STUDY REPORT / 2026年4月度 勉強会

依存構造を設計する五つの手――組織はなぜ、自分に都合のいい環境を作りに行くのか

資源依存理論(Resource Dependence Theory)全4回の最終回。前半の理論パートを、五つの戦略・取締役会の四機能・理論の組み合わせという三つの軸で再構成した。
EXECUTIVE SUMMARY

「組織とは何をしている存在か」への一つの回答

5つ
依存を作り替える戦略
4機能
取締役会が運ぶ資源
3類型
M&A(水平・垂直・多角化)
全4回
資源依存シリーズの最終回
2:00
セッション総尺
単独不可
他理論との接合が前提

この回の講義パートは、これまで三回にわたって積み上げてきた資源依存理論を、一つの定義に収束させることから始まった。講師が板書したのは「組織とは、依存構造を戦略的に再設計する主体である」という一文である。抽象的すぎるという自覚があったらしく、すぐに言い換えが添えられた。組織とは、自分に都合のいいように環境を作り変えるために動くものだ、と。いかに快適に過ごせるようにするか、そのために組織は頑張る。それが組織である、という言い方だった。

この定義を置いた瞬間に、資源依存理論は「環境に振り回される組織の悲哀」を語る理論から、「環境そのものを操作対象として扱う能動的な理論」へと反転する。前回まで扱ってきた相互依存と非対称性は、その操作の前提条件にすぎない。では実際に何をどう操作するのか。ここで提示されたのが、M&A・ジョイントベンチャー・取締役会・政治的行動・経営陣の交代という五つの手である。前三者は資源の流れそのものに手を入れる方法、後二者は資源の流れを規定するルールと、判断する主体そのものに手を入れる方法だと整理できる。

五つの手を並べ終えたあと、講義は理論そのものの性格へ踏み込んだ。資源依存理論は単独では成り立たない、必ず他の理論と組み合わせて使え、というのが講師の主張である。これを受けて参加者から「単独で成立する理論とそうでない理論はどう見分けるのか」という質問が出たが、この質問は場の空気を変えた。主宰者が「かなり危険性のある質問だ」と切り返し、理論とは複雑な現実から変数をいくつか抜き出して抽象化したモデルであり、単独の理論で何かを説明しきろうとすること自体が分断的な思考だ、という反論を展開したのである。血液型で人格を決めつけることと構造的に同じだ、という比喩まで持ち出された。

セッションを貫く1本の線:「環境は所与ではなく、作業対象である」
依存は測定して受け入れるものではなく、設計して作り替えるもの。五つの戦略はその工具箱であり、理論はその工具を選ぶための視点にすぎない。だから一つの理論に完結を求めた瞬間に、視点は道具から檻に変わる。
PART 0

前回までの復習──くっつける力と、引き離す力

冒頭の十数分は前回の再掲に充てられた。資源依存が前提として扱うのは、二つの組織のあいだで起こることである。この二組織の「仲の良さ」、すなわち相互依存が高まるほど、両者は協働し、統合し、一つになろうとする方向へ動く。逆に依存が非対称になると、そこに権力差が生まれ、両者は離れていく。講師が繰り返し強調したのは、この二つが一見どちらも「相手に対する強い力」に見えながら、性質としては真逆だという点である。片方は組織と組織をつける力、もう片方は組織と組織を反発させる力だ、と。

では非対称性があるのに統合が起こる場合、何が働いているのか。一つはやはり相互依存を強めること。もう一つとしてこの回で取り上げられたのが代替可能性である。他に選択肢がなければ選ばざるを得ないが、選択肢が多いほど他方を選びやすくなる。したがって、力が強い側は相手の他の選択肢を消すことによって支配を強めることができる。支配とは、力を直接ぶつけることではなく、相手のメニューを減らす作業だという含意である。

📌 Claude補足:資源依存理論の出典と成立年

この回で扱われている枠組みの出典は、Jeffrey Pfeffer と Gerald R. Salancik による The External Control of Organizations: A Resource Dependence Perspective(Harper & Row, 1978)である。2003年に Stanford Business Books から新しい序文つきで復刊されており、現在流通しているのはこの版が多い。組織は環境に依存し、事実上環境によって統制されている、というのが基本主張で、そこから取締役の選任、事業部構造、契約の組み方、対外リンクの設計といった多岐の論点が導かれる。

なお、非対称性と相互依存を明確に分離して扱う議論は Casciaro & Piskorski(2005)の系譜であり、前回(2026年4月13日)の回で詳しく扱われている。本回はその要約から入っている。

PART 1

五つの手──依存を作り替える戦略の全体像

講師はまず三つを挙げた。M&A、ジョイントベンチャー、取締役会である。M&Aは相手を吸収してしまうことで不確実性を極力下げ、資源を安定的に供給できる体制を作る。ただしコストが大きい。そこでコストを抑えながら相手の重要な資源の一部だけを取り込む手段としてジョイントベンチャーが位置づけられる。取締役会は、組織間の仲の良さが強まるほど共同で動きやすくなるという性質を使い、周囲の不確実性への対応能力、すなわちレジリエンスを高める装置として説明された。

残る二つは、資源そのものではなく、資源の流れを決める枠組みに手を入れる方法である。政治的行動は、ルール作りやロビイング、政府との関係構築を指す。ここで講師が念を押したのは、これらが直接には売上にも利益にもつながらないという点だった。つながらないにもかかわらずやる理由は、環境そのものに大きなインパクトを与え、自分たちが過ごしやすい環境を作り、不確実性を減らせるからである。将来的にはこちらのほうが強いインパクトを持つ、という評価だった。

もう一つが経営陣の交代である。周囲の環境は常に変わるのだから、経営陣を「有能か無能か」という軸で選ぶのではなく、いまの環境に適した特性を持つ人を選ぶべきだ、という主張である。財務を強化すべき局面ならファイナンスに強い人、アイデアが必要ならアイデアを出せる人、ルールメイキングが効く局面ならそれに強い人、周囲との協調関係が課題ならコミュニケーション能力の高い人。有能さは環境との関数であって、絶対値ではないという整理だった。

M&Aの三類型

M&Aについてはさらに水平・垂直・多角化の三種類が示された。講師自身が「これ、どこかで見たことないですか」と投げかけ、アンゾフのマトリクスとの接続を指摘している。

類型狙い講義での説明
水平統合競争の排除横並びの同業関係を取り込む。競合を消すことで、価格や供給をめぐる不確実性の源そのものを減らす。
垂直統合コストとコントロールトヨタなど日本の自動車メーカーが分かりやすい例として挙げられた。ここでいうコストは費用だけでなく時間も含む。工程を握れば納期のタイムラグも金銭的な変動も抑えられ、不確実性が減る。
多角化依存の分散事業を増やせばコストはかかり、不確実性も一時的には増す。それでもやるのは、一箇所に依存していると、そこが崩壊したときに変更が効かなくなるからである。依存の分散とはレジリエンスを上げる作業だ、と定義された。
ジョイントベンチャーの二つの意義──①初期コストを抑えて相互依存を調整すること、②M&Aは100%成功するわけではないのでリスクを分散すること。自分たちが取れるリスク許容度に合わせて、相互依存を減らしたり増やしたりする調整弁として使う、という位置づけである。
PART 2

取締役会が運んでくる四つの資源

五つの手のうち、講師が「資源依存理論の中心的な考えを示した人がかなり重要な役割を与えている」と評したのが取締役会である。ここには四つの機能が指摘されている、として挙げられたのが助言・チャネル・アクセス・正当性の四つだった。

機能中身
助言専門知識を取り入れ、それを組織のスタイルに反映させていく。
チャネル内部だけでは分からないことがある。外部から人を入れれば、その人が持つ外部ネットワークがそのまま情報の経路になる。自分たちの知らない知識も同時に入ってくる。
アクセスA社がB社から取締役を迎えれば、B社に対して資金提供、材料の融通、人材の貸与といった依頼がしやすくなる。関係強化は、頼みごとの通りやすさとして現れる。
正当性自社が小さく相手が大きい場合、相手の信頼を借りることができる。虎の威を借る、という比喩で説明された。

したがって取締役会のメンバー構成そのものが戦略の対象になる、というのがこのパートの結論である。誰を入れるかによって組織が使える可能性の幅が変わり、生き残る確率、すなわちレジリエンスが変わる。取締役会は統治の器であると同時に、資源の輸入口でもある。

政治的行動──ルールとポジション

政治的行動については、ルールとポジションという二つの要素で整理された。ルールとは法律や規制そのもので、EV関連の環境規制などが例に挙がった。ポジションとは、政府関係者に近い人がいるほど自分たちに有利な動きをしてもらえる、という関係資本を指す。有利なルールを作るには、まず有利なポジションを取りにいかねばならない。そしてそのポジションを取る手段が、政府に顔の利く人物を取締役会に迎え入れることだ──ここで取締役会の話と政治的行動の話が接続する。五つの手は並列のリストではなく、相互に噛み合う歯車として提示されている。

📌 Claude補足:取締役会の四機能の位置づけ

Pfeffer & Salancik(1978)が取締役会について挙げた機能は、文献によって三分類(助言・正当性・外部資源/ネットワーク)で紹介されることが多く、「助言と忠告(advice and counsel)」「情報伝達のチャネル」「資源への優先的アクセス」「正当性」の四分類で示されることもある。講義の四分類は後者の整理に対応しており、標準的な紹介と矛盾しない。

この視点は、取締役を境界連結者(boundary spanner)として見る研究系譜につながっており、インターロック(役員兼任)を持つ企業のほうが情報と資源を確保しやすく、評判と正当性を高めやすいという実証的主張が積み重ねられている。ただし、業績への効果については研究間で結論が割れており、単純に「外部から入れれば強くなる」とは言えない点には注意が要る。

PART 3

この理論は単独では成り立たない

講義パートの締めくくりとして提示されたのが、資源依存理論の最大の特徴──単独では成り立たない、という性格である。必ず他の理論との組み合わせを考えてくださいと講師は言い、接合先として制度理論、取引費用理論、RBV(リソース・ベースト・ビュー)を挙げた。制度理論は正当性を、取引費用理論は効率性を、RBVは自社の優位性の所在を扱う。さらにソーシャル・キャピタル理論、構造的空隙の議論、埋め込みの理論なども組み合わせ対象として言及された。

この理論は、他の理論と組み合わせることで意味合いと適用範囲を拡大できる理論である──講師はそう定義した。そして、制度理論のあとに資源依存理論を扱った理由も、次に取引費用理論をやる理由も、要は「マッチングしやすいから」だと明かしている。カリキュラムの順序そのものが、理論間の接続可能性に沿って組まれていたということになる。

講師の見解として:主宰者はここで、資源依存理論だけが特別に「単独では不完全」なのではなく、他の理論も本来は交差点が多く、単独で完成しないのは同じだ、と補足している。資源依存理論についてその点が強調されているのは、この理論が自己完結を目的にしていないからであって、理論の完成度が高い・低いという話ではない、という整理だった。フレームワークとしての自己完結度が高い例としてはポーターの競争理論が挙げられている。

境界条件と、地図の比喩

「単独で成立する理論としない理論の見分け方は」という参加者の質問に対し、主宰者は見分け方を答えるのではなく、質問の前提そのものを問題にした。理論とは、複雑な現象からいくつかの変数を抜き出してモデル化した抽象物である。だから単独の理論で説明しきろうとすること自体が、分断的な思考を持ってしまっている、という指摘である。人の感情は一つの理論に当てはめられるか。血液検査だけでその人の性格を決められるか。B型だろうがO型だろうが、それは一つの抽象化にすぎない。同じことを理論でやろうとするのは、犯罪率の高い国の人は全員犯罪者だ、と言うのと同じ構造になってしまう──固定概念につながる危険がある、というのが「危険性のある質問だ」と言った理由だった。

ここで持ち出されたのが境界条件(boundary condition)の概念である。理論には必ず有効範囲があり、その外側にあるリスクは同時に無視されている。解像度を上げているぶん、外部要因の細かなリスクは切り捨てられている。だから完璧な理論は存在しない。理論とはある角度からの視点を最大化し、ノイズを排除して設計されたものだ、という説明である。経営学の一理論は、社会学も心理学も行動経済学も全部排除したうえで成り立っている。そもそも人間は合理的に動かず感情で動く。それを排除して解像度を単純化したものが理論だ、と。

📌 Claude補足:アルフレッド・コージブスキーと「地図は現地ではない」

この文脈で主宰者が引いたのは、ポーランド系米国人の一般意味論の創始者アルフレッド・コージブスキー(Alfred Korzybski)の有名な命題である。彼は1931年12月28日、ニューオーリンズでのアメリカ数学会の会合で発表した講演でこの表現を用い、1933年の主著 Science and Sanity で広く知られるようになった。原文は「地図はそれが表す現地ではないが、正しければ現地と似た構造を持ち、それゆえに有用である」というもので、人間の認識は神経系と言語に制約されており、誰も現実に直接アクセスすることはできない、という主張につながる。

講義では、道路地図だけでは土地の起伏も天候も渋滞もわからず、目的地に効率よく着くには気象図も重ね合わせなければならない、という形で言い換えられていた。「地図がありゃなんとかなる」という状態が、単一理論への依存の比喩として使われている。発言の趣旨は原典の含意と整合している。

PART 4

GMとフィッシャー・ボディ──資源依存で読むホールドアップ

セッション後半、講師は前回の質疑で出たGMの話が正しく伝わっていなかったと判断し、あらためて事例を説明し直した。話の中身はホールドアップ問題である。GMは自動車ボディの製作をフィッシャー・ボディという会社に依頼していた。内製すればコストがかかるので外注し、しかも分散させると一時的にコストが上がるので一社に集中させた。集中させれば相手も開発に協力してコストを下げてくれる──それがGMの意図だった、と。

結果として何が起こったか。一社に集中したことで、フィッシャー・ボディの側に決定権が握られてしまい、コストはむしろ上がっていった。会社の規模でも通常の力関係でもGMのほうが大きいにもかかわらず、一社に依存したことでGMはその強さを活かせなかった。これがホールドアップ問題として知られる事例であり、エージェンシー問題の文脈でも語られるが、資源依存理論でも説明できる問題の一つとして挙げられる、というのが講師の整理だった。

📌 Claude補足:この事例には「本当にそうだったのか」という重大な反論がある

GMとフィッシャー・ボディの逸話を取引費用の文献に持ち込んだのは、Benjamin Klein・Robert Crawford・Armen Alchian の1978年論文 "Vertical Integration, Appropriable Rents, and the Competitive Contracting Process" である。資産特殊性のもとでのホールドアップを緩和するための垂直統合の古典例として、きわめて広く引用されてきた。この点で講義の説明は、教科書的な標準解釈をなぞっている。

ただし2000年に、この事実関係そのものが複数の研究者から独立に否定されている。Ronald Coase、Ramon Casadesus-Masanell & Daniel Spulber、Robert Freeland らによる論文が同年の Journal of Law and Economics 4月号などに相次いで発表され、「フィッシャーはGM組立工場の近くへの立地を拒んではいなかった(1924年以前に実際には併設していた)」「GMがフィッシャーを買収した主目的は、ホールドアップ回避というよりフィッシャー兄弟の知識と経営手腕の獲得だった」という反論が示された。Klein は2000年に再反論を書き、依然としてホールドアップ解釈を維持しているが、決着はついていない。

したがって、「一社集中がホールドアップを生む」という理論的含意は有効でも、GM/フィッシャー・ボディを実証事例として扱う場合は論争があることを明示すべきである。講義ではこの論争には触れられていない。事例の強度に依存した議論を組み立てるときは、この点を自分で確認しておいたほうがよい。

AIリサーチへの戒め──講師はこの説明に続けて、「AIではリサーチにならない」と度々伝えているが無視する人がいるようだ、と苦言を呈した。AIを利用するのは構わないが、AIに書いてあることをそのまま信用するのはやめましょう、と。「これ以上簡単に言う方法が分かりません。もし簡単に伝わる方法が分かったら教えてください」という言い方だった。前回わざと答えを全部出さなかったのも、全部言ってしまうとリサーチ力が鍛えられないからだ、と説明されている。
Q&A

質疑応答

単独で成立する理論と、そうでない理論の違いや見分け方を教えてほしい(前田さん)

講師の回答は、一つにはフレームワークがしっかりしていることだ、として、最も分かりやすい例にポーターの競争理論を挙げた。ただし今回の資源依存理論について「単独では成立しない」と強調されているのは、理論の完成度の問題というより、この理論が自己完結を目的にしていない=視点の提供を目的にしているからだ、と補足している。他の理論も本来は交差点が多く、単独では完成しないのは同じで、これは味方(視点)の問題である、と。

(同じ質問に対して主宰者から)その質問には危険性がある

理論は複雑な現実から変数を抽出して抽象化したモデルであり、一つの理論で説明しきろうとすること自体が分断的な思考である、という指摘。血液型で人格を決めつけること、犯罪率の高い国の人は全員犯罪者だと言うことと構造が同じで、固定概念につながる危険がある、と。理論には境界条件があり、外側のリスクは意図的に無視されている。人間はそもそも合理的に動かず感情で動くのだから、それを排除して解像度を単純化したものが理論だ、という整理だった。

GMが破綻したとき、取引を失う恐れから中小企業が他分野の製品を作ったり別の技術を磨いたりした、という理解で合っていますか

講師の回答は内容への回答ではなく、質問の構造への指摘だった。「何を言っているのかさっぱりわからない。主語がどこにかかっているのか分からない」と。話すときに構造的に話さないと絶対に相手に伝わらないので、苦手なら文章に書き出す練習をしないと構造は捉えられない、というアドバイスが添えられた。

(主宰者による質問意図の再構成)

主宰者は、質問の趣旨を「GMが破綻しかけたとき、周りのティア1・ティア2企業が行き場を失い、既存の事業やサービスを残したうえで新しいことをやらないと生き残れないので、新しい産業に入ろうとした経緯がありますよね、という話か」と言い換え、質問者の同意を得た。そのうえで主宰者が問題にしたのは別の点だった──なぜ答え合わせをしに来るのか、と。「合っていますか」と聞かれて、こちらが知らなかったらどうするのか。自分とマイキーが持っている回答が100%正しい保証はどこにあるのか。自分で調べて確認するしかない。答え合わせをしに行く癖をやめましょう、というのがこの回で最も強く出されたメッセージの一つである。

(講師の補足)なぜ主宰者は質問の意図を当てられたのか

説明から分かったわけではなく、情報を拾っていって可能性が高いものを推定しただけだ、という解説。「中小企業」と言いながら「新しい産業を」と言ったので、おそらく中小企業ではなくティア1・ティア2の話だろうと切り替えた。GMの部品メーカーには大手も多いので中小だけではないはずだが、カーメーカーに生産量を依存しているのは間違いない──そこから紐解いただけで、合っているかどうかは知らない、と述べている。

ACTION

宿題・アクションアイテム

  1. 五つの戦略を自社・投資先に当てはめて棚卸しする。M&A(水平・垂直・多角化)/ジョイントベンチャー/取締役会構成/政治的行動/経営陣交代のうち、どれを使い、どれを使っていないか。使っていない手があるなら、それは意図的な選択か、単に思いついていないだけか。
  2. 取締役会の四機能で、いまの取締役を採点する。助言・チャネル・アクセス・正当性のどれを誰が担っているか。どれも担っていない席があるなら、それは何のための席か。
  3. 次回は取引費用理論。資源依存理論と接合しやすいという理由で選ばれている。あわせてRBV(バーニー)も扱う予定で、その際はポーターの競争理論との対比で見るとよい、という指針が示された。
  4. AIの出力を裏取りせずに使わない。AIを使うこと自体は構わないが、書いてあることをそのまま信用しない。前回、答えをあえて全部出さなかったのはリサーチ力を鍛えるためである、という意図が明かされている。
  5. 話すときに構造を意識する。苦手な人は文章に書き出す練習をする。書き出して何度か見直すと、自分で書き直したくなる経験が生まれる。その経験がない人は、構造的な説明はうまくならない、という指摘。
  6. 答え合わせをしに行く癖をやめる。「これで合っていますか」ではなく、自分で調べて確認する。次回日程は金曜か土曜で未定、開始が遅れる場合は先に進めていてもよい、という連絡があった。
GLOSSARY

用語集

資源依存理論(RDT)組織は必要な資源を外部に依存しており、その依存構造を戦略的に再設計する主体である、とする組織理論。Pfeffer & Salancik(1978)。
代替可能性他に選択肢があるかどうか。選択肢が多いほど依存は弱まる。逆に相手の選択肢を消すことは支配の手段になる。
制約吸収不確実性の源を組織の内側に取り込んでしまうこと。M&Aや垂直統合がその典型。
インターロック(役員兼任)他社の役員を自社の取締役に迎える、あるいは相互に送り合う関係。助言・チャネル・アクセス・正当性を運ぶ経路になる。
境界条件(boundary condition)理論が有効に働く範囲。範囲の外にあるリスクは、その理論では意図的に無視されている。
ホールドアップ問題特定の相手に依存した投資をした結果、相手に足元を見られて交渉力を失う状態。規模で勝っていても起こりうる。
アンゾフのマトリクス既存/新規の製品と市場の組み合わせで成長戦略を分類する枠組み。M&Aの三類型と接続する。
レジリエンス外部の不確実性に対して立て直せる能力。依存の分散も、関係の強化も、最終的にはここを上げるための手段として説明された。