268A 東証プライム 分析・計測機器

リガクホールディングス

創業75年、X線分析・計測機器の国内トップ・グローバル2位メーカー。半導体プロセス・コントロール機器がAI半導体需要を追い風に急成長し、2026年4月には米Onto Innovationとの資本業務提携(株式27%取得・新筆頭株主化)で技術・資本の両面から次のステージへ。事業構造・沿革・経営者・財務推移からSCP分析までをナラティブでまとめました。

01 / OVERVIEW

スナップショット

株価

2,433円

2026/7/13時点

時価総額

約5,518億円

発行済株式数 226,506,100株

PER(予想)

約44倍

2026年12月期予想EPS 55.25円ベース

保有株数

100

ポートフォリオ登録数

出典:IRBANK(irbank.net/268A)、みんかぶ(minkabu.jp/stock/268A)。株価・PERは日次変動のため証券会社アプリ等で最新値をご確認ください。2024年10月に東証プライム上場したばかりの銘柄のため、株価指標の長期トラックレコードは限定的です。

02 / SEGMENT

事業ごと・国/エリアごとの売上高比率

事業セグメント別 売上高構成比(2025年12月期、売上収益941.9億円)

多目的分析機器
584億円(62%)
半導体プロセス・コントロール
278億円(29.5%)
部品・サービス
80億円(8.5%)
単一の「理科学機器の製造・販売」セグメントの中で、製品カテゴリー別に開示。半導体プロセス・コントロールは売上構成比こそ約3割だが、営業利益率30%前後と他事業より高く、2026年12月期には全社利益の49%を占める見込み。

国・エリア別 売上構成

海外売上比率
約70%
国内売上比率
約30%
創業以来90ヵ国超に展開。2025年は多目的分析機器で米国(アカデミア予算削減)・中国(補正予算の反動)が軟調な一方、欧州は+27%と好調。半導体プロセス・コントロールはアジアが大幅増、日本も伸長、米国は減少と、事業・地域ごとに明暗が分かれた1年だった。

出典:BigGoファイナンス(2025年12月期決算説明会まとめ、finance.biggo.jp)、ログミーファイナンス2025年12月期第3四半期決算説明会(finance.logmi.jp)。

03 / HISTORY

創業からの歴史

1951年、理学電機株式会社として創立。翌1952年には世界初となる回転対陰極型X線発生装置「ロータフレックス」を開発し、1954年には日本初の自動記録式X線回折装置「ガイガーフレックス」を世に送り出すなど、創業初期からX線技術のパイオニアとして歩んできた。2004年に理学電機と販売会社の株式会社リガクが統合し、事業会社「株式会社リガク」として再出発。以降、X線回折(XRD)・蛍光X線(XRF)・熱分析・分光分析などへ製品領域を広げ、アメリカ・欧州・中東・中国・アジアを含む90ヵ国超で事業を展開するグローバル企業へと成長した。
大きな転機は2021年1月。米カーライル・グループが、当時の代表取締役社長・志村敏夫氏と共同出資する持株会社(Atom Investment, L.P.が約80%、志村氏が約20%)を通じてリガクの全株式を取得するレバレッジド・バイアウト(LBO、投資額1,000億円強)を実施し、非公開化した。カーライルとの提携下でガバナンス強化・海外販売体制の拡充・半導体プロセス・コントロール機器への戦略投資を進めた結果、LBO直後の2021年12月期に34億円の最終赤字だった業績は、2022年に黒字転換、2023年に109億円、2024年に136億円と急速に回復・拡大。2024年10月25日、持株会社リガク・ホールディングス株式会社として東京証券取引所プライム市場に新規上場を果たした。2025年に創業75周年を迎え、2026年4月にはカーライル系Atom Investmentが保有株式の一部(27%)を米国の半導体計測装置大手Onto Innovationへ譲渡し、Ontoが新たな筆頭株主となる資本業務提携を締結するなど、上場後もオーナーシップの構造が動き続けている。

出典:リガク・ホールディングス公式サイト沿革(rigaku-holdings.com)、M&A Review「X線分析・測定・検査機器のトップメーカー『リガク』がカーライルと組んで描く成長戦略」(marr.jp)。

04 / MISSION, VISION, VALUE

ミッション・ビジョン・バリュー

リガクグループの企業理念は「科学技術の進歩を通して人類社会の発展に貢献する」。社是には「顧客を大切にする 人を大切にする 技術を大切にする」を掲げ、技術者集団としての矜持を経営の根幹に据えている。事業スローガンとしては「視るチカラで、世界を変える」を打ち出し、X線を中心とした分析・計測技術によって、見えないものを見える化することで社会に貢献するという姿勢を一貫させている。
グローバルビジョンには「One and Only Global Technology Company(唯一無二のグローバル技術企業)」を掲げる。規模で競うのではなく、独自のX線コア技術を軸に多目的分析機器から半導体プロセス・コントロール、さらにはライフサイエンス(電子密度トポグラフィー)まで応用領域を広げる「技術の横展開」戦略は、2026年4月のOnto Innovationとの資本業務提携(X線技術×光学計測技術の融合)にも色濃く表れており、理念と実際の事業ポートフォリオ戦略が高い整合性を保っている。
05 / LEADERSHIP

現経営者の特徴・過去の実績(レジリエンスの観点)

代表取締役社長の川上潤氏は2023年1月に就任した。航空機エンジン・医療機器・情報通信など幅広い産業での経営経験を持ち、2017年にはアルテリア・ネットワークス株式会社の代表取締役社長CEOに就任し、2018年12月の東証一部(当時)上場を成功に導いた実績を持つ。2020年からカーライル・ジャパンのシニア・アドバイザーを務め、2021年3月にリガクの取締役に就任するなど、カーライルによるLBO・再建・IPOという一連のプロセスを内側から主導してきた「プライベートエクイティ・ポートフォリオ経営」の専門家である。
レジリエンスという観点では、2021年のLBO直後に34億円の最終赤字を計上した状態から、2022年に黒字転換、2023年に109億円、2024年に136億円と2年連続の大幅増益を実現した再建力がまず挙げられる。さらに、2025年は多目的分析機器事業が米国アカデミア予算の削減や中国補正予算の反動という逆風に見舞われ、通期の調整後営業利益率が前年比約3ポイント低下する厳しい年となったが、通期のガイダンスは据え置いたまま第4四半期に計画どおりの着地を実現。2026年第1四半期も売上高-13.0%・営業利益-77.8%という大幅な落ち込みとなったが、これを「想定通りの端境期」と説明し通期計画を据え置く一方で、同じタイミングでOnto Innovationとの資本業務提携という大型の戦略ディールをまとめ上げるなど、短期業績の変動に動じず中長期の技術・資本戦略を進める胆力が同社の意思決定の特徴といえる。
06 / LATEST EARNINGS

直近決算の予想・ガイダンスに対する結果

2026年12月期 第1四半期実績(前年同期比)

指標2026年1-3月期実績前年同期比評価
売上収益179.33億円-13.0%大幅減収
営業利益6.3億円-77.8%大幅減益
純利益3.29億円-82.8%大幅減益
通期ガイダンス据え置き「想定通りの端境期」と説明

2026年12月期 通期:会社計画 vs アナリスト・コンセンサス(QUICK)

指標会社計画アナリスト・コンセンサス
売上高1,010億円(前期比+7.2%)1,030.2億円
営業利益194億円(同+16.1%)196.7億円
純利益125億円(同+9.6%)135.4億円
2025年12月期通期は売上収益941.9億円(前期比+3.9%)とガイダンスを達成した一方、戦略投資の継続や生産能力拡大に伴うコスト増で調整後営業利益率は前年比約3ポイント低下する「増収減益」だった。この流れを受けた2026年第1四半期は、トランプ政権下の政策影響が続く米国アカデミア市場の落ち込みなどから大幅減収減益となったが、四半期ごとの案件計上タイミングに業績が左右されやすい同社のビジネスモデル(JEP=共同評価開発プログラムの売上計上や、大型装置の検収時期による偏り)を踏まえ、会社側は通期の増収増益見通しを据え置いている。アナリスト・コンセンサスは会社計画をやや上回る水準にあり、市場は年後半の挽回をある程度織り込んでいる。

出典:株探ニュース(kabutan.jp)、日本経済新聞(nikkei.com)、BigGoファイナンス(finance.biggo.jp)。

07 / REVENUE & PROFIT

売上高・営業利益の推移

売上収益・営業利益(2022〜2026年12月期予、億円)

627億 FY22 799億 FY23 907億 FY24 942億 FY25 1,010億 FY26予 売上収益 営業利益
営業利益は2022年63.3億円→2023年153億円→2024年184億円と急拡大した後、2025年は167億円へ▲9.0%の減益(多目的分析機器の逆風+戦略投資の継続)。2026年は194億円(+16.1%)への回復を計画。

出典:IRBANK(irbank.net/E39892/results)。同社は2021年のLBOにより持株会社体制へ再編されており、2021年以前は非公開企業として詳細な財務数値が開示されていないため、10年分の連続データではなく2022年以降(IPO前後)の実績・計画を掲載している。

08 / VALUATION

PERの推移

PER(上場後レンジ〜現在値、倍)

12.8倍 2024-25年 安値 26.1倍 2024-25年 高値 約44倍 現在(2026/7/13)
2024年10月の上場後、PERは12.8倍〜26.1倍のレンジで推移していたが、2026年に入り半導体プロセス・コントロール事業の成長期待や自己株買いによる需給改善を背景に株価が上昇し、直近では40倍台まで切り上がっている。2026年12月期は減益基調のQ1を経ており、EPS予想(55.25円)に対する評価は「AI半導体関連の成長株」としての将来収益を織り込んだ水準といえる。

出典:IRBANK PERチャート(irbank.net/268A/per)。上場から日が浅く10年分のPER推移データは存在しないため、上場後(2024年10月〜)のレンジと直近値を掲載。

09 / CAPITAL RETURNS

ROIC・WACC・ROEの推移

ROE(自己資本利益率、2022〜2026年12月期予)

1.7% FY22 16.7% FY23 16.7% FY24 12.9% FY25 14.3% FY26予

ROIC(概算試算)

ROIC(概算)
7.8%
2025年12月期の税引後営業利益(営業利益167億円×(1-30%)≒117億円)÷投下資本(有利子負債622億円+株主資本884億円=1,506億円)で概算。公式開示はなく当サイトの独自試算。

WACC(概算試算)

WACC(概算)
6〜8%
無リスク金利(日本10年債利回り約2.8%)+株式β(新規上場・値動きの大きい銘柄として1.2〜1.4程度と仮定)×エクイティ・リスクプレミアム(5〜6%)で概算。ROIC(約7.8%)がWACC(6〜8%)を辛うじて上回る水準で、価値創出はしているがスプレッドは厚くない。

出典:ROE・ROAはIRBANK実績値(irbank.net/E39892/results)。ROIC・WACCは公式開示がないため当サイトによる概算試算で、正式な財務指標ではありません。ROEは2023-24年の16%台から2025年に12.9%へ低下しており、2025年の増収減益局面で資本効率がやや悪化したことを示している。

10 / CASH FLOW

営業・投資・財務・フリーキャッシュフローの推移

営業・投資・財務・フリーCF(2022〜2025年12月期、億円)

FY22 FY23 FY24 FY25 営業CF 投資CF 財務CF フリーCF
営業CFは2024年146億円をピークに2025年は93.9億円へ減少(増収減益・運転資本の影響)。設備投資は半導体プロセス・コントロール向け生産能力拡大により2023年28.3億円→2024年63.6億円→2025年66.5億円と急増しており、フリーCFは2025年27.6億円まで圧縮された。財務CFのマイナス幅拡大は、2025年に実施した自己株買い40.3億円(上限40億円枠を消化)が主因。

出典:IRBANK(irbank.net/E39892/cf)。2021年以前は非公開企業のため開示データがなく、2022年以降のみ掲載。

11 / INVESTMENT & M&A

直近の投資・M&A状況

最大のトピックスは2026年4月21日に締結した米Onto Innovation(半導体ウエハ計測装置大手)との資本業務提携である。筆頭株主だったカーライル系Atom Investment, L.P.が保有株式の一部61,123,436株(発行済株式の27.00%)を約7億1,000万ドルでOnto Innovationに譲渡し、Atomの持株比率は42.03%から15.03%へ低下して筆頭株主の座を明け渡し、Onto Innovationが新たな筆頭株主(27.00%)となった。提携契約には譲渡制限期間中の株式処分禁止、追加取得制限、優先引受権(50%保有維持が条件)、非常勤取締役指名権などが盛り込まれている。
提携の狙いは、リガクのX線技術とOnto Innovationの光学計測・解析ソフトウェア技術を補完的に融合し、次世代半導体(GAA・CFET等の3次元トランジスタ、HBM等の先端メモリ)に対応した計測ソリューションを高度化すること。両社は2030年までにリガク製品で少なくとも3億ドル規模の新市場創出を目指すとしており、計測から解析、顧客の歩留まり管理までを一体化したソリューション構築を掲げている。設備投資面でも、半導体プロセス・コントロール事業の生産能力拡大やシリコンバレー・台湾へのRTC(Rigaku Technology Center)新設など、2024〜2025年にかけて年60億円台への急増が続いている。株主還元も強化しており、2025年は自己株買い40.3億円(上限40億円枠を消化)と配当28.3億円を合わせた総還元性向は72.8%に達した。

出典:日本経済新聞(nikkei.com)、PR TIMES(prtimes.jp)、IRBANK配当推移(irbank.net/E39892/dividend)。

12 / SEGMENT GROWTH

主要事業ごとの成長性

成長ドライバー(2025年12月期実績・2026年12月期計画)

半導体プロセス・コントロール:2025年売上278億円(+19%)、2026年計画は+20%超。新製品売上比率は2025年24%→2026年41%へ拡大し、AI半導体向け比率は71%に達する見通し。GAA・CFET・HBM等の次世代トランジスタ/メモリ計測ニーズを捉えた新製品(XTRAIA XD/MF、ONIC3200、T-SAXS等)が牽引し、2026年にはセグメント利益が全社利益の49%に到達、2027年の中期経営計画最終年度には過半を占める見込み。
多目的分析機器:2025年は前年比▲2%とほぼ横ばい(米国アカデミア予算削減・中国補正予算の反動)。2026年はインダストリー向けを+11%成長させ、セグメント全体で+4%を目指す。マテリアル・インフォマティクス、全固体電池、SiC/GaNパワー半導体、ライフサイエンス(電子密度トポグラフィー)など新市場の開拓が中長期の成長余地。
部品・サービス:EUV向け多層膜ミラーの縮小をサービス収入(保守契約拡大・価格改定)の成長で補完し、横ばい〜微増を維持。
最も明確な成長エンジンは半導体プロセス・コントロール事業である。AI半導体の高度化(微細化・多層化・3次元構造化)に伴い、従来は光学式・電子線式が主流だった半導体計測領域にX線ベースの独自技術で切り込み、大手ファウンドリ・メモリメーカーとの共同評価開発(JEP)を積み重ねながらシェアを広げている点が特徴的だ。一方、祖業である多目的分析機器は市場サイクル(特に米国アカデミア予算や中国の景気対策)の影響を強く受けやすく、成長の主役というより、新市場開拓(マテリアル・インフォマティクス、次世代電池、パワー半導体)を通じた安定成長への回帰が当面のテーマとなる。
13 / COMPETITIVE POSITION

競争優位性や業界内でのポジション

リガクの競争優位性の核はX線分析・計測技術における圧倒的な蓄積にある。X線回折装置(XRD)市場では国内シェア76%(2024年)で第1位、グローバルでも26%のシェアで第2位につけ、独Bruker・蘭Malvern Panalyticalとともに実質的な寡占市場を形成している。半導体プロセス・コントロール分野でも、超格子計測(Si/SiGe)や高精度な薄膜計測において、独自の微小スポット光学系デバイスや多層膜ミラー×湾曲結晶を組み合わせた測定システム、遺伝的アルゴリズムを用いた解析ソフトウェアなど、他社が容易に模倣できない技術的な参入障壁を築いている。
創業75年にわたる技術・特許・顧客基盤の蓄積に加え、2026年のOnto Innovationとの資本業務提携により、X線技術と光学計測技術を組み合わせた「計測から解析、歩留まり管理まで」を一体化するソリューション展開が可能になる見込みで、単独の装置メーカーから半導体計測エコシステムの中核プレーヤーへとポジションを進化させつつある。総合分析機器メーカーとしての規模では大手グローバル企業に及ばないが、「X線」という切り口で唯一無二の技術的地位を築いている点が、同社の中長期的な収益性の源泉になっている。

出典:Strainer(strainer.jp)、OpenWork社員クチコミ、ログミーファイナンス決算説明会(finance.logmi.jp)。市場シェアは2024年時点の推計値。

14 / SCP ANALYSIS

SCP理論からの分析(市場動向・規制リスク・業界トレンド)

Structure(市場構造)

X線分析機器市場はリガク・Bruker・Malvern Panalyticalの実質的な寡占構造。半導体プロセス・コントロール(計測)市場はKLAなど光学式・電子線式の大手が主流の中、X線ベースの新興ニッチプレイヤーとしてリガクが台頭しており、Onto Innovationとの資本提携により競合ではなく補完的なポジションを選択した点が構造的に興味深い。

Conduct(企業行動)

大型M&Aで一気に規模を追うのではなく、顧客との共同評価開発(JEP)による技術検証を積み重ねる着実な事業拡大と、Onto Innovationとの資本業務提携という「補完的アライアンス」型の資本配分が特徴。積極的な自己株買い・配当(2025年総還元性向72.8%)と、生産能力拡大・R&D投資(2025年設備投資66.5億円)という成長投資を同時に進める、株主還元と成長投資の両立志向が一貫している。

Performance(業界トレンド・帰結・規制リスク)

AI半導体の高度化(GAA・CFET・HBM等の次世代トランジスタ/メモリ構造)が半導体プロセス・コントロール事業の構造的な追い風となっており、同事業の利益貢献度は2026年に49%、2027年に過半へ拡大する見通し。一方、多目的分析機器は米国アカデミア予算や中国の財政政策といった政治・地政学要因に業績が左右されやすく、半導体分野についても米中間の先端半導体規制・輸出管理の強化・緩和の動向が顧客企業(ファウンドリ・メモリメーカー)の設備投資サイクルを通じて間接的に業績へ波及するリスクを内包する。四半期ごとの案件計上タイミング(JEP収益化や大型装置の検収時期)による業績のブレが大きい点も、業界特有の収益認識構造に起因する。
15 / INVESTMENT THESIS

これらの分析結果をもとにした現在の投資妙味

リガクホールディングスの投資妙味は、①X線分析機器で国内首位・グローバル2位という技術的寡占ポジション、②AI半導体の高度化を追い風に急成長する半導体プロセス・コントロール事業(2026年に全社利益の49%、2027年に過半を計画)、③2026年4月のOnto Innovationとの資本業務提携による技術・資本両面での強化(2030年に3億ドル規模の新市場創出目標)、という3点の組み合わせにある。上場からまだ日が浅く時価総額5,000億円台の中型グロース株でありながら、創業75年の技術蓄積を土台にした「AI半導体の計測銘柄」というテーマ性を持つ点が独自の位置づけといえる。
一方で、PERは上場後レンジ(12.8〜26.1倍)から40倍台へと大きく切り上がっており、将来の高成長を相当程度織り込んだバリュエーションになっている。2025年の増収減益、2026年第1四半期の大幅減益(会社側は「端境期」と説明)に見られるように、四半期ごとの業績変動が大きいビジネスモデルである点を踏まえると、短期的な株価のボラティリティを許容しつつ、半導体プロセス・コントロール事業の成長軌道とOnto Innovation提携の進捗という中長期のテーマで評価すべき銘柄と言える。
16 / WATCH POINTS & RISKS

今後の注目ポイントやリスク要因

注目ポイント

・Onto Innovationとの提携進捗(2030年3億ドル規模の新市場創出目標)とクロージング後の資本構成の安定性
・半導体プロセス・コントロールの新製品売上比率(2025年24%→2026年41%目標)とAI向け比率(71%目標)の達成度
・多目的分析機器のインダストリー向け成長(2026年+11%目標)とマテリアル・インフォマティクス等新市場の立ち上がり
・自己株買い・配当を含む株主還元の継続(2025年総還元性向72.8%)
・2026年第2〜4四半期の業績回復ペース(会社計画・アナリストコンセンサス対比)

リスク要因

・米国アカデミア予算・政策動向、中国の財政政策など地政学・マクロ要因による多目的分析機器の需要変動
・半導体業界の設備投資サイクルの循環性(メモリ増産投資の遅延・前倒し)
・JEP収益化や大型装置の検収タイミングのブレによる四半期業績の大きな変動
・PERが40倍台まで切り上がっており、成長期待が剥落した場合のバリュエーション調整リスク
・カーライル系Atom Investment(提携後も約15%を保有)による将来的な追加株式売却の可能性