また、二次創作・同人活動と著作権の関係、生成AIの学習と著作権の関係については、日本国内でも係争中の案件や法改正の議論が継続しており、確定した結論があるわけではない。本レポートは講義の記録であって、法的な整理や助言ではない。
宿題

持ち帰るべき課題

  1. 自分の事業説明から、その日習った理論の用語をすべて外して書き直す。理論なしで通じるかどうかが、コンセプトの強度そのものである。
  2. 説明用の語彙を点検する。ある語を、その語自身を使わずに1文で言い換えられるかを確認する。
  3. いま自分が狙っている「カウンターの対象」が、普遍的なものか流動的なものかを判定する。普遍を選んでいるなら市場は絞られている。
  4. ここ5年でヒットした作品の敵役を10本分並べ、誰が恐れられているかの分布を取る(講師の「映画のリサーチが全然できていなかった」という本人の反省をそのまま課題化したもの)。
  5. テンセントのミドルオフィスの役割を調べ、商業と個人を仲介する第2層が実際にどう機能しているかを事例として押さえる。
  6. スライドを1枚5行以内・書き言葉・関係のない写真ゼロで作り直す。オンライン用とオフライン用を分ける。
用語集

この回に出てきた用語

カウンターカルチャー主流文化に対抗する文化。この構想での用法は語として重すぎるとされ、サブカルチャーへの言い換えが提案された。
商業と同人企業による流通と、個人出版。日本の創作分野を二分する構造で、互いの文化が異なりマッチングエラーを起こしているとされた。
第2層(仲介層)商業側と個人側の両方を理解し、選別・助言できる人材の層。構想の中核。
ミドルオフィス企業内で企画と現場を仲介する機能。テンセントの事例が参照先として挙げられた。
マーケットインとプロダクトアウト市場の需要から作るか、作りたいものから出すか。商業側と同人側の対立軸に対応する。
スパイラル・ダイナミクス価値体系の発達を色で表すモデル(グレイヴス、ベック&カウアン)。ティール組織論を通じて普及。
キーガンの成長発達理論意識の発達を5段階で捉えるモデル。色分けとは別系統の理論。
IP知的財産。ここでは作品・キャラクターなどのコンテンツ資産を指す語として使われている。