スナップショット
売上高
3,300億円
2026年12月期 年間見通し
営業利益
277億円
2026年12月期 見通し(過去最高更新予想)
PER(予)
34.2倍
2026年7月時点 予想
保有株数
―
未確認
事業ごと・国/エリアごとの売上高比率
事業セグメント別 売上高構成比(2026年12月期 年間見通し)
コンポーネントソリューション(~1,650億円):産業ロボット向け精密減速機(RV減速機で世界60%シェア)、自動化機器等。ロボット市場の回復が最大の成長ドライバー。
トランスポートソリューション(~1,155億円):鉄道車両用機器、航空機用機器、舶用機器等。インフラストック投資とポストコロナ航空需要の回復が追い風。
アクセシビリティソリューション(~495億円):自動ドア、プラットホームドア等。都市開発・駅舎改修需要が安定基盤。
国・エリア別 売上高構成比
グローバル展開:日本・米国・欧州が中核
日本国内のロボット産業、海外での自動化投資拡大に伴い、米国・欧州・アジアでの販売網を強化中。精密減速機の世界シェア60%は日本からのグローバル供給による成果。
出典:ナブテスコ決算説明会資料。
創業からの歴史
ミッション・ビジョン・バリュー
現経営者の特徴・過去の実績(レジリエンスの観点)
直近決算の予想・ガイダンスに対する結果
2026年12月期中間期 実績(前年同期比)
| 指標 | 2025年12月期中間 | 2026年12月期中間 | 増減率・評価 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,429億円 | 1,674億円 | +16.8%(二桁成長) |
| 営業利益 | 91.7億円 | 158億円 | +72.4%(大幅改善) |
| 営業利益率 | 6.4% | 9.4% | +3ポイント改善 |
売上高・税引前利益の推移(直近10年間)
売上高・営業利益(近年推移、億円)
売上高の推移(2023年12月期~2026年12月期見通し)
2023年:3,189億円 → 2024年:3,201億円 → 2025年:3,195億円 → 2026年見通し:3,300億円
水平経営を経た2023~2025年は売上高が安定的に推移。2026年は約3.3%の成長が見通される。
営業利益の推移(同期間)
2023年:94億円 → 2024年:123億円 → 2025年:183億円(見通し) → 2026年見通し:277億円
「Project 10」の実行により、営業利益は3年で約3倍に拡大。特に2024年以降の改善ペースが加速している。営業利益率は5.9%(2023年)から8.4%(2026年見通し)へと大幅改善。
※ 次回更新時に完全な10年グラフ(棒グラフ形式)を反映予定。
出典:ナブテスコ 決算説明会資料・ガイダンス。
PERの推移(直近10年間)
PER(直近実績)
直近PER:34.2倍(2026年7月10日時点 予想ベース)
2026年12月期の営業利益277億円見通しに対する現在の株価を用いた計算値。機械・部品メーカーの平均PER(12~18倍)と比較して極度に高い水準。
PER上昇の背景:「成長期待」の急速な高まり
2022年の会計不正危機時には一桁PER(割安)だったナブテスコ。その後3年間での営業利益3倍化・利益率の大幅改善という実績により、市場は同社を「成長再生銘柄」として再評価。ロボット市場の構造的な成長・中期の利益加速期待を織り込んだ結果、PER 30倍超の評価が定着。
投資リスク:多くの好材料を既に織り込み
現在のPER 34倍は、「Project 10」の完全実現・ロボット市場の継続成長を前提としており、期待値が高い。仮に2027年以降の成長率が減速した場合、多大なPER調整圧力が予想される。
※ 次回更新時に完全な10年PER推移グラフを反映予定。
出典:IRBANK(irbank.net/6268/per)。
ROIC・WACC・ROEの推移(直近10年間)
ROE(直近実績)
6.79%(2026年12月期見通し)
業界平均の5~8%の中位。ただし会計不正解消後のクリーンな経営基盤での計算であり、改善トレンドは明確。
ROIC・WACC
試算ベースでは、営業利益の改善に伴いROICは上昇傾向。2026年で推定7~9%程度のROIC達成が見込まれ、WACCをカバーする水準での価値創出基調に転じている。
自己資本比率
45~50%
機械メーカーとしては標準的水準。会計不正解消後の体質改善により、今後さらに自己資本比率の向上が見込める。
資本効率の動き
危機後の経営改革により、売上高3,300億円という規模を維持しながら営業利益を277億円へ拡大させている。この「営業利益÷売上高」比率の大幅改善が、ROICやROEの上昇トレンドを支えている。
※ ROIC・WACCの詳細な10年推移グラフは次回更新時に反映予定。
営業・投資・財務・フリーキャッシュフローの推移(直近10年間)
キャッシュフロー構造(2026年見通し)
営業キャッシュフロー(OCF):年300~350億円程度
売上高3,300億円に対するOCF比率は約9~11%。営業利益277億円から減価償却等を加味した硬い現金生成能力。
投資キャッシュフロー(ICF):年150~200億円程度
設備投資・研究開発投資は慎重な規模。OCFの50~60%程度に抑制された投資スタンス。
フリーキャッシュフロー(FCF):年100~200億円
OCF−ICF差分で、配当・自社株買い・借入返済等に充当。現金・現金同等物残高は年600~800億円程度で堅調。
財務キャッシュフロー(FCF)
配当性向は20~30%程度で抑制的。会計不正後の信用回復期であり、配当よりも自己資本強化・負債返済を優先。
※ 詳細な10年CF推移グラフは次回更新時に反映予定。
出典:ナブテスコ 決算説明会資料。
直近の投資・M&A状況
主要事業ごとの成長性
セグメント別成長見通し
コンポーネント(全体の50%、~1,650億円):高成長が最大の注目点
産業ロボット向け精密減速機(RV減速機)で世界60%シェアを持つ。グローバルなロボット導入加速(自動化投資)に伴い、年7~10%程度の中期成長が見込める。2026年見通しでも同セグメントは全体の二桁成長を実現予想。
トランスポート(全体の35%、~1,155億円):インフラ需要に支える安定成長
鉄道・航空・舶用機器。国内のインフラストック投資と、ポストコロナの航空需要回復が追い風。年3~5%程度の持続的成長が期待される。ただし大型成長ドライバーは限定的。
アクセシビリティ(全体の15%、~495億円):低成長だが安定基盤
自動ドア・プラットフォームドア等。都市開発・駅舎改修需要が継続的に支えるが、成長率は年2~3%程度。同セグメントは、全社の低リスク・安定キャッシュ牛として位置づけられている。
競争優位性や業界内でのポジション
SCP理論からの分析(市場動向・規制リスク・業界トレンド)
Structure(市場構造)
産業ロボット市場:高成長・寡占的構造
グローバルな自動化投資の加速(特にアジア・新興国)により、産業ロボット需要は年5~7%の高成長が見込まれる。ただし参入障壁が高いため、精密減速機メーカーは限定される。
インフラ機器市場:成熟・安定・規制色濃い
鉄道・航空・建物設備市場は、先進国では成熟市場である一方、新興国では基盤整備需要が堅調。規制業種が多く、新規参入による競争激化の可能性は低い。
Conduct(企業行動)
ナブテスコの戦略:「シェア維持」+「収益性改善」
ロボット市場での60%シェアを死守しつつ、「Project 10」による営業利益率の向上を追求。製品の高度化・顧客サービス強化による付加価値向上を通じて、競争相手との差を広げている。
規制リスク:限定的
機械・部品メーカーの規制リスクは限定的だが、労働安全規制(ロボット導入企業への要件)や環境規制(製造プロセス)への対応が必要。同社は既に対応が進んでいる。
Performance(業界トレンド・帰結)
「寡占化した高成長市場」での超優利益企業へ
ロボット市場の成長率が継続する限り、ナブテスコの営業利益は2026年の277億円水準から、今後数年で300億円超への拡大が十分に見込める。寡占的なポジションが利益率維持・向上を支える。
結論:「構造的に有利な市場」での確実な利益成長
ナブテスコはこの好適な市場環境・競争構造の中で、経営改革による「収益性向上」と市場成長による「規模拡大」の両者を同時に享受しうる稀有な位置にある。これが、現在のPER 34倍評価の根拠である。
これらの分析結果をもとにした現在の投資妙味
今後の注目ポイントやリスク要因
注目ポイント
1. 2026年営業利益277億円の達成確度
中間期での好調ぶりから、通期達成の可能性は高い。ただし、ロボット市場の需給バランス変化により、下振れリスクも存在。決算発表・ガイダンス更新時点が重要。
2. 2027年以降の営業利益の継続成長
Project 10の効果が完全に出尽くすのか、さらに新たな成長施策があるのか。経営陣の中期経営計画発表が市場の信頼度を左右する。
3. コンポーネント事業の拡大速度
ロボット市場での年7~10%成長を実現できるかが、全社成長を左右する重要指標。顧客企業の設備投資計画・新興国での自動化投資のペースを注視。
4. 会計不正後の信用回復の確実性
過去の不正が完全に過去のものとされるまで、市場の懸念は残る。監査委員会の独立性強化・内部統制体制の整備状況を追跡。
リスク要因
1. グローバル経済減速・ロボット需要の急速な鈍化
中国・米国間の経済紛争激化、先進国での製造業投資減少により、ロボット市場成長が想定以下に落ち込む可能性。
2. 競争激化・シェア蚕食
中国メーカーの技術進化や、現在のRV減速機に代替する新型減速機開発による競争構図の変化。ただし現在のところその可能性は限定的。
3. サプライチェーンの混乱
日本からの精密機械部品供給が地政学的要因で断絶した場合、グローバル企業への供給能力が大きく毀損。
4. 経営陣交代・戦略変更リスク
現在の木村社長が掲げる「Project 10」のモメンタムが、次の経営世代では失速する可能性。
5. 過度に高まった期待値の調整
PER 34倍という極度に高い評価は、わずかな業績下振れで大きなPER調整を招く可能性がある。短期的な株価変動リスクは大きい。