この回のレポートは全3本に分割しています。本ファイルはその2本目、テーマは「OCS技術とCorning標準化」です。
本パートはLumentumが手がけるOCS(光回路スイッチ)の技術的インパクトを解説する。電気変換を挟む従来方式に対し、微小ミラーで光を光のまま反射させるOCSは遅延をほぼゼロにし消費電力を60%削減する。ただし現状はGoogleのTPUネットワーク向け(R300)に独占供給する形にとどまり、他のハイパースケーラーへの展開が今後の課題であることも押さえる。
続いて、LumentumとCoherentが抱えるセグメントディスカウント(複合事業企業への評価割引)の解消策を、先行事例であるCorningの2026年3月期決算から読み解く。レガシー事業の統合によるキャッシュフロー創出、AIインフラ事業への全額再投資、投資家への明確なナラティブ発信という3ステップが株価上昇につながった構造を確認する。
最後に、通信速度が800Gから1.6Tへ移行する中でCorningが主導した共通規格マルコアファイバーを扱う。規格そのものを作る「ルールメーカー」であるCorningに対し、藤倉や住友電工は高品質な部材を供給する立場にとどまる構図と、Corningの主要特許が2025年10〜11月に失効することで中国企業が攻勢を強める懸念にも触れる。
従来の電気スイッチとの比較で、Lumentum が Google と共同開発した OCS は業界を根本から変える可能性を持つ。
LumentumとCoherentが直面する「セグメントディスカウント(複合事業企業のバリュエーション割引)」の解消手法として、Corningが2026年3月期決算で実行した戦略が参考になる。
データセンターの通信速度が800G→1.6Tへ移行する中、各社がバラバラに作るとコネクターの規格が合わなくなる問題が発生。これを解決するためCorning主導で共通規格「マルコアファイバー」が策定された。
| 参加企業 | 役割 | 強み |
|---|---|---|
| Corning(米) | 規格策定の主導・Glass Bridge技術 | 接続規格そのものを作る「ルールメーカー」。NVIDIAと共同開発。チップとファイバーをワンタッチ接続できる企画標準を保有。藤倉より圧倒的に高い評価。 |
| 藤倉(日) | 高品質ファイバー・コネクター部材供給 | 優秀なパーツサプライヤーだが「部材売り」に留まる。ルールメーカーではなくルール適合者。 |
| 住友電工(日) | ファイバーケーブル供給 | 国内最大手の光ファイバーメーカー。技術力はあるが海外向け営業・IRが課題。 |
| Teralink | 接続ソリューション | 共通企画のコネクター技術 |
本レポートは「光通信インフラの投資地図 — Innolight・Lumentum・Coherent」を全3本に分割・再構成したうちの2本目です(テーマ:OCS技術とCorning標準化)。