評価の非対称と、器の両義性
このレポートが扱うのは、資源依存理論の応用として語られた二つの実務論点である。一つ目は、主宰者がSpaceXの動画を公開した直後という文脈で持ち出した、非公開企業の評価がどう作られるかという話だった。赤字でもユニコーンと呼ばれる企業が山ほどあるのはなぜか。それはサクセスストーリーだからだ、というのが出発点である。1+1=2であるはずのものを1+1=100に見せるからこそ評価が上がる。金融の世界はこのマルチプル戦略を強力に使う、と。
ここで解説されたのがマルチプル・アービトラージである。古いインフラ事業はPER10〜15倍で評価され、バイオテック・宇宙・AIといった新しい産業には業界の暗黙で100倍がつく。同じ利益100万円でも評価額は10倍違う。そしてAI企業がインフラ企業を買収すると、買収されたインフラ事業にも100倍を適用して計算されてしまう。素直に足せば1億1000万円のはずが、2億円の価値ですと平気で言われる。これを見抜けるのは、取引コストが高い段階で入ったシード投資家やシリーズAの投資家であって、彼らがシリーズB・C・Dの投資家にそれを教えることはない。ラウンドが遅くなるほど高い評価で株を買わされる、という構図である。
二つ目の論点は、参加者から出た取締役会についての問いだった。資源依存理論では取締役会が正当性をもたらす装置として位置づけられるが、制度理論の側では、組織は正当性そのものに疑いを持ち、新しい知の探索によって制度を組み替えていく必要があるとされる。すると取締役会は、制度を強化する機能と、新しく作り替える機能の両方を同時に抱えていることになるのではないか。講師はこれを「まさにトレードオフ」と認め、正当性があることで硬直が生まれやすいのは確かだ、と答えた。
評価も取締役会も、実体そのものではなく「どう構成し、どう見せるか」で結果が決まる。そしてどちらも、遅れて入った側・受け身の側が不利になるという点で構造が共通している。
マルチプル・アービトラージ──倍率はどこから来るのか
主宰者の説明はきわめて具体的だった。まず、PER(株価収益率)とは企業利益1ドルに対していくら払う用意があるかを示す指標である、という定義から入る。そのうえで二社を並べた。
会社A はインフラ事業という古い業界にあり、利益は100万円。この業界のPERは概ね10〜15倍で計算されるので、10倍とすれば評価は1000万円になる。会社B はAI・宇宙・バイオといった新しい産業にあり、利益は同じく100万円。しかしこの業界には「AIだから100倍にしよう」という暗黙があるので、将来のストーリーも織り込んで評価は1億円になる。
ここでAI企業がインフラ企業を買収したとする。利益は100万円+100万円で200万円。評価額を素直に足せば1000万円+1億円で1億1000万円である。ところが実際には、買収された側のインフラ事業にも100倍を適用し、「利益200万円だから2億円の価値です」と言い切ってしまう。これがマルチプル・アービトラージであり、ウォール街ではこれを平気でぶちかます、というのが主宰者の表現だった。
では誰がこれを見極められるのか。主宰者の答えは、参入障壁が高く取引コストが高い段階、つまりシード投資家やシリーズAといった非常に早い段階で入っている人たちである、というものだった。彼らはIPO時に売るか、セカンダリーで売り抜けるかを考えている。その彼らが、シリーズB・C・Dで入ってくる投資家にこの構造を説明することは絶対にない。ラウンドが遅くなるほど高い評価で株を買わされる。しかも資金調達が民主化していくと、騙される側の母数が増える──という展開だった。取引コストが高いほうが、むしろ情報を正しく取れる、という前回の論点がここでも繰り返されている。
参加者(小賀さん)はこれを別の言語で受けた。ポーカーゲームであり、最後までどこまで突っ張れるかという話である、と。どこかで再評価されたときに大幅なダウンサイドになるのか、さらに上へ持っていけるのかの分かれ目にすぎず、結局はどういうコンセンサスをマーケットで作るかという問題だ、という整理である。あってないようなものを価値として扱う以上、ブランディングであれ情報の非対称性であれ、使えるものをすべて駆使して最後まで突っ張るしかない、と。
ストーリーテリングが全てを語る──SpaceX・OpenAI・宇宙デブリ
この議論の入口になったのが、主宰者が前日に公開したSpaceXの動画だった。評価が「1.2兆」くらいまで上がったと述べたうえで、あのあたりも本当の適正価格かどうかは誰にもわからない、という文脈で持ち出されている。
📌 Claude補足:SpaceXの評価額の推移
発言中の「1.2兆」という水準は、収録時点(2026年4月16日)の非公開市場での評価を指すと思われるが、この金額に対応する公開情報は確認できなかった。要確認
確認できた範囲では、2025年12月のテンダーオファーは1株約421ドル、企業価値にして約8,000億ドル規模とされる。その後、SpaceXは2026年6月11日に引け後でIPOを値決めし、6月12日にNasdaqへ上場した。上場時の目標評価は1.75兆ドル規模と報じられ、初値は公開価格を上回り、初日のうちに時価総額が2兆ドルを超えたとされる。収録は上場の約2か月前であり、「1.2兆」は上場前の非公開取引ないしセカンダリー市場の水準としてはあり得る値だが、裏取りはできていない。公開データで確認できるのは8,000億ドル(2025年12月)と1.75兆ドル前後(2026年6月)という二点である。
議論はOpenAIへ移った。主宰者は「SpaceXでも聞いた話では──ごめんなさい、OpenAIは上場したくないとCFOが言っていて、サム・アルトマンがCFOを解雇したいと言っている」と述べている。小賀さんは、外部の人間には現在の考えもバリュエーションのロジックも分からないと前置きしつつ、内部でCFOとのあいだに不協和音が出て、それが外に聞こえてきている点は確かだ、と応じた。主宰者の見立ては先行者利益である。AIスタートアップとしてまず注目を浴びたい。そして5月に変わるS&Pの扱いとSEC規制の変化を取りに行きたい。それを競合より早く──そういうプレミアムが欲しいのだろう、と。
📌 Claude補足:OpenAIのIPOをめぐる内部対立
CFOと経営トップのあいだにIPO時期をめぐる対立があるという点は、複数の報道と整合する。CFOのサラ・フライアは2026年第4四半期の上場を推すサム・アルトマンに対し、2027年の上場を主張しているとされ、組織的にIPOの準備ができていないこと、鈍化する収益成長が約6,000億ドル規模のサーバー投資計画を支えられるか疑問であることを挙げていると報じられている。また、直近の1,220億ドル規模の調達のかなりの部分がAmazonとNVIDIA──いずれもOpenAIにクラウドとチップを供給する側でもある──から来る点の複雑さも指摘したとされる。対立の結果、アルトマンはフライアを財務計画に関する複数の議論から外しているという報道もある。なお、フライアは2025年8月以降アルトマンの直属ではない。
ただし「アルトマンがCFOを解雇したいと言っている」という部分に対応する公開情報は確認できなかった。要確認 報じられているのは議論からの排除までであり、解雇の意向については裏が取れていない。
小賀さんは市場環境の側から冷水を浴びせた。3社のメガディールが出て、年内にマーケットの資金がどこまで吸収されるかという問題があるが、クレジットのリスクも出てきている中で、さらなるインフローがあるかといえば厳しい。金利が上昇局面にあるならなおさらだ、と。そのうえで、その日訪問してきた日本の上場会社の例を挙げている。宇宙のデブリを集めている会社で、米系VCは安値で入っているが、それ以上に新たな投資家をどう見つけるかが議論の的になったという。ステージごとに投資家を集めていかなければならないのに、その投資家がなかなか出てこない。どう説明してトランジションしていくかが、いま非常にクリティカルだ、と。
宇宙デブリの回収事業そのものについても、誰が金を出すのかという構造的な問題が指摘された。中国やロシアは宇宙にミサイルを上げているが、共同では金を出さない。結局アメリカ、フランス、イギリス、日本といった先進国が供託資金で出している、と。ゴミを片付けなければ通信に支障が出るという公共財的な必要と、費用負担が偏るという構図が並べられている。
📌 Claude補足:ジェイミー・ダイモンの年次書簡と、ブラックロックの資金流出
会話に出たジェイミー・ダイモンの株主書簡は、2026年4月6日に公表されている。収録の10日前である。内容としては、地政学的紛争、根強いインフレ、AI、銀行規制、プライベート・クレジット市場のストレスといったリスクが挙げられており、AIについては「ほぼすべての機能に影響する」としつつ、過去のテックバブルとの比較には反論し、流入している資本は投機的な過熱ではなく本物の変革性を反映していると論じている。同時に、AIが新しい雇用機会の創出より速く労働者を置き換える可能性、ディープフェイクや誤情報、サイバーセキュリティといった「深刻な新たなリスク」にも言及している。「自社が株主として入っている先への警告が多かった」という主宰者の読みは、私的な読解であり公開報道では確認できない。要確認
一方、後半で出た「ブラックロックがイギリスの年金にどでかいファンドを切られた」という発言については、公開データとの食い違いがある。確認できたのはオランダの年金基金による解約である。2025年にPFZWが約140億ユーロを引き揚げ、2025年12月にはPME(運用規模約700億ドル)が50億ユーロ/59億ドルの株式マンデートを解約してUBSとMN(ハーグ拠点)へ移管した。いずれも気候リスクへの姿勢をめぐるもので、英国ではなくオランダの年金基金である。発言者の記憶違いか、別件の可能性がある。
取締役会は、制度を固めるのか、壊すのか
後半、参加者(神原さん)から出たのがこのセッションで最も構造的な問いだった。資源依存理論では、取締役会は外部の知識・資源へのアクセスをもたらすチャネルであると同時に、正当性をもたらす装置とされる。一方、制度理論では正当性を持つことは制度を強化することであり、しかし組織は正当性そのものに疑いを持ち、新しい知の探索によって制度を組み替えていく必要がある、と学んだ。すると取締役会には、制度を強くする機能と、新しく作り替える機能の両方が混在していることになる。企業は取締役会に求める価値を、その両面性を踏まえて考えなければならない、という解釈でよいか──という問いである。
講師はこの点を「ものすごく重要だ」と受け止めたうえで、正当性の解釈は突き詰めていかねばならない、と答えた。確かに正当性があることで硬直が生まれやすいのは事実である。力関係が強いところから役員を連れてくると、その人の意見が強くなり、引きずられやすくなる。そうなると新しいことが生まれにくくなる。しかしその反面、大きなリソースにアクセスできる経路が手に入る。だから、これはその時々のトレードオフとして判断せざるをえない、というのが講師の認識だった。
アクセルとブレーキを同時に踏む器
主宰者はここに別の角度から入った。取締役会は相反することをしなければ意味がない、というのが持論である。成長のアクセルとブレーキをどこで踏むかというタイミングの問題だ、と。理論の対応でいえば、モニタリングの部分にはエージェンシー理論が来て、暴走や硬直化を防ぎ、客観的な見落としがないかを見る。資源依存の部分では専門知識と社会的信用を持ち込み、リソースを提供する。そして戦略の部分ではスチュワードシップ的な役割──「お前それは暴走しすぎだ」と言ったうえで、ではこうしていこうと示す予見能力を、外部の目でしか見えないものとして提供する。この相反する二つ、成長とブレーキを両方踏めるドライバーであるべきだ、というイメージだった。「イエスマンの取締役はいらない」と言い切っている。
制度を固める側の機能
正当性の調達。大きな相手の信頼を借り、資源へのアクセス経路を得る。ただし力の強い側から来た役員の意見に引きずられると、硬直化する。過去のベストプラクティスの落とし込みや人事制度設計まではここで進む。制度を組み替える側の機能
新しい知の探索。外部の目による予見、暴走の抑制、専門性の持ち込み。神原さんの観察では、日本の取締役会はコーポレートガバナンスの文脈──ブレーキを効かせる目的──で語られることが多く、新規事業の展開がここから生まれている事例はあまり聞かない。投資家側から来る要求の変化
「新規事業に資する取締役の選任は大企業でも行われているのか」という質問に対し、小賀さんは実務の側から答えた。人数の多い大企業でそこを主にやっているケースは聞いたことがない、と前置きしつつ、スキルマトリクスの存在を挙げている。出身のマトリクスとスキルのマトリクスを作り、網羅的になっているかを見て、足りない部分があれば社外から補充する。さらに、投資家がデューデリジェンスの一環として社外取締役との面談を要求してくるケースがこの頃かなり増えており、取締役会での議論そのものを投資家自身が確認しに来ている。だから会社側でも、投資家からミーティングのリクエストがあったときに誰を出すかが議論になっている、と。
そのうえで小賀さんは「知の探索ができるような取締役を入れましょう、というリクエストは今後もっと出てくるべきだ」と述べ、残念ながら今のアクティビストはそこまでの要求をしていないので、投資家と話すときはその観点でもっとやれと言っていきたい、と付け加えた。
誰を座らせるか──女性取締役をめぐる要求と、その根拠
議論は取締役会の構成そのものへ移った。主宰者が指摘したのは、バンガードやブラックロックのスチュワードシップ部門が非常に強くなっており、女性を入れろという声が根拠なしに多い、という点である。これに対し小賀さんは、根拠がないわけではない、と応じた。自身が実際に関与している先には、投資家から「今年女性取締役を入れなかったら反対票を投じる」という通知が来ているという。しかもその投資家は真摯な部類で、レピュテーションも高い。ただしスコアリングをきちんと持っており、スチュワードシップ・コードに基づいてアセットオーナーに説明し、投資先にもスコアリングの良し悪しを通知してエンゲージメントしている、と。
主宰者が「今の段階だと公平ではなく、ある種の帳尻合わせに近くなっていないか」と問うと、小賀さんは「ある意味そうかもしれない」と一部認めつつ、構造的な制約を挙げた。取締役会に何人も入れるわけにはいかず、一人が何社も掛け持ちできるわけでもない。経営者経験のある女性の分母がそもそも少ないのは事実である。ただしアカデミアから社外取締役に入る流れは非常に良いことだ、と。この論点は価値判断が分かれるため、両者の立場をそのまま併記する。主宰者は「比率とか面倒くさいなと思いながら見ている」「男性でも女性でも優秀なら何でもいい」という立場を明言し、小賀さんは「最後はそこ」と同意しつつ、投資家がスコアリングを作るのは彼らのアセットオーナーに対する説明責任のためであり、それをやらないと運用を切られる、と制度的な必然性を説明している。
地域の話としては、女性の活躍が伸びている国としてマレーシアが挙げられ、日本より先を行くかもしれないという見立てが示された。シンガポールやドバイはもともと多く、クウェートとUAEも多かったが、最近はサウジアラビアでも女性取締役が出てきて驚いた、という話も出ている。米国のMBAでは女性比率が45%くらいまで増えているという言及もあった。
📌 Claude補足:女性取締役をめぐる数値の確認
マレーシア:マレーシア・コーポレートガバナンス・コード(MCCG 2021)が取締役会の女性比率30%以上を勧告している。30% Club Malaysia の発足した2015年に14%だった上位上場企業の女性比率は、直近で30.6%まで上昇した。ただし全上場企業で30%を達成するには、さらに300〜350名規模の女性取締役が必要とされている。「日本より進んでいるかもしれない」という発言の方向性は、公開データと整合する。
サウジアラビア:資本市場庁と女性エンパワーメント機関が、女性の指名メカニズムに関するガイドラインを整備し、取締役会の多様性の重要性についての啓発を進めている。ただし2022年時点で、サウジの取締役会に任命された50名のうち女性は10%にとどまる。義務的な30%クオータのような制度は確認できなかった。「出てきたのに驚いた」という発言は、絶対水準ではなく変化の方向を指したものと読める。
米国MBAの女性比率45%:Forté Foundation の集計では、米国フルタイムMBAの女性比率は直近で42%で前年から横ばい、加盟61校のうち8校が男女同数に到達している。加盟校の約3分の1が女性45%以上を受け入れているという数字はあるため、「45%」は全体平均ではなく上位校の水準を指すと考えられる。全体平均としては42%であり、発言の数値はやや高い。
女性取締役の多い銀行は罰金が少ないという統計への言及もあったが、この論点は過去回で詳細に扱われており、本レポートでは繰り返さない(Casu ら "Gender Diversity and Bank Misconduct", Journal of Corporate Finance, 2020。女性3名以上というクリティカル・マスの存在が指摘されている)。なお本セッションでの発言は「2人以上」とされており、研究が指摘するクリティカル・マスは3名以上である点で、人数の記憶にずれがある。
質疑応答
SpaceXやユニコーンの評価は、本当にあれが適正価格なのか(主宰者から小賀さんへ)
答えは誰にもわからない、という前提のうえで、マルチプル・アービトラージの構造が解説された。小賀さんの応答は「ポーカーゲームであり、最後までどこまで突っ張れるかという話」「あってないようなものを価値として扱う以上、ブランディングも情報の非対称性も全て駆使するしかない」というもの。どこかで再評価されたときに大幅なダウンサイドになるか、さらに上へ持っていけるかの分かれ目にすぎない、と整理された。
資源依存理論では取締役会が正当性をもたらすとされるが、制度理論では正当性を疑って組み替えることが求められる。取締役会は制度を強化する機能と作り替える機能の両方を持っているので、企業は取締役会に求める価値をその両面性を踏まえて考えるべき、という解釈でよいか(神原さん)
講師はこの指摘を重要だと認め、正当性があることで硬直が生まれやすいのは事実だと答えた。力関係の強いところから役員を迎えるとその意見に引きずられ、新しいことが生まれにくくなる。反面、大きなリソースへのアクセスが得られる。だからトレードオフで判断せざるをえない、というのが回答である。加えて、自分たちの側から専門性と交渉能力の高い人を送り込まないと、飲まれて硬直化するだけで正当性の強化にも至らない、と補足された。
新しい知の探索に比重を置いた取締役の選任は、大企業でも行われているのか
講師は「大企業でしているケースもある」と答え、小賀さんが実務面を補足した。人数の多い企業でそれを主眼にしているケースは聞かないが、スキルマトリクスで網羅性を確認し、足りない部分を社外から補充する運用は一般化している。さらに投資家がDDの一環として社外取締役との面談を要求するケースが増えており、誰を面談に出すかが社内で議論になっている。知の探索ができる取締役を、というリクエストは今後もっと出てくるべきだし、今のアクティビストはそこまで要求していないので投資家に働きかけたい、という見解が示された。
バンガードやブラックロックが女性取締役を入れろと言うのは根拠がないのでは(主宰者)
小賀さんは、根拠がないわけではないと応じた。投資家はスコアリングを持ち、スチュワードシップ・コードに基づいてアセットオーナーに説明し、投資先にエンゲージメントしている。実際に「今年入れなければ反対票を投じる」という通知が来ている先がある、と。主宰者は「帳尻合わせに近いのでは」と疑問を呈しつつ、最終的には「男性でも女性でも優秀なら何でもいい」という立場を示し、小賀さんも「最後はそこ」と同意した。ただし投資家側には説明責任の必然があり、それをやらなければ運用を切られる、という制度的圧力が併記されている。
宿題・アクションアイテム
- 買収案件のマルチプルを自分で検算する。買収前の両社の評価額を素直に足した数字と、発表された買収後の評価額を並べる。差がどこから来ているのかを説明できなければ、その案件は理解していない。
- 関心のある非公開企業について、どのラウンドで誰が入ったかを調べる。早期に入った投資家と、後から高い評価で入った投資家では、持っている情報が違う。自分がどちら側にいるかを自覚する。
- 自社/投資先の取締役会を、アクセルとブレーキの二軸で採点する。モニタリング(エージェンシー)、リソース提供(資源依存)、戦略的助言(スチュワードシップ)のどれを誰が担っているか。イエスマンの席がいくつあるか。
- スキルマトリクスを実際に見る。上場企業なら開示されている。網羅されているスキルと、空白になっているスキルを確認する。
- (次回予告)次回は取引費用理論とRBV。日程は金曜か土曜で未定、開始が遅れる場合は先に進めていてもよい、後日連絡する、という案内があった。