STUDY REPORT|マイキークラブ 講義録

投資リサーチの視点

収録日:2026年8月7日(文字起こし元動画公開:2026年8月7日)
形式:オンライン講義+質疑応答/講師:マイキーさん
参加者(発言順):前田さん・小島さん・まゆみさん・長崎さん・佐藤さん 他
OVERVIEW / 本レポートの位置づけ

本レポートの概要|投資リサーチの視点

この回のレポートは全3本に分割しています。本ファイルはその1本目、テーマは「投資リサーチの視点」です。

分析難企業数
4
三井物産・NTT・ソニー・日立
ヒカル公演チケット
1300
即完売、最高額2万2000円
次回公演
9/23
明治座で立川流第2回公演予定
マイキー予定
8
8月〜12月の告知イベント件数

冒頭は前日の会食エピソードと、マイキーさんが高校時代に中南米を単身で巡った体験談から始まる。マヤ・アステカ・インカ文明の違いを地政学的に読み解く姿勢は、後半で語られる三井物産・NTT・ソニー・日立など「事業構造が複雑で分析しづらい」企業をどう評価するかという投資リサーチの議論に接続していく。GEやハンファグループの分割事例との対比も紹介される。

雑談パートでは、人気YouTuberヒカル氏の落語家デビューも話題になった。前田さんは炎上を経て短期間でデビュー公演を成功させた点をダイナミックケーパビリティの実例ではと提起したが、マイキーさんは既存のファン層という得意分野を使っている点に慎重な見方を示し、メディアを手放したガーシー氏の方が弱みと向き合う姿勢に近いとの私見を述べた。

最後に、次回までの宿題として、マシュー・サイド著『失敗の科学』とチャールズ・ダーウィン『種の起源』の読書、チョークポイント視点での企業再分析、日経平均とTOPIXの計算方法を踏まえた指数の見直し、ドラクエでの「センスメイキング」体感などが提示された。あわせてマイキークラブの8月22日の感謝祭から12月のハウスセミナーまで、8件のイベントスケジュールも共有されている。

オープニングトーク:フィールドワーク型の学びと投資リサーチの共通点

冒頭は前日の会食(森田さんによる和牛のプレゼンテーション)への感想から始まり、マイキーさんが高校時代(16〜18歳)にメキシコ・イスラエル・エジプト・カンボジア・マルタなどを単身で巡り、マヤ文明/アステカ文明/インカ文明の違いを地政学的な視点で学んだ体験談が語られた。文字と農業様式の違い(マヤ=発達した文字と灌漑技術、アステカ=絵文字と濃厚な労働型社会、インカ=キープによる数量管理と行政組織力)から、同じ中南米でも文明ごとに強みが全く異なる点、また「勝者が歴史を書く」ため一面的な歴史理解に陥りやすい点が指摘された。

📌 Claude補足 マヤ・アステカ・インカの文字体系についての発言はおおむね史実と整合する。マヤ文明は中米で唯一、表語文字と音節文字を組み合わせた高度な文字体系(マヤ文字)を発達させていたことで知られる。アステカ(メシーカ)は絵文字(ピクトグラム)中心の記録法を用いた。インカ帝国は文字を持たず、キープ(結び目のある紐)で数量や記録を管理する独自のシステムを用いていた。これらは考古学・人類学の分野で広く確認されている一般的な理解であり、講義内の説明と齟齬はない。

この体験談は雑談として語られたものだが、後半の投資分析の話題と地続きになっている。「現地に行き、一次情報に触れ、既存の説明を疑いながら複数の情報源を突き合わせる」という姿勢は、後述する三井物産や日経平均分析における「感知(センシング)」の考え方と重なる構成になっている。

なぜ三井物産・NTT・ソニー・日立は「分析しづらい」のか

雑談の延長として、ロックウェル・オートメーションやライフサイエンス領域の案件対応を通じて感じた「事業構造が複雑で外部から評価しにくい企業」の話題になった。三井物産は資源・非資源・半導体・核融合エネルギーなど要所(チョークポイント)を幅広く押さえている優良企業だが、社長任期が慣例的に6年程度とされ、後任がやりやすいように数値目標を明確化しない傾向があるため、外部からは経営の意図が読み取りにくいと指摘された。直近の中期経営計画で数値目標がぼかされたと市場に受け止められ、株価が下落した局面があったという話も出た。

📌 Claude補足 三井物産の社長交代サイクルや今回の中期経営計画における数値目標の記載方法の詳細(「社長任期6年」「次期社長就任が2026年7月」という発言内容)は、公開情報から明確な裏付けを確認できなかったため「要確認」とする。三井物産は2025年5月に中期経営計画2026の進捗を公表しており、2026年3月期の当期利益目標を9,200億円としていることは確認できたが、社長交代時期や目標数値の「ぼかし」に関する具体的経緯は一次資料での確認が必要。

「見えにくい優良企業」に共通する構造

同様の文脈でNTT・ソニー・日立の名前も挙がった。NTTは事業セグメントが多岐にわたり要点が絞りにくいために株価が評価されにくいのではという仮説、ソニーは金融・エンタメ・半導体など事業の「ごちゃごちゃ感」ゆえに単純比較が難しいという指摘、日立はコロナ禍後に不採算事業を大胆に売却・再編した「分かりやすい改革」を行った点で対照的な例として語られた。GE(ゼネラル・エレクトリック)が航空・電力・ヘルスケアに会社分割した事例、ハンファグループが分かりやすい例として挙げられ、複雑な複合企業(コングロマリット)の「見せ方」の巧拙が株式市場での評価に直結するという論点が提示された。

タイプ企業例市場での見られ方
説明が難しく評価が割安になりやすい三井物産・NTT・ソニー・日立事業セグメントが多く要点が絞りにくい/セグメント・ディスカウントが効きやすい
分割・スピンオフで分かりやすくしたGE、ハンファグループ単純化により評価されやすくなるが、事業間シナジー(権利関係)を失うリスクもある
もともと単純明快に見せているテスラ、ファーウェイ、BYD実態は複雑でも対外的な見せ方が上手く、分かりやすさが評価につながる

マイキーさんは「垂直統合の流れが強い今、無理にスピンオフすると権利関係が使えなくなる」というトレードオフにも言及し、複雑な事業構造を持つ企業を分析する際は、表面的な数字だけでなく「どのチョークポイントを押さえているか」という本質的な価値に着目することの重要性を強調した。

ヒカルの落語デビューは「ダイナミックケーパビリティ」の実例か

最後の雑談では、人気YouTuberヒカルの落語家デビューが話題に上がった。前田さんは「炎上をきっかけに心理的安全性を作り、短期間でデビュー公演を成功させた事例」としてレジリエンス理論やダイナミックケーパビリティに重なるのではと提起したが、マイキーさんはこれに慎重な見方を示した。すでに知名度の高い自分のメディア(YouTube)や既存のファン層という「得意分野」を活用している時点で、真のダイナミックケーパビリティ(自らの弱みに向き合い、不慣れな領域に飛び込むこと)とは言えないのではないか、という反論だった。対比として、暴露系YouTuberとして知られるガーシー氏が、自身のYouTubeというメディアをあえて手放し、知名度に頼らず地道な手法を模索している点の方が、弱みと向き合う姿勢としてはダイナミックケーパビリティに近いのではという私見が示された。

📌 Claude補足 ヒカル氏は2026年8月3日、東京・明治座にて立川流の立川志らく氏に弟子入りし「立川さぎ志」として落語家デビューを果たした。約1,300席のチケットは完売、最高額2万2000円の席も即完売となった。公演後の配信動画が話題を呼ぶ一方、SNS上では「これは落語ではない」といった賛否両論の議論(いわゆる炎上)が起きた。師匠の立川志らく氏は「落語を現代に伝える手がかりが見える」とヒカル氏を擁護し、2026年9月23日に明治座で第2回公演が予定されている。講義内で語られた経緯(炎上→立川流からの指導→短期間での再挑戦)は報道内容とおおむね一致する。(出典:Yahoo!ニュース エキスパート、SmartNews経由記事)

次回までに触れておきたいこと

  1. 『失敗の科学』(マシュー・サイド著)を読む。チャレンジャー号事故を含む「逸脱の正常化」に関する事例が分かりやすくまとめられているとして紹介された。
  2. チャールズ・ダーウィン『種の起源』を読む。マイキーさんが「話が早くなる」として推奨。ダイナミックケーパビリティ的な環境適応の考え方の源流として言及された。
  3. 三井物産・NTT・ソニー・日立など「複雑で読みにくい」企業を、事業のチョークポイント(要所)視点で分析し直してみる。数字だけでなく、どの技術・資源・市場を実質的に押さえているかを軸にリサーチする。
  4. 日経平均とTOPIXの計算方法の違い(株価平均型/時価総額加重型)を踏まえ、保有銘柄や市場全体の値動きを指数別に見直す。
  5. ドラゴンクエスト(ドラクエ)をプレイし、未知の状況に飛び込みながら情報を感知し対応する「センスメイキング」の感覚を体験してみる。マイキーさんが比喩として紹介。
  6. ヒカル氏の落語デビューやガーシー氏のメディア転換の動きを継続的にウォッチし、ダイナミックケーパビリティの実践例として自分なりに評価してみる。

マイキークラブ関連イベントスケジュール

時期内容
8月22日(土)東北地方でのマイキー感謝祭(現地開催)
9月5日〜ハウス(不動産関連とみられる)勉強会
9月14日〜Jエイブラムス氏セミナー登壇(来場者1,200〜1,800人規模見込み)
10月1日〜桜インベストメントで登壇
10月20日〜11月初旬欧州(ギリシャ・シチリア島・スペイン等)出張、その後シリコンバレーへ
11月18日(水)宮崎県の商業高校でプレゼンテーション講義
11月21〜23日プレゼン合宿(前回開催時期のアンケート結果を受け11月に決定)
11月28日〜12月5日ハウスセミナー

※イベントの正式名称・詳細(対象読者や参加条件等)はコミュニティ内アナウンス(Discord等)を参照。本レポートは講義内での発言を時系列に整理したもの。