制度理論・第2回/制度論を企業と市場の実例に当てはめる後半セッション
後半のセッションは、前半で組み立てた制度理論の道具を、具体的な企業と市場に当てはめる時間になった。きっかけは、参加者の一人が「だからホンダが負けたんじゃないですか、今回」と切り出したことだった。ここからマイキー氏が展開したのは、ホンダの敗因は戦略ではなく、日本企業に埋め込まれた価値観を否定できなかったことにある、という見立てである。バッテリー戦略もソフトウェア戦略も良かった。しかし最後まで品質にこだわった結果、コストが上がりすぎた。EVとITの業界はすでにアジャイル戦略の時代に入っており、市場に出してフィードバックを受けて直していくことが主流になっている。バグを許さないという考え方を持っている企業が勝てないのは当たり前だ、というのがマイキー氏の主張だった。
その前段として置かれていたのが、他責についての議論である。GHQに教育を変えられたせいだ、と言っている人がいちばん負けている。分かっているなら勉強すればいい、使えばいい。埋め込まれているなら逆をやればいい。解決するのは他人ではなく自分だという認識にならない限り、何も変わらない。マイキー氏はカーストや家柄についても同じ論理を適用し、努力によって打破した人間をベンチマークにすればよいと述べた。この主張は、直前まで議論されていた「埋め込みは自覚できない」という制度論の含意と、正面から緊張関係にある。埋め込みが自覚できないものなら、「分かっているならやればいい」という前提自体が成り立たないからである。この緊張は講義中で解消されていない。
続く論点は、日本にメーカーが多すぎるという構造論だった。通信業界は主要国で3社に収斂しており、中国のEVメーカーも淘汰が進んだ。一方、欧州の通信は事業者数が多すぎて投資が分散し、世代遅れになった。日本のメーカーも同じ状況にあるという診断である。ここで出てきた「マツダや三菱の社員はどうなるのか、と考えている時点で勝てない」という発言は、この回でもっとも価値判断が分かれる主張であり、本レポートでは対立する見方を併記した。
最後のブロックでは、埋め込まれた前提の例としてインフレ率2%が取り上げられた。これがいつ、どこで始まったのかを知らないまま、誰もが2%を合理的な数字として受け入れている。さらに地政学リスクと株価の関係、コングロマリット・ディスカウントとM&Aの潮流へと議論が広がる。共通しているのは、「誰も疑わない数字や型」を疑うという一点だった。
この後半セッションの入口は、階級制度と段階論についての議論への、マイキー氏からの反応だった。曰く、階級制度や段階の話を聞いていても「だから何なんだ」と思う。格差や評価軸の違いは社会から見れば常にあるもので、問題はそれをどう打破するのか、それとも諦めているのか、その違いでしかない。
具体例として挙げられたのがGHQ論である。教育を変えられたのはGHQのせいだ、と言っている人がいちばん負けている。昔の台湾人は日本人から英語を学んだと言われ、当時の日本人は英語を話せていた。GHQによっていろいろ持っていかれた結果こうなった――だから何なのか。それに気づいているなら、やればいいだけの話である。マイキー氏は「分かっているのにやらない人間は誰かのせいにしたい」「その時点でもう成長がない」と断じた。日本がいろいろなものを埋め込まれ、同化してしまったことは皆が明らかに分かっている。ではそれにどう向き合い、どう打破するのか。それは他人のせいかもしれないが、解決するのは他人ではなく自分だという認識にならない限り何も変わらない、という結論である。
マイキー氏の評価は明確だった。ホンダは頑張っていたし、期待もしていた。かなり振り切った。バッテリー戦略もソフトウェア戦略も良かった。ああいう日本企業がもっと出てくればいいと思っていた。それでも負けた理由は何か。日本にいちばん足りていなかったもの、日本人の気質の部分――それが品質管理だ、というのが彼の答えである。
いまのEV業界・IT業界はアジャイル戦略の時代に入っている。市場に出してしまって、そこからフィードバックを受けて直して、良いものにしていく。それが主流になった中で、ホンダは最後の最後まで品質にこだわった。結果としてコストが上がりすぎ、それがソニー・ホンダのAFEELAにも影響し、撤退という結果につながった。中国製品は品質が悪いとよく言われるが、品質が悪くても使う人はいる。また直していけばいい。中国の考え方は、自分たちが自己満足するものではなく、お客さんが満足するものは何かを考え、それを叶えるためにダメ元で市場に出す。ソフトウェアもゲームも同じで、完成品として一応テストが終わっていても必ずバグはある。このバグにどう向き合うかが大事であって、バグを許さないという考え方を持っているホンダが勝てないのは当たり前だ、という論旨である。
一致する部分:ホンダが次世代EV「0(ゼロ)」シリーズなど3車種の開発・発売中止を決定し、最大2兆5000億円の損失を見込むと発表したことは、複数の報道で確認できる。カナダで計画していたEV工場・電池工場の建設計画も無期限で凍結された。背景としては、米トランプ政権による環境規制 ACC II の撤回により、EV販売増の後押しとみられていた規制が実現しなくなったことが挙げられている。
食い違う部分:マイキー氏は講義中で「合計でこの2年間、2年から3年で2.5兆円の損失計上」「今期のマイナスに関しては-6000億円かなんかで、3000億円のプラスから一気に劇的に変わった」と述べているが、報道されている実績値は、2026年3月期の連結決算で上場以来初の最終赤字4,239億円、2.5兆円のうち1兆5,778億円を2026年3月期に計上である。講義が行われた2026年4月4日時点では通期決算がまだ公表されていなかったため、マイキー氏が概算で語った数字と確定値がずれたと考えられるが、発言をそのまま残し、差として記録する。
AFEELA について:AFEELA(アフィーラ)はソニー・ホンダモビリティが展開するブランドで、ホンダ単独の事業ではない。講義中の言及は、EV関連投資の見直しがこの合弁にも波及したという文脈で理解するのが妥当である。
アジャイルが主流の市場で、完成度100%を出荷条件にすればコストと時間で負ける。品質へのこだわりは、かつて日本の競争優位を作った成功体験が制度化・形骸化したもの。
報道が挙げるEV計画見直しの直接の引き金は米国の環境規制 ACC II 撤回という外部要因である。また自動車は人命に直結する製品であり、ソフトウェアやゲームと同じ「出してから直す」を適用することには安全規制上の制約がある。品質へのこだわりを一律に敗因とする議論には、この留保が必要になる。
参加者から「ホンダはどうしたら復活できるか」と問われたマイキー氏は、まず社長を全員外国人にするところから始めたほうがいい、と答え、次に構造論に移った。今後ホンダが直面するのは、2.5兆円の損失に加えて部品メーカーへの補填といった問題であり、キャッシュフローが圧迫される。稼ぎ直すためにハイブリッド車と軽自動車をまた売らなければならないが、それは化石燃料車頼みに戻ることを意味する。加えて、提携は進めたが垂直統合ができていなかった。LGとの合弁のような動きは良かったが、品質の担保を気にしすぎた結果がこれだ、という整理である。
そして「メーカーが多すぎる」という診断が出る。市場的には3社あるのがいちばんいいと言われており、通信会社を見ると分かりやすい。日本ならNTTドコモ・KDDI・ソフトバンク、米国ならAT&T・T-Mobile・Verizon、中国ならチャイナテレコムやチャイナモバイル。中国のEVメーカーも、元は非常に多かったものが淘汰されて絞り込まれた。淘汰されることで強くなる。10社あれば市場を10分割しなければならないが、3社なら3分割で済む。その分の資金が生まれ、巨額の投資ができる。欧州の通信が死んだのは、通信会社だけで非常に多くの事業者がいるからで、投資ができない。結果として何世代も米中に遅れ、外部依存が強くなっていく。
構造の診断そのものは公開データと整合する。2024年のドラギ報告書(『欧州競争力の将来』)によれば、EU には34の携帯通信事業者(MNO)グループと351のMVNOが存在するのに対し、米国は3つのMNO(プラス約70のMVNO)、中国は4つのMNO(プラス16のMVNO)である。報告書は、34ものグループに分散していることが規模の欠如を招き、5Gに必要な投資を妨げていると指摘し、EUと加盟国が合併に否定的だったことが背景にあるとしている。
食い違うのは数字である。マイキー氏は「通信会社だけで100社以上ある」「EU内を100社で分けます」と述べているが、MNOグループの数は34であり、MVNOを含めて数えれば351を超える。100という数字はどちらの水準とも一致しない。ただし結論は同方向で、分散が投資能力を削ぐという診断は報告書の主張と一致する。また「中国は3社」という発言についても、MNOとしては4社(チャイナモバイル、チャイナテレコム、チャイナユニコム、中国広電)が正確である。
中国EVメーカーの「50数社から10社まで絞り込まれた」という部分は要確認。統廃合が進行中であることは広く報じられているが、10社という到達点の裏付けは本レポートでは確認できていない。
マイキー氏はここで、日本ではこういう転換の話をすると必ず「では、その会社の社員たちはどうなるのですか」という質問が来る、と述べ、「これを考えている時点でもう勝てない」と断じた。残したほうがいいのはトヨタ、スズキ、日産、そしてホンダ以外は要らない、とも述べている(発言の言い回しは断片的で、どの社を残すかの線引きは一義的に読み取れない)。そのうえで、ホンダも今回失敗したようにそもそもの考え方を変えなければならず、アジャイルに持っていくには相当に振り切った経営者を揃える必要があるとした。トヨタもアジャイルと言ってはいるが口だけでできていない、という評価も付されている。
550万人について:発言中の「日本のメーカー全体がダメになるなら550万人の雇用に影響する」という数字は、日本自動車工業会が公表している自動車関連就業人口(約550万〜559万人、全就業人口の約8〜10%)と整合する。製造部門に限れば約80万人だが、販売・整備、運送などの利用部門、ガソリンスタンド等の関連部門、鉄鋼などの資材部門を含めて約550万人という集計である。
N-BOXについては食い違いがある。マイキー氏は「Nボックスだけで7割6割なんですよ、売上が」と述べているが、公開データでは、ホンダの国内販売に占める軽自動車全体の比率が2023〜25年に4〜5割へ拡大したとされ、N-BOX単独では2025年暦年の販売が20万1,354台(車名別4年連続首位、前年比2.4%減)である。したがって「N-BOX単独で6〜7割」は過大で、軽全体でも4〜5割というのが実勢に近い。ホンダの国内販売が軽に大きく依存しているという論旨自体は公開データでも支持されるが、比率の数字は差として記録する。
議論は経営者の調達方法へ移った。渡辺氏は、切羽詰まった状況では CEO を外部から連れてきたほうが成績がいいという研究がある、と述べた。ただし日本ではそれが少なく、いわゆるプロ経営者の実績についても評価は割れる、として武田薬品やリクシルの事例が話題に上った。マイキー氏の立場ははっきりしていて、社内のことを分かっている人を入れようとすること自体が同質化を生むのだから、いまの時期は外部から引っ張ってきたほうがいい、というものだった。同時に、首をすげ替えるだけでは済まないとも述べている。埋め込まれたものは非常に強く、カルチャーをどう変えるかという問題が残るからである。
ここで話題になったのがAppleの後継者だった。マイキー氏は、次期CEOはジョン・ターナスになるのではないかと昨年10月ごろに予告していたと述べ、最近の米国報道でもターナスCEO説が増えていると指摘した。評価としては、ターナスは現場に降りてくるタイプであり、そこがティム・クックとの決定的な違いだという。ただし対政府の折衝という点ではクックならではの強みがあるので、クックが会長に入って渉外を担当し、アマゾンでジェフ・ベゾスが裏で担っているような形になるのではないか、という予想だった。加えて、ティム・クックはファイナンスと戦略とマーケティングのプロだったが、結果として新製品を作れなかった、スティーブ・ジョブズは新製品は作れるが在庫管理もリーダーシップもできなかった、その両方を持ち合わせていると言われているのがターナスだ、という人物評も添えられている。
Apple は2026年4月20日、ティム・クックが取締役会の executive chairman となり、ハードウェアエンジニアリング担当上級副社長だったジョン・ターナスが9月1日付で CEO に就任すると発表した。この人事は取締役会で全会一致の承認を得ており、長期の後継者計画にもとづくものだと説明されている。ターナスは Apple 通算25年で、iPad、AirPods、近年のiPhoneなどのハードウェア開発を統括してきた人物で、Apple の8人目の最高経営責任者にあたる。
この勉強会は2026年4月4日に行われているため、マイキー氏の発言は正式発表の約16日前にあたる。予測の的中という意味では明確な結果が出た事例である。一方、「クックが会長で渉外を担当する」という部分も、executive chairman として各国の政策当局との関係構築を担うという Apple の説明と整合している。なお、講義中に「今日はApple 50周年の日」との発言があったが、Apple の創業は1976年4月1日であり、50周年にあたるのは2026年4月1日である(講義日は4月4日)。数日のずれがある。
参加者から「埋め込まれたものの例として、インフレ率2%というのがあるのでは」という発言が出て、マイキー氏がこれを引き取った。永久成長率についてもほとんど議論が出ない、という指摘も重ねられている。マイキー氏の説明はこうだった。2%が合理的な数字なのかどうかは実は分からない。インフレの計測には誤差があると言われており、実質的にはマイナス1%程度が妥当ではないかという議論もある。利下げは0.何ポイント単位なので、0にはならない=デフレではない、という状態にするために余裕を持って2%にしている、というのが日本の論調である。
そのうえで「このインフレ率2%はいつの時代からあると思いますか」と問いを立て、メインで出てきたのは1990年代であり、元々はオーストラリアだと述べた。非常に高いインフレで困っていた状況で2%まで持ってきてうまくいった事例があり、その後2000年代になって次に導入したのがイギリス。米国が2%という目標を完全に設定したのは2011年ごろで、それに合わせてこの10年ほどで「2%が妥当である」という認識が形成され、今も続いている――というのが講義中の説明である。
最初の国はオーストラリアではなくニュージーランドである。ニュージーランド準備銀行法は1990年2月に発効し、同国は現在の形でのインフレ目標を最初に正式採用した国とされる。当初の目標は0〜2%で、財務大臣ロジャー・ダグラスが期待をつなぎ留めるためのコミュニケーション手段として提示したものだったが、予定より1年早い1991年12月に達成された。
イギリスは2000年代ではなく1992年である。カナダが1991年に目標を公表し、英国は1992年10月に財務大臣が1〜4%のインフレ目標を発表して続いた。
米国は2011年ではなく2012年である。米国が2%のインフレ目標を正式に宣言したのは2012年、ベン・バーナンキ議長のもとでのことで、これが現在も維持されている。
つまり、講義中の「1990年代に始まった」「その後イギリス」「最後に米国」という順序と大枠は正しいが、最初の国(オーストラリア→ニュージーランド)、英国の年(2000年代→1992年)、米国の年(2011年→2012年)という3点で公開データとずれる。「2%という数字自体に絶対的な根拠はなく、歴史的な経緯で定着したものだ」という講義の核心的な論点は、この訂正によってむしろ補強される。
マイキー氏はさらに、日本のインフレ率が2%を達成していると言っても、それはコストプッシュ型のインフレであり、生産性に寄与していないと指摘した。日本人の能力が上がったから2%を超えているのではなく、日本が弱くなった結果、購入する金額が高くなったにすぎない。そして国というのは物価が高すぎると文句を言われ、インフレ率が低ければ給料が低いと文句を言われる。どちらに転んでも文句を言われる宿命にある。だからこそ重要なのは、なぜ2%なのか、2%を超えるとどんなメリットとデメリットがあるのかを、国自体がきちんと説明することだ――という結論だった。
参加者から新NISAで損をした人がいるという話題が出ると、マイキー氏は株価と地政学リスクの関係について説明した。地政学的なリスクが起きれば株価は必ず落ちる。しかし長期的にはファンダメンタルズが勝つという歴史的事実がある。ドイツの銀行が過去100年の大きな地政学的リスクを全件検証した結果、最終的にファンダメンタルズが勝つと分かっているのであれば、一時的な値下がりにすぎないと考えられるはずだ、という趣旨である。そのうえでマイキー氏は、より問題なのは地政学リスクではなく、経済と金融市場の破綻のほうだと述べた。こちらはなかなか戻らない。リーマンショックの際の米国の回復は異常に早かったが、基本的には戻らない、という評価である。
「ドイツの銀行が過去100年の地政学リスク30件を全件検証した」という具体的な調査は、本レポートでは特定できなかった。一方、同趣旨の知見は複数の金融機関・調査機関から公表されている。地政学イベントは長期の弱気相場よりも、急激だが短命な市場の混乱を引き起こすことのほうがはるかに多いこと、供給網・エネルギー生産・主要交易路を直接損なわない限り株式評価の基礎的な決定要因は維持されること、地政学イベントが株式市場に持続的な痕跡を残すことはまれで、成長動学と金融環境のほうがはるかに重要であること、などである。ハートフォード・ファンズの調査では、地政学ショックの1年後にS&P500が上昇しているのは約70%とされる。市場の底は平均して約3週間で訪れ、2001年9月の同時多発テロ後は5週間、2004年のマドリード事件後は2週間で回復したという整理もある。
結論の方向は発言と整合するが、「ドイツ銀行の研究、100年、30件」という特定の出典と数字は裏取りできていない。
前半の「形骸化をどう解決するか」という質問に対する答えとして、マイキー氏は探索と深化の比重が市場変化に応じて動くことこそが柔軟性だと述べ、その実例として米国のM&Aの潮流を挙げた。かつてはコングロマリット企業が膨れ上がっていったが、コングロマリット・ディスカウントという考え方がある。事業体が多角化するほど正しく評価されず、ディスカウントを受けるという研究がずっとある。パン屋と焼肉屋を両方やっている企業より、焼肉屋一本、パン屋一本のほうが事業としての評価額は高い。ソニーや日立もコングロマリットからスマート化し、どちらの方向を向くのかが分かった瞬間に株価が上がった。最近の米国のM&Aを見ると、買収ではなく事業売却のほうが多く、コングロマリット企業の解消が進んでいる、という指摘である。
具体名として挙がったのが、トライアン・ファンドのネルソン・ペルツだった。ユニリーバとマコーミックの案件がまさにそれであり、彼の投資哲学は事業価値の最大化のためにコングロマリットを解消するというもので、最近のM&Aの多くに関与している、という見立てである。マイキー氏は、彼が株主として入っている先を見てほしいと参加者に勧めた。
コングロマリット・ディスカウント:Lang & Stulz(1994)、Berger & Ofek(1995)、Servaes(1996)が多角化ディスカウントを報告しており、多角化企業のトービンのqは、専業企業のポートフォリオに分解した場合のqより低いとされる。Berger & Ofek(1995)の推計では、多角化企業は各部分の合計よりおよそ13〜15%低く評価されるとされ、その要因として投資の歪み、エージェンシー問題、弱い事業部門への内部補助が挙げられている。ただしその後の研究では、ディスカウントが当初の推計ほど大きいのかについて異論も出ている。
ユニリーバ/マコーミック案件:2026年3月、ユニリーバとマコーミックは、ユニリーバの食品部門をマコーミックと統合する最終契約を発表した。取引規模は448億ドル、リバース・モリス・トラスト方式で、600億ドル規模の「フレーバー企業」を作るとされる。ネルソン・ペルツは2022年にユニリーバの取締役に就任し、トライアンは約1%の株式を保有、食品事業がグループの成長プロファイルとバリュエーションを圧迫していると主張して分割を求め続けてきた。つまりマイキー氏の指摘は事実関係として正確である。ユニリーバにとってこの取引は、コングロマリットモデルを捨て、ビューティ・パーソナルケアへの特化を選ぶという決定にあたる。