LITE NASDAQ 光通信・AIデータセンターインフラ

ルメンタム(Lumentum Holdings)

JDSUからのスピンオフを起源とする光通信部品大手。GoogleのTPUネットワーク向けOCS(光回路スイッチ)供給で存在感を高め、AIデータセンター向け光インフラ需要の急拡大を追い風に業績が急変動している「AI光学インフラ」銘柄。

01 / OVERVIEW

スナップショット

株価

約$159.3

2026/7/27時点

時価総額

約$113.0億

2026/7/27時点

PER(実績)

140〜190倍超

情報源により大きく乖離、急騰・急落の影響

FY26 Q3売上高予想

$7.8〜8.3億

前年同期比 約+85%予想

出典:MarketBeat、Google Finance、stockanalysis.com(2026/7/27時点、株価変動が非常に大きいため情報源間で乖離)。同社株は直近高値から約33%下落する場面もあるなど値動きが荒い点に留意。

02 / SEGMENT

事業ごとの売上構成

事業セグメント別 売上高構成比

88%
12%
Cloud & Networking 約88% Industrial Tech 約12%

データセンター向け光トランシーバー・EML(電界吸収型変調レーザー)・OCS(光回路スイッチ)を手掛けるCloud&Networkingが収益の大半を占める。Industrial Techは産業用高出力ファイバーレーザーと、スマホ・車載向けVCSEL(垂直共振器面発光レーザー)で構成。

OCS(光回路スイッチ)事業の急拡大

OCS四半期売上目標(2026年末)$100M/四半期

Google(TPUネットワーク向けR300等)との複数年契約を軸にOCS事業が急拡大しており、本格的な量産は2027年初頭を見込む。

出典:Lumentum Q3 FY26決算資料、各種アナリストレポート。

03 / HISTORY

創業からの歴史

ルメンタムの起源は1999年、光ファイバー通信のパイオニアであったJDS Fitel社とUniphase社の合併により誕生したJDSU(JDS Uniphase)に遡る。2015年8月、JDSUは通信・商用光学製品(CCOP)事業をルメンタム・ホールディングスとしてスピンオフし独立上場、残った親会社はVIAVIソリューションズに社名変更した。その後2018年12月に光通信部品メーカーOclaroを買収して長距離・メトロ・データセンター向け製品ラインを強化し、2022年8月にはNeoPhotonics社との統合を完了。一貫して光通信部品業界の再編を主導する側に立ち、M&Aを通じて事業領域を拡大してきた沿革を持つ。
04 / MISSION, VISION, VALUE

ミッション・ビジョン・バリュー

「光の力でデータの移動を加速する」ことを核に、フォトニクス(光工学)技術をデータセンター・通信インフラから産業・民生用途まで展開する企業として自らを位置づける。近年はAIデータセンターの電力・帯域制約を光技術で解決するという方向性が明確になっており、OCS(光回路スイッチ)を軸とした「AIインフラの物理層を担う」という経営思想が強まっている。
05 / LEADERSHIP

現経営者の特徴・過去の実績

2025年2月、マイケル・ハールストン氏がアラン・ロー氏の後任としてCEOに就任した。ロー氏はJDSUのCCOP事業を率いた実績を背景に、スピンオフ直後の2015年からルメンタムの初代CEOを10年近く務め、Oclaro・NeoPhotonicsの統合を主導してきた。ハールストン新体制下では、OCS・データセンター向け光学技術への投資を加速させており、Google等の大口顧客との複数年契約獲得が最初の大きな成果として挙げられる。半導体・通信業界での豊富な経験を持つ経営陣が、AIインフラ投資の波に乗る形で事業を再加速させている段階にある。
06 / LATEST EARNINGS

直近決算の結果・ガイダンス

FY2026 第3四半期 業績ガイダンス

指標予想レンジ前年同期比評価
売上高$7.8億〜$8.3億約+85%急拡大
OCS事業四半期$100M到達目標2026年末に照準

株価は2026年に入り一時大幅高となったのち、直近高値から約33%下落する場面もあるなど、AI関連の期待と実需のギャップを巡り値動きが荒い。

前年同期比+85%という成長率見通しはAIデータセンター向け光学部品需要の急拡大をそのまま映しているが、株価は既にこの急成長のかなりの部分を織り込んでおり、実際の四半期結果が期待に届くかどうかで変動が大きくなりやすい局面にある。
07 / REVENUE & PROFIT

売上高の推移

売上高の推移(FY2017〜FY2025、10億ドル)

FY17 FY18 FY19 FY20 FY21 FY22 FY23 FY24 FY25 売上高 営業利益
年度売上高純利益
FY2017$1.00B-$0.103B
FY2018$1.25B$0.242B
FY2019$1.57B-$0.038B
FY2020$1.68B$0.136B
FY2024$1.36B-$0.547B
FY2025$1.65B

出典:stockanalysis.com、各年8-K決算発表資料。FY2021〜FY2023の正確な年次値および直近純利益の確定値は情報源間で一致するデータが確認できず、一部「―」表示とした。FY2025は前年比+21.0%の増収。

08 / VALUATION

バリュエーションの状況

PERは情報源により140倍台〜190倍超まで幅があり、株価自体が短期間で大きく変動していることが背景にある。2026年に入りAI光学インフラ期待から株価は歴史的な急騰を演じたのち、直近高値から3割超調整する場面も見られた。伝統的なバリュエーション指標での評価が難しく、OCS事業やGoogleとの契約進捗といった将来の収益貢献にどこまで確信が持てるかが、実質的な投資判断の分かれ目となる。
09 / CAPITAL RETURNS

ROIC・WACC・ROEの状況

FY2024の大幅純損失(-$5.47億)の影響でROE・ROICともに直近ではマイナス圏にあったとみられる。公式なWACC開示・信頼できる第三者推計は限定的で、定量的な資本収益性の評価は現時点では難しい。OCS事業の量産開始(2027年初頭見込み)以降、収益性がどう変化するかが今後の焦点となる。
10 / CASH FLOW

キャッシュフローの推移

年度営業CFフリーCF
FY2024$0.025B
FY2025$0.126B-$0.105B

営業CFは改善傾向にあるものの、OCS・データセンター向け生産能力増強のための設備投資が先行し、FY2025のフリーCFはマイナス。出典:MacroTrends。

11 / INVESTMENT & M&A

直近の投資・M&A状況

過去はOclaro(2018年)・NeoPhotonics(2022年)と光通信部品メーカーの買収を通じて規模を拡大してきたが、直近の投資の重心はM&Aから自社生産能力の拡張(OCS量産に向けた設備投資)に移っている。Googleとの複数年供給契約はM&Aによらない有機的成長の代表例であり、今後も大口クラウド事業者との直接契約を軸にした投資判断が続くとみられる。
12 / SEGMENT GROWTH

主要事業ごとの成長性

セグメント別の成長ドライバー

Cloud&Networking:OCS事業がGoogle等の大口契約を背景に急拡大、2026年末に四半期$100M到達を目指す。Industrial Tech:VCSEL(車載・民生向け)は高収益だが規模は限定的、産業用レーザーは横ばい傾向。
成長のほぼ全てがCloud&Networking、その中でも特にOCS事業に集中している。2027年初頭の本格量産開始に向けて、契約獲得のペースと生産能力の立ち上がりが今後1年の最大の注目点となる。
13 / COMPETITIVE POSITION

競争優位性や業界内でのポジション

「光通信・AI半導体サプライチェーン」レポートで整理した通り、光通信インフラのアクティブ層(電気⇔光変換部品)における主要3社の一角として、ルメンタムはOCS(光回路スイッチ)という独自技術で差別化を図っている。OCSは遅延をほぼゼロに抑えつつ電力消費を6割削減できるとされ、GoogleのTPUネットワークへの独占的供給という強力な顧客基盤を確保している点が最大の競争優位性である。一方でGoogleへの依存度の高さは諸刃の剣であり、他の大口顧客への展開ペースが今後の焦点となる。
14 / SCP ANALYSIS

SCP理論からの分析

Structure(市場構造)

光トランシーバー・光回路スイッチ市場はInnolight・コヒレント・ルメンタムの寡占構造。OCSという新しい技術方式では現状ルメンタムが先行しているが、他社の追随余地も残る。

Conduct(企業行動)

Googleとの複数年契約という「大口顧客との垂直的な連携」を軸にした事業拡大が特徴的な企業行動。生産能力の増強投資を先行させ、量産開始(2027年初頭)に備える構え。

Performance(業界トレンド・帰結)

AIデータセンター投資の拡大という強い追い風の中、ルメンタムは前年同期比+85%という高成長を見込む一方、株価は既に大きくAI期待を織り込んでおり、実際の量産進捗とのギャップが株価変動の主因となっている。
15 / INVESTMENT THESIS

これらの分析結果をもとにした現在の投資妙味

ルメンタムは、GoogleのTPUネットワーク向けOCS供給という強力な顧客基盤を武器に、AIデータセンター向け光インフラの成長を最も直接的に体現する銘柄の一つである。前年同期比+85%という成長率ガイダンスは魅力的だが、株価自体が急騰・急落を繰り返す非常にボラティリティの高い銘柄であり、伝統的なバリュエーション指標での判断は難しい。OCS量産開始(2027年初頭見込み)の進捗と、Google以外の顧客への展開状況を継続的に確認する必要がある。
16 / WATCH POINTS & RISKS

今後の注目ポイントやリスク要因

注目ポイント

OCS四半期売上$100M到達の進捗(2026年末目標)/2027年初頭の量産立ち上がり状況/Google以外の大口顧客獲得/Cloud&Networking事業の成長持続性/Industrial Tech(VCSEL等)の収益貢献度。

リスク要因

Googleへの高い依存度(顧客集中リスク)/AI投資サイクル減速時の急激な株価調整リスク(既に高値から3割超の下落を経験)/OCS量産の遅延リスク/コヒレント・Innolightとの技術競争激化/PERが極めて高水準にある中での期待剥落リスク。