スナップショット
株価
3,401円
2026/8/27 終値
時価総額
約1.59兆円
2026/8/17 時点(IRBANK)
PER(予想)
17.2倍
2026/8/17 時点
保有株数
―
未確認
事業ごと・国/エリアごとの売上高比率
事業セグメント別 売上高(2026年3月期)
事業セグメント別 利益(2026年3月期)
国・エリア別 売上高(2026年3月期)
出典:The社史 API(the-shashi.com/tse/6479/financials、有価証券報告書XBRLベース)。
この2枚のグラフの対比が同社の本質である。売上構成比では最小(17.1%)のプレシジョンテクノロジーズ(ベアリング等)が、セグメント利益では全体の47%を稼ぎ、利益率21.5%と他事業(4.5〜5.7%)を圧倒している。売上の35%を占めるセミコンダクタ&エレクトロニクスは利益率4.5%にとどまる。つまりミネベアミツミは「祖業のベアリングで稼ぎ、その利益で買収した低採算事業を回している」構造が続いており、M&Aによる規模拡大が全社の利益率を希釈している。地域別では日本28.7%・米国22.0%・中国17.5%と分散が効いており、特定国への依存度は同業比で低い。なお構成比はセグメント合計(16,874億円)に対する比率で、全社売上高16,644億円との差は消去・調整額。
創業からの歴史
出典:The社史(the-shashi.com/tse/6479、ミネベアミツミ有価証券報告書第79期【沿革】等に基づく)、日本経済新聞、日経ビジネス。
ミッション・ビジョン・バリュー
出典:ミネベアミツミ CEOメッセージ・統合報告書2025(minebeamitsumi.com)、日経ビジネス(2022年11月)。
現経営者の特徴・過去の実績(レジリエンスの観点)
出典:The社史(役員・沿革)、東洋経済オンライン(2025年7月12日)、JBpress。
直近決算の予想・ガイダンスに対する結果
2026年3月期 通期実績と2027年3月期 会社予想
| 指標 | FY2026実績(2026/3期) | 前期比 | FY2027会社予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 1兆6,644億円 | +9.3% | 1兆6,900億円 | +1.5% |
| 営業利益 | 1,040億円 | +10.1% | 1,200億円 | +15.4% |
| 親会社所有者帰属当期利益 | 990億円 | +66.6% | 830億円 | ▲16.2% |
| 営業利益率 | 6.2% | ― | 7.1% | 改善 |
| 自己資本比率 | 48.9% | +2.7pt | ― | ― |
| 有利子負債 | 4,825億円 | +189億円 | ― | ― |
出典:ミネベアミツミ2026年3月期決算短信(minebeamitsumi.com)、株探、The社史(有報XBRL)。
売上高・利益の推移(直近10年間)
売上収益(FY2017〜FY2026、3月期、億円・IFRS)
営業利益(億円)
親会社所有者に帰属する当期利益(億円)
営業利益率(%)
出典:The社史(the-shashi.com/tse/6479/current、有価証券報告書XBRLベース)。
この4枚を並べると同社の課題が一目でわかる。売上はFY2017の6,389億円からFY2026の1兆6,644億円へ10年CAGR+11.2%で一貫して伸び、10年間で一度も減収がない(コロナ期のFY2021ですら+1.0%)。しかし営業利益率は10年前の7.7%からFY2026の6.2%へむしろ低下しており、レンジは5.2〜8.2%に収まったまま切り上がっていない。つまりこの10年の成長は「利益率を犠牲にした規模の拡大」であり、M&Aで買った事業の利益率が既存事業より低いことが数字に表れている。裏を返せば、営業赤字を一度も出していない安定性は本物で、下方耐性と利益率上昇の欠如がコインの裏表になっている。長期目標である営業利益率10%を達成できるかどうかが、この銘柄の中期的な評価を決める最大の論点である。※税引前利益は集計元で個別に開示されていないため、営業利益と当期利益を掲載した。
PERの推移(直近10年間)
PER関連指標(現時点で確認できた値)
| 項目 | 数値 | 時点 |
|---|---|---|
| 予想PER | 17.22倍 | 2026/8/17 |
| 予想PER | 17.4倍 | 2026/8/14 |
| 予想PER | 22.37倍 | 2026/6/18 |
| 予想PER | 18.05倍 | 2026/5/20 |
| PERレンジ(2010〜2026年) | 4.5〜82.3倍 | 長期 |
| 時価総額 | 約1.59兆円 | 2026/8/17 |
出典:IRBANK(irbank.net/6479/per)。
※各期末(3月末)実績PERの10年系列は、今回のデータ取得ではIRBANKの年次テーブルにアクセスできず、確認できた個別時点の値のみを掲載した。10年分のPER推移グラフは次回更新時に反映予定。推測値による作図は行っていない。
ROIC・WACC・ROEの推移
当期利益率(純利益÷売上収益、%)
ROE・ROIC・WACC概算とスプレッド
| 年度 | NOPAT(概算) | 投下資本(概算) | ROIC(概算) | ROE(概算) | WACC(概算) | スプレッド |
|---|---|---|---|---|---|---|
| FY2025(2025/3) | 709億円 | 11,946億円 | 5.9% | 8.1% | 約7.1% | ▲1.2pt |
| FY2026(2026/3) | 780億円 | 13,695億円 | 5.7% | 11.2% | 約7.1% | ▲1.4pt |
試算方法:NOPAT=営業利益×(1−実効税率25%)。投下資本=自己資本+有利子負債で、総資産は有利子負債÷有利子負債比率、自己資本は総資産×自己資本比率から逆算した概算値(各比率はThe社史の有報XBRL集計)。WACCは、リスクフリーレート2.9%(2026年8月28日の日本10年国債利回り)、マーケットリスクプレミアム5.5%、β1.1、負債コスト1.8%(税引後1.35%)、時価ベースの資本構成で試算した。
ROICは5.7〜5.9%で、概算WACCの7.1%を1〜1.4ポイント下回る。ローム(スプレッド▲8.5pt)と比べれば損益分岐点にはるかに近いが、それでも「買収を重ねて投下資本を増やしたぶん、まだ資本コストを回収しきれていない」というのが現状の評価になる。ROEはFY2026に11.2%へ改善したが、これはレバレッジ(自己資本比率48.9%)が効いている面が大きく、事業そのものの効率を示すROICは横ばいである。ROIC5.7%とWACC7.1%のギャップを埋めるには、営業利益で概算+250億円(=営業利益率7.7%相当)が必要で、会社予想のFY2027営業利益1,200億円(利益率7.1%)はその手前まで来る計算になる。
※有利子負債の絶対額が確認できたFY2025・FY2026の2期のみを掲載。10年分の系列は次回更新時に反映予定で、推測値による補完は行っていない。
営業・投資・財務・フリーキャッシュフローの推移(直近10年間)
キャッシュフロー4種(FY2017〜FY2026、億円)
出典:The社史(the-shashi.com/tse/6479/current、有報XBRLベース)。
営業CFは10年間で441〜1,337億円のレンジを維持し、一度もマイナスになっていない。一方でフリーCF(営業CF+投資CF)は10年通算で概算+1,842億円と黒字ではあるものの、FY2023(2023年3月期、ホンダロック買収期)は▲622億円、FY2025は+79億円、FY2026は+121億円と、直近3年はほぼ「稼いだキャッシュを全部、設備投資とM&Aに使い切る」状態にある。財務CFがプラスになる年(FY2021、FY2023、FY2025)は買収資金を借入で賄った年で、有利子負債は4,825億円まで積み上がった。配当性向30%への引き上げと2.5兆円の売上目標を両立させるには、今後のフリーCF創出力が問われる。
直近の投資・M&A状況
出典:ミネベアミツミ有価証券報告書【沿革】【企業結合】、同社プレスリリース(2025年8月21日)、日本経済新聞(2025年9月11日)、The社史。
主要事業ごとの成長性
セグメント別 前期比成長率(FY2025 → FY2026)
| セグメント | 売上高 | 前期比 | セグメント利益 | 前期比 | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| プレシジョンテクノロジーズ | 2,890億円 | +9.7% | 622億円 | +11.8% | 21.5% |
| モーター・ライティング&センシング | 4,694億円 | +12.3% | 269億円 | +17.1% | 5.7% |
| セミコンダクタ&エレクトロニクス | 5,962億円 | +8.1% | 267億円 | +21.2% | 4.5% |
| アクセスソリューションズ | 3,327億円 | +1.3% | 171億円 | +7.3% | 5.1% |
出典:The社史 API(有報XBRLセグメント情報)、ミネベアミツミ決算資料。利益率=セグメント利益÷セグメント売上高。
競争優位性や業界内でのポジション
SCP理論からの分析(市場構造・企業行動・業界トレンド)
Structure(市場構造)
Conduct(企業行動・規制リスク)
Performance(業界トレンド・収益性への帰結)
これらの分析結果をもとにした現在の投資妙味
※本セクションは公開情報に基づく分析であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。
今後の注目ポイントやリスク要因
注目ポイント(カタリスト)
② データセンター向けファンモーター・電源の受注拡大ペース。生成AI投資の直接的な受益経路。
③ セミコンダクタ&エレクトロニクス(売上構成比35%・利益率4.5%)の利益率改善。ミネベアパワーデバイスのPMI進捗が鍵。
④ 2029年3月期・売上2.5兆円/営業利益2,500億円という長期目標に対する中間進捗の開示。
⑤ 芝浦電子に代わる「相合」のピースを埋めるM&A。価格規律を保ったまま実行できるか。
⑥ 配当性向30%方針のもとでの増配継続(2027年3月期は10円増配計画)。
リスク要因
② アクセスソリューションズの減益。FY2027第1四半期に大幅減益。自動車生産の変動・関税・コスト増に直接さらされるセグメント。
③ 財務レバレッジ。有利子負債4,825億円、自己資本比率48.9%。直近3年のフリーCFが薄く、金利上昇局面では調達コストが利益を圧迫する。
④ 米国関税・通商政策。米国向け売上22.0%。関税や現地生産要求の変化が採算を直撃しうる。
⑤ 東南アジア生産集中。タイ・カンボジア・フィリピンへの依存は、コスト優位である一方で地政学・自然災害・現地賃金上昇のリスクを内包する(2011年タイ洪水の前例)。
⑥ M&Aの選別リスク。「3秒で決める」即断主義は、成功時のスピードと引き換えに、統合難易度の高い案件を抱え込む可能性を伴う。
⑦ 為替。海外売上比率が7割超で、円高局面では円換算の利益が圧縮される。