KADOKAWAの内紛とIP、バタフライキーボードの失敗、NVIDIA決算への市場の反応、そしてCROという新しい役職。この回の時事パートの記録。
この回の時事パートは、一見バラバラな話題が一本の線でつながっている。合理性や品質や数字だけを突き詰めた設計が、なぜ市場に評価されないのか、という線である。
入口はジョナサン・アイブのバタフライキーボードだった。薄さと美しさを追求した結果、埃の多い場所でクッキーを食べながら使うという現実の利用環境を無視することになり、大量の故障と訴訟を招いた。講師はここを、教育の設計と製品の設計を切り分けるべき事例として整理した。成長のための設計に感情は要らないが、市場に出すアウトプットは相手の感情を読み取って作らなければならない、と。
その論理をそのままNVIDIAの決算に当てはめたのが、このパートの中心である。数字は「化け物」と表現されるほど良かった。それでも株価は動かなかった。講師は、これは感情的な判断としか説明できないと述べ、理解できないと率直に認めた。その背景として挙げられたのが、個人投資家の比率が上がり、プロのルールでは読めない市場になったという構造変化である。参考にすべき事例として挙げられたのが、株主向けと一般層向けを分けて発信していた頃のイーロン・マスクだった。
最後に扱われたのがCRO(チーフ・レジリエンス・オフィサー)である。サプライチェーンの分断、インフレ、技術変革、パンデミック——どれか一つに対応できなくなること自体がリスクだから、防御力を全方位に上げようという役職である。講師はこれを評価しつつ、尖りがなくなるという懸念を隠さなかった。そして、それが当たり前になったとき、そこから一つ抜けた者が次に勝つ、と結んでいる。
合理性で設計し、感情で届ける。内部の意思決定からは感情を排除すべきだが、外に出すものは感情に届かなければ評価されない。この回の時事パートは、製品(キーボード)・資本市場(決算発表)・組織戦略(CRO)という三つの層で、同じ切り分けが必要だと繰り返している。
本編に入る前の雑談は、この回のテーマと無関係ではなかった。講師が話題にしたのは、事業相談に乗っている若手経営者たちの共通点である。難しい宿題を出しても淡々と全部こなしてくる。言われたことはやり、やるなと言われたことはやらない。それだけで会社が伸びていく——「やる・やらないという選択肢が本人のなかにない」という表現が使われた。
とくに名前が挙がった人物については、能力値が飛び抜けて高いとは思わないが、言われたことを全部「楽しそう」に変換してしまうコミュニケーション能力が異常に高い、という評価だった。本人が楽しんでいるから周りも楽しくなる。だから人も客もついてくる、という見立てである。参加者との間では、率先して楽しむこと、物事の捉え方が上手いこと自体が資質なのではないか、という整理がなされた。
その対極として語られたのが、報告が一日200文字程度しか返ってこない社員の話である。返ってくるのは「はい」「いいえ」「やりました」「終わっていません」といった一言だけで、中学一年の英語の教科書のような会話になる、と講師は述べた。コミュニケーション能力とプレゼンテーション能力を上げて営業を強化しろという課題を出し続けたが、喋るのが苦手だという理由で無視され続けた、という経緯も語られている。
この回では、海外の運用会社のスタッフが現地で行方不明になり、拉致されたとみられる事案について、警察と軍が動いているという報告があった。講師は「自分が判断すると放っておいてくださいという答えになってしまうので、現地の方で決めさせる」という趣旨の発言をし、その理由として、生産性の面でも面白さの面でも評価していないこと、やるなと言ったことをやり続けた人物であることを挙げた。
これは人の生命に関わる事案についての発言であり、価値判断が大きく分かれる。本レポートは、この発言を講師本人の見解として記録するにとどめ、是非の判断は行わない。参加者からも「それを嬉しそうに話しているのもどうかと思う」という反応が出ていたことを併記しておく。また、事案の真偽・詳細は公開情報では確認できないため、内容そのものについては要確認とする。
セッション末尾では複数の告知が行われた。6月6日に講師の誕生日会を開催予定で、懇親会とスプラトゥーン大会を併催するとのこと。6月20日を皮切りに「マイキー感謝祭」として全国を巡回する企画が始まり、東京・名古屋・大阪・福岡・姫路・仙台・札幌が決定済み。出版サポートチーム以外のメンバーの参加も可とされた。運営企画は各地で進行中で、Discordと LINE のオープンチャットに窓口が用意される。札幌は参加者の寺院、福岡は会員が会場を用意、姫路も会員の店舗が会場となる予定。6月20日の東京は「大運動会」との案内があった。次回講義は水曜日。
講師がこの日、KADOKAWA側との打ち合わせで聞いてきたという話が冒頭で共有された。内容は二点である。
第一に、社内に会長派閥と社長派閥があり、社長を辞めさせたいという動きがある。噂の域を出ないとしつつ、社長側ではない人間がテンセントとオアシスを動かし、追い出すために株式を買わせたのではないか、という見立てが語られた。第二に、オアシス側の明確な狙いはKADOKAWA本体ではなく、連結子会社であるフロム・ソフトウェアの『エルデンリング』のIPだというものである。講師はこれを、かつてフジテレビの案件で特定の資産が狙われた構図に似ていると評した。
ここから議論はIPの性質に移った。参加者が指摘したのは、IPの資産性は高いにもかかわらず、IPは掛け算であって、力のない者が持っても価値を生まないという点である。講師はこれに、テンセントやオアシスのような主体が持てば今より人気が出るのではないか、エルデンリングは世界を代表する日本のIPだから、それ以上のものを出してくるはずだ、と応じた。参加者から2028年に実写映画の予定があるという情報が出され、KADOKAWAは近年映画に力を入れられていないので、それを復活させたいのではないかという話も出た。
公開情報で確認できた範囲は以下の通りで、セッションでの「テンセントとオアシスに株式買収された」という表現とはずれがある。
オアシスについて:香港のアクティビスト、オアシス・マネジメントは2026年3月にKADOKAWA株の約8.86%(約1,320万株、約2億6,500万ドル)を取得。同月中に11.85%まで引き上げてソニーグループの11.01%を抜き筆頭株主となり、その後13.76%、6月23日には15.25%まで積み増している。5月25日のセッション時点では13%台とみられる。
テンセントについて:テンセントはKADOKAWA本体の大株主ではない。2022年の第三者割当により、フロム・ソフトウェアの株式をKADOKAWAが69.66%、テンセント傘下のSixjoy Hong Kongが16.25%、ソニー・インタラクティブエンタテインメントが14.09%保有する構成になっている。つまりテンセントが持っているのはKADOKAWA株ではなく、フロム・ソフトウェア株である。
社長解任について:オアシスがKADOKAWAの夏野剛社長の解任を提案したのは6月で、このセッションの約2週間後にあたる。提案は否決され、社長は留任した。つまり5月25日時点の「社長を辞めさせたい動きがある」という情報は、その後実際に株主提案として表面化したことになる。
実写映画について:『エルデンリング』の実写映画はA24とバンダイナムコの共同製作、アレックス・ガーランド脚本・監督で、IMAX撮影、2028年3月3日公開予定。撮影は2026年春に開始。参加者の「2028年」という記憶は正確である。
裏取りできなかった点:「フジの藤田さんに社長就任を打診して断られた」という話については、対応する公開情報を確認できなかった。要確認
もう一つの近況報告が、出版プロジェクトの進捗である。KADOKAWAの部署として全面的にサポートすることが決まり、年末までに10万部という最短ルートのロードマップが提示された。当初は2〜3年で10万部という想定だったものが、9か月未満で到達する計画に置き換わったことになる。あわせて、10万部達成記念の講演会を年末に主催したいという提案も出ているとのことだった。
部数の実績としては、6月10日に増刷分が市場に出て累計4万5,000部、6月末にさらに増刷予定で約5万部に達する見込み、という数字が共有された。約3か月半で5万部というペースである。PR面では、Yahoo!ニュースなどでペンディングになっている記事が25本ほどあるという報告もあった。
費用面について、講師は明快な報告をしている。今回のエキスポの費用とそれまでにかかったマーケティング費用——京王線のジャック、東急東横線のジャックなどを含む——は、2日ですべて回収した。そして、物を言うのはプレゼンだけだと一発でわかった、と述べた。
金の匂いのする話は食いつきが良くなる。しかし、金の匂いがする話には金の匂いしか追っていない人間しか来ない。だから金の匂いはできるだけ出さないようにする——というのが、この一連の経験から得た教訓として語られた。
この報告は、本レポートの主題である「合理性と感情の切り分け」と表裏の関係にある。数字とロードマップは合理的に設計されているが、実際に回収を生んだのはプレゼンという感情に届く手段だった、というのがこの回の自己評価である。
議論を時事から理論に引き戻したのが、アイブのバタフライキーボードの話である。講師の整理はこうだった。美しさと薄さへのこだわりが強すぎた結果、限定合理性の観点で言えば、人は埃のある場所でクッキーを食べながらキーボードを使うという現実が無視された。結果として大量に壊れ、訴訟になった。かといって「クッキーを食べながら触るな」「埃のある場所では使うな」と注意書きをすれば、ほとんど売れない。
ここから導かれたのが、教育とサービスを切り分けるべきだという主張である。教育の設計であれば感情は要らず、合理性だけを追求する流れを作ればよい。しかしアウトプットを市場に出すということは、市場が感情で判断する場所に出すということだから、相手の感情に寄り添う必要がある。サービス業でも、自分が納得いかなくても顧客の感情を読み取ってサービスを設計するのがポイントになる。それを徹底的に無視し、品質と美しさだけにこだわり続けたのがあの失敗だった、という説明だった。
講師は自分自身についても、相手の感情がどうでもいいと思っているからビジネスをやりたくない、と述べている。教育については合理性だけで生きるが、アウトプットには感情が必要だ——この線引きこそが重要だ、というのがこのパートの結論である。
これに対して参加者からは、哲学の側から補強が入った。実験哲学が、それまでの哲学が依拠していた直観を、統計的なデータによって定義し直そうとしたのと同じことが言える。デザインの世界はまず直観だが、その直観を再定義することは、才能がある人ほどできず、軽視してしまうところがある、という指摘である。
2018年に提起されたMacBookのバタフライキーボードをめぐる集団訴訟は、アップルが総額5,000万ドルを支払うことで和解し、2024年8月から支払いが始まった。原告は、アップルがキーボードの故障しやすさを認識しながら隠し、講じた対策も不十分だったと主張していた。和解金は、キーボードを複数回交換した人が300ドル、1回の人が100ドル、キーキャップのみの交換は50ドルで、複数請求で最大395ドルになる。故障の内容は、キーが反応しなくなる・戻らなくなるといったもので、微細な異物に弱い構造だった。
なお、この設計をジョナサン・アイブの「薄さへのこだわり」に直接帰属させる報道は確認できなかった。設計思想と本人の関与の程度は、セッションでの解釈として読む必要がある。要確認
同じ論理が資本市場に適用された。講師は、NVIDIAの決算の数字は「化け物」と呼ぶしかない水準で、普通に考えれば株価が20〜30%上がってもおかしくないものだったと述べた。それでも株価は上がらなかった。技術的なものや美しさ、数字のすごさだけでは人は響かない——それをNVIDIA自身が体現してくれた、というのがこの回の決算総括である。
講師が挙げた具体的な材料の一つが、フリーキャッシュフローとその使い道だった。投資する場所がなく、投資してもそれ以上に利益が出てしまう状態なので、フリーキャッシュフローの50%を株主還元と配当に使うとCFOが発表した。一株あたりの指標も大きく改善した。それでも見ていない層は売る、という指摘である。同じことがマイクロソフトやグーグルにも言えるとされ、逆に数字だけを見ればよいトヨタのような企業は、過去最高の売上を出しても株価が下がる、という比較も示された。
NVIDIAの四半期フリーキャッシュフローの推移(単位:億ドル)。2026年5月20日発表分で486億ドルに達した。出所:公開報道をもとにClaude作図。セッション中では具体的な金額は語られていないが、「投資先がないほどFCFが多い」という発言の裏付けとして掲載。
NVIDIAは2026年5月20日に四半期決算を発表した。データセンター売上はほぼ倍増するなど内容は強かったが、データセンターのコンピュート部門が予想を下回ったこともあり、株価は時間外で1%程度下落した。フリーキャッシュフローは486億ドルで、前四半期の349億ドル、前年同期の261億ドルから大きく伸びている。会社は2026年について、フリーキャッシュフローの約半分を株主に還元する方針を示し、取締役会は残存38.5億ドルに加えて800億ドルの自社株買い枠を追加、四半期配当は1株0.01ドルから0.25ドルへ引き上げられた。同四半期の株主還元は配当と自社株買いで約200億ドル規模とされる。
したがって、セッションでの「フリーキャッシュフローの50%を株主還元と配当に使うと言っている」「一株あたりがめちゃくちゃ増えた」という発言は、公開データと整合する。「数字は良かったのに株価は反応しなかった」という認識も、当日の株価反応と整合する。
では、なぜそうなるのか。講師の説明は市場参加者の構成に向かった。NVIDIAは一般投資家がもっとも入っている銘柄になっており、ファンドのようなルールを持った参加者だけの市場ではなくなっている。プロの考え方はルールがあるから理解できるが、一般の人にはルールがないので読めない。だから発表会も市場に合わせた話し方を考えた方がいいのではないか、という提案である。決算説明会をもう少しピッチ寄りに寄せてみる試みがあってもいい、とも述べた。
決算資料は年々ページ数が膨らみ、この5年でも1.5倍程度になっている。プロは読むが、一般層は読まない。数字とプロセスの提示だけでは人は動かない、というのがこの回の見立てである。
参照事例として挙げられたのが、株主向けと同時に一般層向けにもオンラインで語っていた頃のイーロン・マスクである。テスラがもっとも成長した時期に行われていたやり方で、投資家だけでなく一般層にも夢を持たせる発信でファンを囲い込んだ、という評価だった。講師は、それが今は行われていないとして、原点回帰があってもいいのではないかと述べた。
ジェンスン・ファンについては、話し方自体は上手いという評価がある一方で、自己満足感がある、普通の人の想像の範囲を超えてしまっている、もう少し地上に降りてきて話す流れが必要ではないか、という指摘がなされた。講義担当者も、株価が動かなかった理由は自分にも理解できない、理解しようとすること自体が違っているのかもしれない、と応じている。
この流れで講師が付け加えたのが、日本人の情報リテラシーの低さについての指摘だった。NVIDIAは知っていてもAMDの技術を知らない、CoreWeaveは買っていてもNebiusやRambusは知らない、というのは対極になる企業やライバル企業を見ていないということであり、リサーチの段階で必ず見なければならない。米国市場に詳しいが中国を見ない、というのも同じ構図だ、という主張である。ネオクラウドについても、同じ括りで語られがちだがサービス内容も戦略も全く違い、NVIDIAがなぜハイパースケーラーに直接供給するのではなくネオクラウドに供給するのかを考えるべきだ、という論点が示された。講義側からは、Nebiusのような企業は今は強くても持続性の面で懸念があり、持続的にどこが強いかという見方が必要だという指摘が添えられた。
最後の論点がCRO(チーフ・レジリエンス・オフィサー)である。時代の変革期にあって、社内のレジリエンスをどれだけ高められるかを担う役職として、米国で重宝され始めているという紹介だった。かつてレジリエンス強化といえばキャッシュ面が中心で、不採算事業を切ってコストを削減し現金を増やすという文脈だったが、それを組織的な改革として変えていこうという流れに変わってきている、という整理である。
ここで講義側から鋭い疑問が出た。レジリエンスというが、それは妥当性に走るだけではないか。講師も同意し、CROが出てくるということは、キャッシュ面以外のところで変革がなくなり妥当性に走るケースも出てくるのではないか、と逆向きの見立てを示した。ダイナミック・ケイパビリティについては、爆発的に勝つが爆発的に死ぬ可能性もある理論だと捉えており、時代の変革期で怖いからこそ、それより生存バイアスの強い戦略が増える可能性がある、と述べている。
CROに関する論文やレポートでは、地政学的問題だけでなく、サプライチェーンの分断、インフレ、技術変革、パンデミックといった要素が絡み、どれか一つに対応できなくなること自体がリスクだから防御力を全体的に上げよう、という方向性が示されているという。講師はこれを「尖りがない」と評し、面白みがない、日本の官僚機構のように守りだけが極端に強い状態に見える、と述べた。マッキンゼーやボストン・コンサルティングもこの方向を推している、という補足もなされた。
それでも、こういうことをきちんとやっている企業は今後は評価されるようだ、と講師は認める。そのうえで、それが評価され当たり前になったとき、そこから一つ抜けた者が次に勝つ、と述べた。どこで抜けるかを決め、その部分のルーティンを変革させることが重要であり、そうすれば企業は自然に進化の方向に入っていく。そしてそのベースとして、外注化が少ない方がよい——内製化が企業価値になる、なぜなら外注化すれば抜けたことができず止められてしまうから、という論理が示された。抜けるための最速の方法は、意思決定のスピードだけだと思う、というのが講師の最後の見解である。
Q. 今もしKADOKAWAがIPを獲得すれば、2028年に実写映画の予定があったのではないか。
A. 参加者の記憶通り、実写映画の予定がある。講師は、KADOKAWAは近年映画に力を入れられていないので、それを復活させたいのではないかという話が出ていた、と応じた。
Q. IPの資産性は高いが、IPは掛け算なので、力のない者が持っても価値を生まないのでは。
A. 講師は同意しつつ、テンセントやオアシスのような主体が持てば今より人気が出るのではないか、エルデンリングは世界を代表する日本のIPだから、それ以上のものを出してくるはずだと応じた。
Q. NVIDIAについて、一般層はどこに注目しているのか。
A. 講師は、粗利が70%を超えるといった分かりやすい数字は見られておらず、下がったから売ろうという判断になっているのではないか、と述べた。CFOの発表でフリーキャッシュフローの50%を株主還元に回すと言い、一株あたりの指標も改善したが、見ていない層は売る、という整理である。
Q. 投資家向けの数字中心より、期待を持たせる発信の方が重要になってきているということか。
A. 講師は肯定した。資本が分配され誰もが株式市場に参加できるようになった結果、従来買えなかった層が入ってきている。だから一般層に向けた話し方も重要になる、という説明である。
Q. 新製品発表会はどちらかというと一般層向けか。
A. 講師は「あれは両方」と回答した。
Q. CROは何をする役職なのか。
A. 時代の変革期において、社内のレジリエンス能力をどれだけ高められるかを担う役職である。従来のキャッシュ中心の強化から、組織的な改革へと軸が移ってきている。
Q. ダイナミック・ケイパビリティは数字にできるのか疑問がある。
A. 講師は、ダイナミック・ケイパビリティは爆発的に勝つが爆発的に死ぬ可能性もある理論だと捉えていると応じ、だからこそCROのような防御寄りの役職が出てくるのは逆の動きだと見ている、と述べた。
Q. CROが出てくるのは、不確実性がもはや不確実でなくなったということではないか。レジリエンスにレジリエンスがないのでは。
A. 講師は、CROに関するレポートを読む限り、地政学だけでなくサプライチェーン分断・インフレ・技術変革・パンデミックといった要素が絡み、どれか一つに対応できないこと自体がリスクだから防御力を全方位に上げる方向性だ、と回答。結果として尖りがなくなる状態になる、という見立てを示した。
Q. カルロス・ゴーンはどう評価するか。今の話でいけばレジリエンスもあったように見えるが。
A. 講師は面白いと評価した。報酬をめぐる問題で排除されたが、経歴だけを見ればああいう社長は必要だという見方である。実績を出してもルールを破った者を排除する国だ、という日本評も添えられた。ネガティブな側面は何かという問いには「見栄えが悪い」と答えている。
※これは経営者評価としての講師の見解であり、有罪・無罪や事件の経緯についての判断ではない。金融商品取引法違反等をめぐる法的評価は別の論点であり、この回では扱われていない。
Q. 数字に極端に厳しくすると、部下が嘘をつくようになるという副作用があるのでは。
A. 講師は、東芝のケースはそれが社内組織の文化になってしまっていたことが問題であり、カルロス・ゴーンの件は個人単体の問題だ、と切り分けて回答した。