STUDY SESSION REPORT

CXMTとYMTCの現在地

テーマ:戦略論の定義 / 中国EVの多社併存モデル / 中国メモリ半導体(CXMT・YMTC)
形式:オンライン勉強会(質疑応答中心・約2時間)
レポート作成:2026年8月24日
元動画:中国半導体CXMTとYMTC HBMとXtacking技術 BYDと戦略の選択肢 — https://www.youtube.com/watch?v=6avhWjW4z8s
OVERVIEW / 本レポートの位置づけ

本レポートの概要|CXMTとYMTCの現在地

この回のレポートは全4本に分割しています。本ファイルはその4本目、テーマは「CXMTとYMTCの現在地」です。

CXMT上場初日騰落率
+466%
2026年7月27日、上海STAR市場上場
YMTC IPO募集額
330億元
科創板史上最大、約46億ドル
Xtacking総層数
294
実効232層、4.0世代
NAURA年間売上
74.7億ドル
世界5位、AMECは17億ドルで13位

本パートは、後半の中国メモリ半導体分析をまとめる。まずNVIDIAとSKグループの5,000億ドル規模の提携発表を切り口に、好決算でも株価が下がるという2026年7月の市況が扱われる。AlphabetやTesla、Metaが決算後に下落する一方でMicrosoftは上昇し、最も株価が上がったのは「何もしていない」Appleだったという逆説的な観察が紹介される。

次にCXMT(長鑫存儲)を扱う。Samsung・SK hynix・Micronの3社がHBMに集中した結果できたDRAMの空白に、合肥市政府の資金と破綻したドイツQimondaの技術資産を組み合わせて入り込んだ会社である。10年間赤字を許容する覚悟で育成され、2026年7月27日に上海STAR市場へ上場、初日は+466%の値上がりを記録した。EUVを持たないためSAQPという4工程のパターニングを強いられる構造的弱点も扱う。

続いてNAND側のYMTC(長江存儲)を扱う。独自技術Xtackingは、記憶層と制御回路を別々のウェハで作って後から貼り合わせる発想で、熱の制約を分離できる一方、貼り合わせ後の穴あけ(ホール)工程がボトルネックになっている。さらに、ラムリサーチやアプライドマテリアルズの中国側対応にあたるAMEC・NAURAといった装置メーカー、CUDAの堀と世代交代を狙う中国の戦略にも触れ、宿題・用語集を収録する。

PART 9 / メモリ市況

NVIDIA×SKの5,000億ドルと、なぜ好決算で株が下がるのか「このタイミングでそれをやるか」──主宰者が苛立った理由。

後半は主宰者による市況解説から始まった。前日、NVIDIAとSKが5,000億ドル規模の提携を発表したことに対する率直な感想は「このクソみたいなタイミングでそれを持ち込むか」というものだった。NVIDIAのジェンスン・ファンは極めて頭がいいと思っているが、これはないだろう、と。

理由は、その直前に米国にとってマイナスのニュースが二発連続で来ていたからである。第一に、ムーンショットAI(月之暗面)が出てきた時点で、中国のAIは思ったより進んでいないことが分かった。次に来るのはSapient Intelligenceのような推論型アーキテクチャだと見ていたが、DeepSeekと同様の「低コストで高性能」路線にまだいるということは、中国も米国もまだそのフェーズにいるということになる。第二に、低コストでAIが作れるならCapExが過剰ではないかという疑念が広がり、GoogleもTeslaも好決算にもかかわらず株価が下落した。そこにSKの決算——営業利益で世界4位、マグニフィセント7を超える水準——が出ても、やはり株は下がった。

この状況で提携の話を出せば株はさらに落ちる。そして最も株が上がるのは誰か。Appleである。理由は「何もしていないから」。この結果Appleが再び世界1位の企業になった、と主宰者は述べた。

2026年7月 決算発表後の株価反応
単位:%(発表翌営業日の騰落率)
出典:Motley Fool(Alphabet 7/23)、Electrek(Tesla 7/23)、CNBC(Meta・Microsoft 7/30)、Kiplinger(NVIDIA 5/21)。Claude作図。
📌 Claude補足|「NVIDIA×5,000億ドル」の相手と形式 発言と一部相違
  • 2026年7月24日、サンフランシスコのAIサミットで SKグループ(SK hynix + SK Telecom)とNVIDIAが「5,000億ドル超」の戦略的パートナーシップ拡大を発表。相手はSamsungではなくSKグループ
  • 中身は2本立て:①SK Telecomが最大2GWのAIファクトリーをNVIDIA DSX / Vera Rubinで建設(初号機2027年)、②SK hynixがHBM4を供給し次世代AIメモリを共同開発。
  • 形式はLetters of Intent(意向表明書=LOI)。NVIDIA公式リリースに "The two sides signed letters of intent to formalize the agreement" と明記。つまり確定契約ではなくMOU相当。「MOUを結んだ」というセッション中の表現は正しい。
  • 金額は投資総額の見込みであり、NVIDIAがSK hynixに5,000億ドル発注するという意味ではない。

出典:NVIDIA IRSK hynix Newsroom

📌 Claude補足|「好決算なのに10%下落」の実態は、企業ごとに理由が違う 発言と一部相違
企業騰落実態
Alphabet
7/22発表→7/23
-7.1%売上+24%、Google Cloud +82%と好調。だが2026年CapExを1,950〜2,050億ドルに引き上げ、Q2 CapExは倍増の450億ドル、上場来初のFCFマイナス。→「好決算なのにCapEx懸念で下落」の構図が当てはまるのは実質ここだけ。
Tesla
7/22発表→7/23
-12%売上は過去最高282.4億ドル(+26%)、納車も過去最高480,126台。だが営業利益-57%、EPS $0.33で予想$0.53を大きく未達、FCF -10.9億ドル。下落理由はAI CapExではなく利益率崩壊。「好決算」ではない。
Meta
7/30
-8%AI支出懸念で連続下落記録を更新中。
Microsoft
7/30
+15%逆に大幅上昇。「AIトレードの分裂」と報道された。AI CapEx懸念で一律に売られたわけではない。
NVIDIA
5/20発表→5/21
-1.8%FY2027 Q1は売上816億ドル(+85%)、データセンター752億ドル(+92%)と絶好調。3四半期連続で決算後に下落。中国向けデータセンター売上はゼロ前提と明言。

「約10%下落」は正確ではない。Alphabetは-7%、Metaは-8%、10%に最も近いのはTeslaの-12%だが、そのTeslaは好決算ではない。

Appleの世界1位返り咲きについて2026年7月17日(金)に一時的にNVIDIAを抜いて世界1位に返り咲いたのは事実(Apple 約4.88〜4.9兆ドル vs NVIDIA 約4.86兆ドル)。ただし2026年8月24日現在はNVIDIAが再び1位(NVIDIA 5.200兆ドル、Apple 4.514兆ドル、Alphabet 4.179兆ドル)。時点に注意

出典:Motley FoolElectrekForbes 7/17

メモリ契約価格の上昇率(前四半期比)
単位:%/TrendForce 契約価格ベース
出典:TrendForce(2026Q1・Q2)。2026Q1のDRAM業界売上は前四半期比+81%。Counterpointは「メモリ価格は直近3四半期で4倍」と報告。Claude作図。
PART 10 / CXMT

CXMT:HBMが空けた「ガラ空き」に入った会社合肥市政府+Qimondaの技術資産+10年の赤字許容。中国メモリの本命。

主宰者が「重要なのに誰も喋っていない」として取り上げたのがCXMT(長鑫存儲技術)である。この会社は上海のSTAR市場(科創板)に上場し、一時的に中国で時価総額1位の会社になった。テンセントを抜いたのである。

市場構造:なぜCXMTに空きができたのか

説明はまずメモリ市場の構造から始まった。DRAMの主要プレイヤーはSamsung、SK hynix、Micronである。この3社はDRAMをシップレートして積層し、HBMを作る。そしてHBMをAIデータセンター向けに集中させる。するとDRAMの既存市場がガラ空きになる。そこに入ってきたのがCXMTである。

同じ構造がNANDでも起きている。SSD・フラッシュメモリの領域で、上位勢がHBM側に集中した結果、こちらにも空きができた。ここに入っていたのがキオクシアやSanDiskであり、そして中国側から狙っているのがYMTCである、という対応関係が示された。

成り立ち:合肥市政府とQimonda

CXMTの出自は、前半の講義で前田氏が言及した「中国のとある町」——すなわち合肥である。この合肥の政府プロジェクトで出来上がった会社だとされた。トップの人物は清華大学を出た後、ストーニーブルック大学で電気工学を学び、シリコンバレーで働き、その後GigaDevice(兆易創新)——電源を切ってもデータが消えないNORフラッシュを手掛けた会社——を創業した人物である。その人物が合肥市と組んで作ったのがCXMTだ、と説明された。

メモリ技術をどこから得たか。ドイツのQimonda(キモンダ)が破綻し、そのDRAM技術・設計図を構築していった、という経緯である。そしてメモリ産業は立ち上げから長期間赤字になるため、合肥市と国営系ファンドは「10年間赤字でいい」と明言し、資金を注入し続けた。この覚悟が、汎用DRAMを量産できるところまで会社を運んだ。

CXMT 売上高・純利益の推移
単位:億元(棒=営業収入、線=帰母純利益)
出典:CXMT招股書(目論見書)、経済観察報、新浪財経、財聯社。2026年は第1四半期の実績値。Claude作図。
📌 Claude補足|CXMT上場の事実確認:数字はおおむね正しいが、時点と単位に注意
  • 上場は実施済み:2026年7月16日申購、2026年7月27日に上海STAR市場(SH: 688825)へ上場。募集額579.19億元(約86億ドル)、超過配当権全額行使時は最大666億元。保薦機関は中金公司。
  • 株価「8元→50元」はほぼ事実:公募価格8.66元、初日始値49.5元(+471.6%)、初日終値49.00元(+466%)。8月20日終値57.57元でIPO比+564.8%。
  • 流通株6%・応募倍率200倍超も事実:初日流通盤45.03億株=総株本668.81億株の6.73%(93%超がロックアップ)。網上最終中签率0.4714%=応募倍率約212倍。初日出来高1,411.87億元はA株史上初の単一銘柄1,000億元超。
  • 「5,000億ドル・中国1位」は時点がズレる 要注意:上場初日終値時点の時価総額は3.28兆元=約4,870億ドルでA株1位。テンセントを抜いて「中国(本土+香港)で最も時価総額の大きい企業」になったのは上場17日後の2026年8月13日(5,240億ドル)。8月20日終値では3.85兆元(約5,290億ドル)。「IPO時に5,000億ドル・中国1位」は不正確。

出典:Tom's Hardware証券時報

📌 Claude補足|売上の数字は2025年が約40%過小 発言と相違
セッション中の発言招股書ベースの実績判定
2024年約30億ドル241.78億元 ≒ 34億ドルほぼ一致
2025年約60億ドル617.99億元 ≒ 86億ドル(+155%)過小(約40%乖離)
2026年上半期約170億ドル1,100〜1,200億元 ≒ 153〜167億ドルやや過大だがほぼ一致

黒字転換:2025年通期で初の黒字(帰母純利益18.75億元)。2025年12月版招股書では2025年通期を「-16〜-6億元」と予想していたが、2026年5月更新版で+18.75億元に上方修正された。黒字化は前倒しで実現している。2026年Q1は売上508.0億元(+719.13%)、純利益247.62億元(+1688%)。SemiAnalysisは2026年通期を500億ドル超と推計。

設立経緯・経営陣は発言どおり:2016年、合肥市政府の出資支援でスタート。破綻したドイツQimondaの特許を取得し海外エンジニアを招聘。会長朱一明(Zhu Yiming)は清華大学で物理学の学士・修士→ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校で電子工学→シリコンバレー(iPolicy Networks、Monolithic System Technologies)→2004年GigaDevice(兆易創新)創業。IPO後の資産159億ドル。裏取り済

出典:Forbes経済観察報

生産能力とシェア

生産能力については、CXMTはマイクロンと同程度まで来ているとされた。世界シェアは現在9%程度で、来年中には17%程度まで行くだろうという見立てである。さらに最近はCXMTを中心に中国国内の各企業へノウハウと技術を共有し、2030年までに国内だけで140万枚まで持っていくと言われている(マイクロンは現在35万枚程度)と述べられた。

DRAM 世界シェア(2025年 第4四半期ベース)
単位:%
出典:Counterpoint Research ほか。CXMTの2026年Q2成長率は前年同期比+716%(世界最速)。予測は野村が2028年末18%、Counterpointが2028年ビット11%・金額9%、CXMT自社目標が2030年に30%。Claude作図。
📌 Claude補足|シェアと生産能力の実数 単位に注意
  • シェア:2025年Q4基準で7.67%(世界4位、中国1位)。※SK hynix 34.48%、Samsung 33.96%、Micron 23.41%。2026年8月時点の各種記事は「約8%」、Counterpointはビット出荷ベースで「約9%」。発言の「9%」はビットベースなら妥当。「来年17%」に直接対応する予測値は取得できなかったが、野村は2028年末18%、Counterpointは2028年にビット11%・金額9%とする。要確認
  • 生産能力:2026年末見込みで月産約35万枚(350,000 WSPM)(Citrini Research)。同時期のMicronは約37.5万枚で、差は約2.5万枚まで接近。参考:Samsung 72万枚、SK hynix 59万枚。→ セッション中の「マイクロンは35万枚程度」という数字は、実際にはCXMT側の数字とほぼ一致している。マイクロンは37.5万枚。
  • Counterpointは現状32万枚→2027年42万枚、SemiAnalysisは2027年末42万枚・2028年末50万枚と予測。2025年稼働率95.73%。「2030年に国内140万枚」に対応する公開データは取得できなかった。要確認

出典:Counterpoint ResearchTom's Hardware

最大のリスク:契約形態と製造工程

収益が急上昇している一方で、懸念点は極めて大きいと主宰者は指摘した。メモリ業界で最も大きく変わったポイントは契約形態である。Samsung・SK hynix・Micronは長期契約に移行しており、下限価格と上限価格を決めることで価格の安定性を確保している。対してCXMTはスポットや短期契約が中心で、市場の波にそのまま乗ってしまう。短期契約は儲かるときは超儲かるが、儲からないときは本当に儲からない。むしろマイナスが来る。今はメモリ価格が高騰しているので猛烈に儲かっているだけの会社だ、という評価である。

📌 Claude補足|「スポット/短期契約中心」は裏付けが取れず、むしろ反証がある 発言と相違

CXMTがスポット・短期契約中心であるとする報道は見つからなかった。逆に以下の事実が確認できた。

  • CXMTはテンセントと200億元超(約29.4億ドル)のサーバー向けDRAM長期供給契約を締結(3年〜最大5年、IPO直前)。
  • CXMTの受注は2027年末まで埋まっていると報道。2025年稼働率95.73%。
  • 業界全体がスポットから長期契約(LTA)へ移行中。ハイパースケーラーは数量の50%超を3〜5年契約で確保、Dellは3・4・5年契約で交渉。

ただし「メモリ価格がすっこけた時に一気に儲からなくなる」というリスク認識そのものは有効である。現在の利益は歴史的な価格高騰局面に依存しており、Morningstarのフェアバリューは14.90元(現在株価57.57元)と、価格ピークを前提とした割高感を指摘している。契約形態というロジックではなく、価格サイクル依存というロジックで語るほうが正確

出典:Yahoo Finance / Reuters

もう一つの決定的な差が米国の規制である。DRAMやHBMを作るにはEUV露光装置、TSV(シリコン貫通電極)、エッチング技術などが必要だが、これらが遮断されている。したがって同じ作り方ができず、別の作り方をせざるをえない。

技術的な回避策の例として挙げられたのがBWL(Buried Word Line)である。従来ウェハ表面の上に乗っていたスイッチを、スイッチごと基板に埋め込んでしまう技術で、これによってスペースを稼ぐ。しかし本質的な問題は露光工程にある。EUVなら1回の作業で塗布・露光・エッチング・埋め込みを済ませられるところを、CXMTはSAQPという方式で4工程に分けて行う。工程が4倍になれば何が起きるか——コストが上がり、歩留まりが悪化する。加熱処理が増えることでトランジスタの性能も落ちる。中国のチップは製造工程だけで見ればTSMCより高い、余計な工程を大量に作っているからだ、と指摘された。カタログ上の数値は先行勢と変わらないが、生産方法の流れがあまりに違うため品質が安定せず、ハーレロット(不良ロット)が出やすい。それでも人件費が安いから安く出せる、というのが中国の強みである。

📌 Claude補足|製造コストと歩留まりの実数
  • CXMTは全DRAMをDUVマルチパターニング(SADP / SAQP)で製造。EUVは未保有(2019年以降のオランダ輸出規制による)。
  • ビットあたりコストはSamsung・SK hynixより30%超高い(DDR5、Morningstar / SemiAnalysis)。→ 発言の「生産コストが高い」は裏付けあり。
  • 歩留まり:汎用DRAMは業界成熟水準の85〜90%を下回る。HBM3 8-hi は前工程約35%×後工程約70%=総合約25%(SemiAnalysis推計)。
  • ノード呼称はG4(業界1z相当、2026年生産の主力)、G5(1a相当)。
  • HBMは2025年売上の1%未満IPO招股書にHBM専用プロジェクトの記載がなく、量産は2027年目標で先行3社に約3年遅れ。→ セッション中の「HBMではまだかなり差がある」という認識は正しい。裏取り済

出典:Tom's Hardware

なぜ上海上場だったのか

セッション終盤、参加者から「なぜ香港ではなく上海上場なのか」という質問が出た。本来ワールドワイドに展開し資金を集めるなら香港上場のはずで、しかし最近は半導体装置メーカーも含めて深圳・上海上場が非常に多い。ここに戦略的な意図があるのではないか、と。

回答は、CATLのようにワールドワイドに持っていく場合は香港上場をやるが、基本的にはまず上海(または深圳)に上場し、その後で香港上場という流れだというもの。詳細は次回のYouTube動画と講義で解説するとされ、宿題として持ち越された。

なお主宰者は、政府にとってメモリを作ることは国家安全保障上の最優先事項の一つであり、自給自足でやっていくためにかなりのプレミアムがついていると分析した。加えて最近のIPOの傾向として、SpaceXの事例に見られたように不動株(フロート)を小さくして市場の資金を集中させ、値段を釣り上げるやり方が取られており、CXMTもこれをやってきた、と指摘した。

PART 11 / YMTC

YMTC:Xtackingという「2枚に分けて貼り合わせる」発想DRAMのCXMTに対して、NANDのYMTC。今まさにIPO準備中。

DRAMでCXMTが登場したのなら、SSD・フラッシュメモリ側で出てくる中国企業は何か。答えはYMTC(長江存儲)である。そして今、タイミング的にIPOの準備をしている。中国は市場の流れ自体が米国を半年ほど遅れて追いかけている、というのが主宰者の一貫した見立てである。

ここで参加者の一人がAI検索の結果をそのまま棒読みしたことに対して、講師から厳しい指摘が入った。「Xtackingという独自技術を持ち、読み書き速度と耐久性が他社より大幅に向上した」「世界で初めて232層を商業化した」——これらは調べればすぐ出てくる内容であり、理解せずに読み上げるのは「調べた」うちに入らない、というものである。これはPART 7の「外部顧問には説明責任がある」という議論と同じ論点である。

Xtackingの仕組み

◆ Xtackingとは何をしている技術か

従来の3D NANDは、記憶層と制御回路を同じシリコン上に一緒に作り込んでいた。Xtackingはこれを別々の場所で作り、後から貼り合わせる

これが効くのは熱の問題である。同一ウェハ上でどんどん積層すると、熱処理プロセスが周辺のトランジスタ性能を劣化させるため、高くすればするほどトレードオフが発生する。Xtackingでは記憶層の板と制御回路の板を別に用意するので、記憶層は熱を気にせず限界まで積層でき、制御回路は熱の心配なく最速で動く回路を埋め込める。完成した2枚を上下で貼り合わせてチップにする。

理論上は200〜300層まで可能になるが、それは理論上の話であって実際にはできていない、というのが講師の評価である。

そしてボトルネックの所在が示された。積層する技術はある。問題は貼り合わせた後、穴を掘る(ホール)工程である。64層と64層を貼り合わせて互いのバランスを取りながら上げていく技術だが、このホール工程についてはアメリカの技術のほうが優れているため、今の段階ではスピード感が出ない。ここが差になっている、というのが結論だった。

📌 Claude補足|YMTCのIPOと層数の正確な数字
  • IPOは申請受理済み・未上場:2026年5月19日にCSRCへ申請、2026年8月21日に上海証券取引所が受理。募集予定額330億元(約46億ドル)=科創板史上最大(CXMTの295億元を上回る)。発行株数19.8〜24.3億株=上場後総株本の10〜12%、上場後想定評価額2,750〜3,300億元。資金用途は量産ライン技術升級208億元/研究開発122億元。裏取り済
  • Xtackingの世代と層数:1.0(2018〜)実効64層/総73層 → 2.0 実効128層/総141層 → 3.0(2022年)実効232層/総253層4.0(2024年〜)第5世代3D TLC、総294層/実効232層、1Tbダイで2025年1月出荷開始と報道。
  • ただし層数は情報源により294層/267層/232層と割れる。294層=総層数、232層=実効層数で同一製品の別基準表記だが、Digitimesは267層と報じており単一の確定値は取れなかった要確認
  • 業績:2023年187.47億元 → 2024年452.03億元(純利益+67.71億元)→ 2025年631.85億元(+142.11億元)→ 2026年Q1 470.42億元(純利益333.79億元)。2026年Q1に販売金額・出荷量とも世界3位・中国1位、2026年Q2の世界NANDビット出荷シェア14%でキオクシア・Micron・SanDiskを上回る(ただし売上高ベースでは5位)。
  • 規制:2022年12月以降米商務省エンティティリストに掲載中。国防総省1260Hリストも2026年6月8日版でYMTC・CXMTとも掲載継続。

出典:新浪財経Tom's Hardware

YMTCの弱点と、Appleという追い風

YMTCの弱点はワールドワイドに展開できていないことである。現状はPC向けやスマホ向けに出している程度にとどまる。一方の強みとして挙げられたのが、メモリ高騰という追い風である。iPhoneが高くなったのはメモリ価格の高騰が原因であり、その結果Apple自身が米国政府に申請して中国製メモリを使うと言い出した。米国があれだけ弾いてきたにもかかわらず、Appleが申請した——これは中国側にとって大きなプラスである、と主宰者は評価した。

ただしYMTCもCXMTと同様、キオクシアやSanDiskのような長期契約ではないため、メモリ市場が万が一崩れたときに一気に儲からなくなる、と釘が刺された。技術的にはかなり追いついてきているが、製造装置が入らないため製造工程が複雑になり、コストが嵩む——これが中国の弱みである。

📌 Claude補足|Appleの「申請」の正確な中身と、その後の展開
  • FT報道(2026年6月27日):Appleは米商務省に対し、「CXMTをエンティティリストに追加しない」という保証を求めて働きかけていた。1か月以上前から協議。
  • 正確には「採用申請」ではなく、①CXMTのEL追加回避の保証取り付け、②カスタム品を使う場合に必要な商務省ライセンスの取得——の2点。ニュアンスの相違
  • 2026年7月8日、AppleがすでにCXMT製DRAMのテストを実施との報道。
  • 2026年8月14日、商務長官Howard Lutnickが明確に反対表明:「トランプ政権はそれに賛成しない」「優れた米国企業が中国製メモリを使うことではない」。7月29日には超党派の上院議員がAppleに中国製メモリ不採用を要求。→ この件は現在進行形で、承認されたわけではない。
  • FT報道当日、Apple株は6%超下落(2025年4月以来最大の下げ)。Appleは第4のDRAMサプライヤー確保に失敗、2027年分の市場は既に完売との報道。

iPhoneへの影響(実数):iPhone 18 Pro(256GB)のBOMに占めるメモリ比率は約34%で、プロセッサとディスプレイを初めて上回った。DRAMコストはiPhone 17 Proの約39ドル→約145ドル(+272%)、NANDは256GBで約13ドル→約51ドル(約4倍)。BOM総額はiPhone 17 Pro比約+38%。小売価格予想はIDC +200ドル、TechInsights +270ドル、JPMorgan +50ドル。Appleは2026年6月25日に既にMac製品で100〜500ドルの値上げを実施済み。ティム・クックは「40年以上の業界経験で見たことがない」と発言。

出典:9to5MacTechTimes

PART 12 / 装置の国産化とCUDA包囲網

「ラムリサーチに代わる企業があっていい」という調べ方分断された社会構造では、必ず対になる企業が存在する。

PART 11の最後に、主宰者は参加者に対して問いを投げた。エッチングのスペシャリストはどこか(ラムリサーチ)、半導体製造装置の総合メーカーはどこか(アプライドマテリアルズ)。これらはSamsung・SK hynix・Micronに必要である。では中国企業はどこか

◆ これがリサーチのやり方である

米中は完全に分断化された社会構造になっている。米国は重要技術について中国に輸出せず、劣化品だけを送る。中国は自給自足でやってくる。

ということは、ラムリサーチに代わる企業があっていい。アプライドマテリアルズに代わる企業があっていい。テキサス・インスツルメンツに代わる企業があっていい。ここを調べるのも一つのリサーチである。

同じ論理で、Samsung・SK hynix・Micronの代わりに出てくるのがCXMTであり、キオクシア・SanDiskの代わりに出てくるのがYMTCである。HBM技術が高度化していけば、それを支える中国国内の装置企業も注目企業になる。これも一つの狙いどころ

具体名として挙げられたのがAMEC(中微公司)とNAURA(北方華創)の2社である。

半導体製造装置メーカーの規模比較
単位:億ドル(年間売上)
出典:上海証券取引所/China Daily「2025年 世界半導体製造装置メーカーランキング」、eeNews Europe、MarketScreener。NAURA は 2025年推定売上、AMEC は 2025年通年実績。Claude作図。
📌 Claude補足|AMEC と NAURA の実像:方向性は正しいが、規模は1桁違う

2025年の世界半導体製造装置メーカーランキングで中国3社がトップ20入り(上海証券取引所/China Daily)。

順位企業備考
5位NAURA(北方華創)推定売上468〜520億元(約74.7億ドル)。2022年8位→2025年5位。プラズマエッチング、PVD、CVD、酸化・拡散、洗浄、アニール+真空技術+リチウム電池装置。→ Applied Materials型の総合装置メーカー
13位AMEC(中微公司、688012.SH)2025年通年 売上+36.6%(約123億元=約17億ドル)、純利益+30.7%で21.1億元。プラズマエッチング(CCP/ICP、65nm〜3nm対応)+薄膜成膜。主力エッチング装置が5nmラインで使用と報道。→ Lam Research型のエッチング特化
20位SMEE(上海微電子)露光装置。ASMLとの「世代格差」を公式に認めている

AMECは薄膜装置事業が2025年に前年比約+1,300%で成長、世界170社超の顧客に累計8,800超のプロセスチャンバーを設置、R&D比率は売上の30.2%。目標は5年以内にハイエンド半導体装置市場の60%以上をカバー、2035年までにグローバル第一梯隊入り

ただし規模はまだ1桁違う:AMAT 年商約270億ドル、Lam 約180億ドルに対し、NAURA 約75億ドル、AMEC 約17億ドル。また中国装置メーカーは売上が過去最高を更新する一方、国内での過当競争(内巻)で利益率が圧迫されている点も各紙が指摘している。裏取り済

出典:上海証券取引所/China DailyTrendForce

もし全部が解放されたら

主宰者は逆の思考実験を提示した。万が一、規制が全部解放されたらどうなるか。おそらく中国が秒速で覇権を取る。すでにEUV露光装置はASMLしか作れないが、中国が実験でデモ版を作り、ある程度機能するという研究が出ている。数年以内に国内でEUV相当の装置を作り始めれば、一気に話が変わる。エッチングやTSVについても内製化が進んでおり、内製化の話がちらほら聞こえ始めたら情勢が一変する可能性がある、と述べられた。

📌 Claude補足|中国製EUVの現在地 要確認

Reuters系報道ベースで、深センの高セキュリティ研究施設で国産EUVプロトタイプが稼働中とされる(2025年末〜2026年初)。体制はHuaweiが中核調整役、ハルビン工業大学(光源)、長春光学精密機械研究所(光学系)、SMEE(統合)、SiCarrier(深セン、国家系)で3,000人超の研究者が参加。2つの並行チーム(林楠・北京航空航天大学の固体レーザー方式/趙永蓬・ハルビン工業大学のLDP方式)。

ただし現状の光源出力は約100Wで、ASMLの約600Wには遠く及ばない。装置は工場フロアをほぼ埋めるサイズで、プロトタイプは稼働しているがまだ機能するチップは製造していない。公式目標は2028年のチップ量産、専門家の現実的な見立ては2030年。

信頼性の留保:主要ソースはReutersの匿名情報筋。中国環球時報は否定も公式確認もしていない。「デモ機」「量産検証」を謳う記事の多くは自動生成系配信で一次情報としての信頼性は低い。ASMLの代替になるという主張は現時点で完全に裏取り不可。スループット・歩留まりのデータは一切公開されていない。

出典:Asia Times 2025/12

CUDAの堀と、世代交代という中国の狙い

最後に議論はAIチップに移った。これまでCUDAを使わずにAIを作ることはできなかった。それがHuaweiのプラットフォームで作られたのがDeepSeek V4であり、その性能は米国製トップとほとんど変わらなくなっている、と主宰者は述べた。HuaweiのAscend 950PRのようなチップと、低コストで動かせる仕組みがすでに存在するため、今後は中国国内からNVIDIAのエコシステムを使わずに作れる流れが次々と出てくる可能性がある。そうなればNVIDIAの囲い込み戦略が中国国内で通用しなくなり、しかも中国製品は安い。

ここで示されたのが、最も戦略的で最も厄介な指摘だった。中国は若い人がいる国に自社製品を投げまくっている。今の世代や上の世代はCUDAを使ったほうがいいに決まっている。しかし若い世代に最初から中国製の環境を使わせ始めれば、彼らにとっては逆にCUDAが面倒になる。スイッチングコストは高い。だからこそ、まだスイッチしていない世代を先に取る。世代ギャップを利用する戦略であり、「むちゃくちゃ頭がいい」と評された。しかも中国には「人の意見を聞かない」という必殺技があり、上から「これでやれ」と言えばやらざるをえない。

ではNVIDIAの牙城は崩れるのか。主宰者の見立ては、堀はマジで高い、鉄壁だ、というものである。ただし中国人のポテンシャルだけを見ればやってくる可能性は十分にある。だからNVIDIAが今後ずっと安泰というわけではない。もっとも、そうなった頃には量子コンピューティングのエコシステムをNVIDIAが握り始めている。次のステップに顔を出し、超えられたら次はこっち、と先へ先へ移り続けているのが今のNVIDIAである、という整理で締められた。

📌 Claude補足|「DeepSeek V4はAscendで学習された」は確証がない 発言と相違
  • DeepSeek V4は実在:2026年4月24日リリース。V4-Proは1.6兆パラメータ・100万トークンコンテキスト、$1.74/M入力・$3.48/M出力。アテンション機構の改良で必要計算量を前世代の27%に圧縮、メモリ要件は最大9.5分の1。コーディング・数学・STEMでClaude Opus 4.6 / GPT-5.4に匹敵し、開発者調査で90%超がコーディング用トップ選択肢に挙げた。
  • Huaweiとの関係:DeepSeek初の「国産チップ最適化」モデルであることは確認。HuaweiはDeepSeekモデルへの「フルサポート」を発表。
  • ただし「Ascendで学習された」は裏取り不可、むしろ否定的:MIT Technology Reviewは、中国製チップは主に推論(inference)用途で、学習は主にNVIDIAチップに依存していたと明確に指摘。清華大の研究者は「V4の学習プロセスの一部」のみが国産チップ向けに適合されたと述べている。
  • Ascendロードマップ(2025年9月18日、華為全連接大会):950PR=2026年Q1(実際は2026年4月量産開始)、950DT=2026年後半、960=2027年後半、970=2028年後半。950PRは自社製HBM搭載、Huawei主張でH20比 約2.87倍の推論性能を約1/4のコストで提供。ただし性能数値は大半がHuawei自社公表値で第三者ベンチマークによる裏取りは限定的。SMICの製造能力制約(EUV非保有)が最大のボトルネックである点は各報道が一致。
  • CANN(CUDA対抗のソフトウェアスタック):2025年8月にオープンソース化を発表、2025年末までに完全公開とアナウンス。ただし「約20年蓄積されたCUDAのエコシステムに追いつくには数年かかる」というのが主流の見方。→ セッション中の「NVIDIAの堀は鉄壁」という評価と整合する。
  • Moonshot AI(Kimi):最新はKimi K3(2026年7月16日公開、7月27日オープンウェイト公開)。2.8兆パラメータMoE、100万トークンコンテキスト。Artificial Analysis Intelligence Index(2026年8月20日時点)でK3=60、Claude Opus 5=63、GPT-5.6 Sol=61とオープンウェイト最上位。低コスト学習の根拠としてよく引かれる$4.6MはK2 Thinkingのリーク値で、Moonshot公式が「公式な数字ではない」と否定している。K3の学習コストは非公開。要確認
  • Sapient Intelligence(HRM):オリジナルHRMは2,700万パラメータ、1,000サンプル程度の学習でARC-AGI・数独・迷路を解く。最新のHRM-Text(2026年5月18日発表)は10億パラメータ、学習トークン約400億(現行モデルの最大1/1000)、開発コスト約1,000ドル・学習1日。int4量子化で約0.6GiB=スマホ動作可能。→ 主宰者が「次に来ると思っていた」路線は実在する。

出典:MIT Technology ReviewCaixin GlobalPR Newswire

📌 Claude補足|ジェンスン・ファンの対中規制批判は事実

2026年5月3日、Special Competitive Studies Projectのインタビューで「中国での我々のシェアはゼロに落ちた」「中国ほどの規模の市場を丸ごと譲るのは戦略的に意味がない。すでに大きく裏目に出ている(has already largely backfired)」と発言。2025年5月にも輸出規制は「失敗(a failure)」と明言している。中国事業の逸失は約500億ドル規模と報じられる。

関連して、Huawei会長は「米国の輸出規制に感謝する。中国の半導体産業を加速させた」と発言している(Tom's Hardware報道)。

ただし「規制すると中国が自前で作ってしまう」という逐語的な引用そのものは確認できなかった。趣旨は複数ソースで一貫して確認できる。要確認

出典:Tom's Hardware

HOMEWORK / ACTION

宿題・アクションアイテムセッション中に明示的に指示された調査課題と、次回への持ち越し。

  1. ポリアの壺(Pólya's urn)モデルを調べる「いいものではなく広まるものが生き残る」という主張の理論的裏付け。自己強化構造がどのように選択肢を削っていくのかを理解する。→ Pólya & Eggenberger (1923)、経済学への応用は W. Brian Arthur (1989)。
  2. YMTCがなぜ必要なのかを、技術以外の観点から考える「技術だけの問題ではなく、サプライチェーンの関係で出てくる。両方の技術が必ず必要になる」というヒントが与えられた。DRAM側のCXMTとNAND側のYMTCが揃うことの意味を考える。
  3. Xtacking(およびハイブリッドボンディング周辺技術)を自分で調べ直すAI検索の結果を棒読みするのではなく、記憶層と制御回路を別ウェハで作る理由(熱の制約)と、貼り合わせ後のホール工程がボトルネックである理由まで説明できる状態にする。
  4. ラムリサーチ/アプライドマテリアルズ/テキサス・インスツルメンツの中国側カウンターパートを調べる米中が分断された構造では、必ず代替企業が存在する。名前として挙げられたのは AMEC(中微公司)と NAURA(北方華創)。この「対を探す」調べ方自体を身につける。
  5. CXMTの上海上場の意図と資金の使い向きを確認する(次回解説予定)ワールドワイドなら香港のはずが、なぜ上海なのか。上海/深圳 → 香港という順序の意味。次回のYouTube動画と講義で解説される。
  6. 外部の血を入れた組織改革の教材を観る山本裕典氏がホストクラブ再建に関わるABEMA系の番組が、外部視点による改革の実例として推薦された。エリック・シュミットとGoogleの関係と同じ構造として観る。番組名は要確認
  7. 資産運用エキスポ(大阪)ボランティアスタッフ 8/28〜30本の配布、LINE登録、プレゼンの機会があり、講義で扱っているプレゼン・営業・リサーチを実践する場として位置づけられている。
GLOSSARY

用語集セッション中に登場した理論名・略語・企業名。

レッドクイーン理論
競争し続けなければ生き残れないという共進化モデル。Leigh Van Valen (1973) の生物学的仮説を、William Barnett (1996) が組織進化論に応用。
ポリアの壺
Pólya & Eggenberger (1923)。引いた玉を戻し同色を追加するため、出た色がさらに出やすくなる自己強化モデル。経路依存性とロックインの数学的基礎。
データフライホイール
データが集まる → 経験が蓄積 → さらに仕事が集まる、という自己増殖ループ。上位概念のフライホイール効果は Jim Collins『Good to Great』(2001)。
センスメイキング理論
Karl Weick『Sensemaking in Organizations』(1995)。正確さより「もっともらしさ」が意思決定を動かす。外部顧問の説明責任の理論的背景。
情報距離
対象に近すぎると全体が見えなくなるという概念。適正距離まで下がるために、業界外の視点を意図的に取り込む必要がある。
ゴーイングコンサーン
継続企業の前提。企業が予見可能な将来(通常最低12か月)にわたり事業を継続するという会計上の前提。日本では2003年3月期から注記が義務化。
垂直統合/水平分業
垂直統合=供給に必要な工程の範囲を自社に広げる。水平分業=工程ごとに専業企業が分担する。※「水平統合」(同一工程の企業が一体化)とは別概念。
CXMT(長鑫存儲)
中国最大のDRAMメーカー。2016年に合肥市政府支援で設立、破綻したQimondaの特許を活用。2026年7月27日に上海STAR市場上場(SH: 688825)。
YMTC(長江存儲)
中国最大の3D NANDメーカー。Xtacking技術を保有。2026年8月21日に上海STAR市場へのIPO申請が受理され、募集予定額330億元は科創板史上最大。
Xtacking
YMTC独自の3D NAND技術。記憶層と制御回路を別ウェハで製造し貼り合わせる。熱の制約を分離できるため両者を独立最適化できる。4.0は総294層/実効232層。
HBM
High Bandwidth Memory。DRAMを積層して広帯域化したメモリ。AIデータセンター向けの高収益領域で、SK hynix・Samsung・Micronが集中している。
SAQP
Self-Aligned Quadruple Patterning。EUVを使わず、塗布・露光・エッチング・埋め込みを4工程で行う多重パターニング。工程増によりコスト増と歩留まり低下を招く。
BWL
Buried Word Line。従来ウェハ表面上にあったスイッチを基板に埋め込むDRAM構造技術。微細化とスペース確保に寄与する。
TSV
Through-Silicon Via(シリコン貫通電極)。積層したチップを縦に電気接続する技術。HBMの製造に不可欠で、米国の輸出規制対象となっている。
EUV露光装置
極端紫外線リソグラフィ装置。ASMLのみが製造可能で、対中輸出は2019年以降禁止。中国は国産プロトタイプを開発中だが光源出力は約100W(ASMLは約600W)。
CUDA / CANN
CUDA=NVIDIAのGPU開発環境。約20年の蓄積がスイッチングコストの源泉。CANN=Huaweiが2025年にオープンソース化したCUDA対抗の異種計算アーキテクチャ。
Ascend(昇騰)
HuaweiのAIチップ系列。950PR(2026年Q1)、950DT(2026年後半)、960(2027年後半)、970(2028年後半)のロードマップを2025年9月に公表。
AMEC/NAURA
AMEC(中微公司)=エッチング特化、Lam Researchの中国側対応。NAURA(北方華創)=総合装置メーカー、Applied Materialsの中国側対応。2025年に世界13位・5位。
合肥モデル
合肥市政府が国有資本プラットフォームを通じて戦略産業に出資し、成長後に持分を売却して回収する手法。BOE、CXMT、NIOへの投資で知られる。
縦深防御
defenses in depth。水際で迎え撃つのではなく、地下壕網を使って内陸で持久する防御方式。硫黄島で栗林忠道中将が採用し、万歳突撃を厳禁した。