この回のレポートは全4本に分割しています。本ファイルはその4本目、テーマは「CXMTとYMTCの現在地」です。
本パートは、後半の中国メモリ半導体分析をまとめる。まずNVIDIAとSKグループの5,000億ドル規模の提携発表を切り口に、好決算でも株価が下がるという2026年7月の市況が扱われる。AlphabetやTesla、Metaが決算後に下落する一方でMicrosoftは上昇し、最も株価が上がったのは「何もしていない」Appleだったという逆説的な観察が紹介される。
次にCXMT(長鑫存儲)を扱う。Samsung・SK hynix・Micronの3社がHBMに集中した結果できたDRAMの空白に、合肥市政府の資金と破綻したドイツQimondaの技術資産を組み合わせて入り込んだ会社である。10年間赤字を許容する覚悟で育成され、2026年7月27日に上海STAR市場へ上場、初日は+466%の値上がりを記録した。EUVを持たないためSAQPという4工程のパターニングを強いられる構造的弱点も扱う。
続いてNAND側のYMTC(長江存儲)を扱う。独自技術Xtackingは、記憶層と制御回路を別々のウェハで作って後から貼り合わせる発想で、熱の制約を分離できる一方、貼り合わせ後の穴あけ(ホール)工程がボトルネックになっている。さらに、ラムリサーチやアプライドマテリアルズの中国側対応にあたるAMEC・NAURAといった装置メーカー、CUDAの堀と世代交代を狙う中国の戦略にも触れ、宿題・用語集を収録する。
後半は主宰者による市況解説から始まった。前日、NVIDIAとSKが5,000億ドル規模の提携を発表したことに対する率直な感想は「このクソみたいなタイミングでそれを持ち込むか」というものだった。NVIDIAのジェンスン・ファンは極めて頭がいいと思っているが、これはないだろう、と。
理由は、その直前に米国にとってマイナスのニュースが二発連続で来ていたからである。第一に、ムーンショットAI(月之暗面)が出てきた時点で、中国のAIは思ったより進んでいないことが分かった。次に来るのはSapient Intelligenceのような推論型アーキテクチャだと見ていたが、DeepSeekと同様の「低コストで高性能」路線にまだいるということは、中国も米国もまだそのフェーズにいるということになる。第二に、低コストでAIが作れるならCapExが過剰ではないかという疑念が広がり、GoogleもTeslaも好決算にもかかわらず株価が下落した。そこにSKの決算——営業利益で世界4位、マグニフィセント7を超える水準——が出ても、やはり株は下がった。
この状況で提携の話を出せば株はさらに落ちる。そして最も株が上がるのは誰か。Appleである。理由は「何もしていないから」。この結果Appleが再び世界1位の企業になった、と主宰者は述べた。
| 企業 | 騰落 | 実態 |
|---|---|---|
| Alphabet 7/22発表→7/23 | -7.1% | 売上+24%、Google Cloud +82%と好調。だが2026年CapExを1,950〜2,050億ドルに引き上げ、Q2 CapExは倍増の450億ドル、上場来初のFCFマイナス。→「好決算なのにCapEx懸念で下落」の構図が当てはまるのは実質ここだけ。 |
| Tesla 7/22発表→7/23 | -12% | 売上は過去最高282.4億ドル(+26%)、納車も過去最高480,126台。だが営業利益-57%、EPS $0.33で予想$0.53を大きく未達、FCF -10.9億ドル。下落理由はAI CapExではなく利益率崩壊。「好決算」ではない。 |
| Meta 7/30 | -8% | AI支出懸念で連続下落記録を更新中。 |
| Microsoft 7/30 | +15% | 逆に大幅上昇。「AIトレードの分裂」と報道された。AI CapEx懸念で一律に売られたわけではない。 |
| NVIDIA 5/20発表→5/21 | -1.8% | FY2027 Q1は売上816億ドル(+85%)、データセンター752億ドル(+92%)と絶好調。3四半期連続で決算後に下落。中国向けデータセンター売上はゼロ前提と明言。 |
「約10%下落」は正確ではない。Alphabetは-7%、Metaは-8%、10%に最も近いのはTeslaの-12%だが、そのTeslaは好決算ではない。
Appleの世界1位返り咲きについて:2026年7月17日(金)に一時的にNVIDIAを抜いて世界1位に返り咲いたのは事実(Apple 約4.88〜4.9兆ドル vs NVIDIA 約4.86兆ドル)。ただし2026年8月24日現在はNVIDIAが再び1位(NVIDIA 5.200兆ドル、Apple 4.514兆ドル、Alphabet 4.179兆ドル)。時点に注意
出典:Motley Fool / Electrek / Forbes 7/17
主宰者が「重要なのに誰も喋っていない」として取り上げたのがCXMT(長鑫存儲技術)である。この会社は上海のSTAR市場(科創板)に上場し、一時的に中国で時価総額1位の会社になった。テンセントを抜いたのである。
説明はまずメモリ市場の構造から始まった。DRAMの主要プレイヤーはSamsung、SK hynix、Micronである。この3社はDRAMをシップレートして積層し、HBMを作る。そしてHBMをAIデータセンター向けに集中させる。するとDRAMの既存市場がガラ空きになる。そこに入ってきたのがCXMTである。
同じ構造がNANDでも起きている。SSD・フラッシュメモリの領域で、上位勢がHBM側に集中した結果、こちらにも空きができた。ここに入っていたのがキオクシアやSanDiskであり、そして中国側から狙っているのがYMTCである、という対応関係が示された。
CXMTの出自は、前半の講義で前田氏が言及した「中国のとある町」——すなわち合肥である。この合肥の政府プロジェクトで出来上がった会社だとされた。トップの人物は清華大学を出た後、ストーニーブルック大学で電気工学を学び、シリコンバレーで働き、その後GigaDevice(兆易創新)——電源を切ってもデータが消えないNORフラッシュを手掛けた会社——を創業した人物である。その人物が合肥市と組んで作ったのがCXMTだ、と説明された。
メモリ技術をどこから得たか。ドイツのQimonda(キモンダ)が破綻し、そのDRAM技術・設計図を構築していった、という経緯である。そしてメモリ産業は立ち上げから長期間赤字になるため、合肥市と国営系ファンドは「10年間赤字でいい」と明言し、資金を注入し続けた。この覚悟が、汎用DRAMを量産できるところまで会社を運んだ。
出典:Tom's Hardware / 証券時報
| 期 | セッション中の発言 | 招股書ベースの実績 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 2024年 | 約30億ドル | 241.78億元 ≒ 34億ドル | ほぼ一致 |
| 2025年 | 約60億ドル | 617.99億元 ≒ 86億ドル(+155%) | 過小(約40%乖離) |
| 2026年上半期 | 約170億ドル | 1,100〜1,200億元 ≒ 153〜167億ドル | やや過大だがほぼ一致 |
黒字転換:2025年通期で初の黒字(帰母純利益18.75億元)。2025年12月版招股書では2025年通期を「-16〜-6億元」と予想していたが、2026年5月更新版で+18.75億元に上方修正された。黒字化は前倒しで実現している。2026年Q1は売上508.0億元(+719.13%)、純利益247.62億元(+1688%)。SemiAnalysisは2026年通期を500億ドル超と推計。
設立経緯・経営陣は発言どおり:2016年、合肥市政府の出資支援でスタート。破綻したドイツQimondaの特許を取得し海外エンジニアを招聘。会長朱一明(Zhu Yiming)は清華大学で物理学の学士・修士→ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校で電子工学→シリコンバレー(iPolicy Networks、Monolithic System Technologies)→2004年GigaDevice(兆易創新)創業。IPO後の資産159億ドル。裏取り済
生産能力については、CXMTはマイクロンと同程度まで来ているとされた。世界シェアは現在9%程度で、来年中には17%程度まで行くだろうという見立てである。さらに最近はCXMTを中心に中国国内の各企業へノウハウと技術を共有し、2030年までに国内だけで140万枚まで持っていくと言われている(マイクロンは現在35万枚程度)と述べられた。
収益が急上昇している一方で、懸念点は極めて大きいと主宰者は指摘した。メモリ業界で最も大きく変わったポイントは契約形態である。Samsung・SK hynix・Micronは長期契約に移行しており、下限価格と上限価格を決めることで価格の安定性を確保している。対してCXMTはスポットや短期契約が中心で、市場の波にそのまま乗ってしまう。短期契約は儲かるときは超儲かるが、儲からないときは本当に儲からない。むしろマイナスが来る。今はメモリ価格が高騰しているので猛烈に儲かっているだけの会社だ、という評価である。
CXMTがスポット・短期契約中心であるとする報道は見つからなかった。逆に以下の事実が確認できた。
ただし「メモリ価格がすっこけた時に一気に儲からなくなる」というリスク認識そのものは有効である。現在の利益は歴史的な価格高騰局面に依存しており、Morningstarのフェアバリューは14.90元(現在株価57.57元)と、価格ピークを前提とした割高感を指摘している。契約形態というロジックではなく、価格サイクル依存というロジックで語るほうが正確。
もう一つの決定的な差が米国の規制である。DRAMやHBMを作るにはEUV露光装置、TSV(シリコン貫通電極)、エッチング技術などが必要だが、これらが遮断されている。したがって同じ作り方ができず、別の作り方をせざるをえない。
技術的な回避策の例として挙げられたのがBWL(Buried Word Line)である。従来ウェハ表面の上に乗っていたスイッチを、スイッチごと基板に埋め込んでしまう技術で、これによってスペースを稼ぐ。しかし本質的な問題は露光工程にある。EUVなら1回の作業で塗布・露光・エッチング・埋め込みを済ませられるところを、CXMTはSAQPという方式で4工程に分けて行う。工程が4倍になれば何が起きるか——コストが上がり、歩留まりが悪化する。加熱処理が増えることでトランジスタの性能も落ちる。中国のチップは製造工程だけで見ればTSMCより高い、余計な工程を大量に作っているからだ、と指摘された。カタログ上の数値は先行勢と変わらないが、生産方法の流れがあまりに違うため品質が安定せず、ハーレロット(不良ロット)が出やすい。それでも人件費が安いから安く出せる、というのが中国の強みである。
セッション終盤、参加者から「なぜ香港ではなく上海上場なのか」という質問が出た。本来ワールドワイドに展開し資金を集めるなら香港上場のはずで、しかし最近は半導体装置メーカーも含めて深圳・上海上場が非常に多い。ここに戦略的な意図があるのではないか、と。
回答は、CATLのようにワールドワイドに持っていく場合は香港上場をやるが、基本的にはまず上海(または深圳)に上場し、その後で香港上場という流れだというもの。詳細は次回のYouTube動画と講義で解説するとされ、宿題として持ち越された。
なお主宰者は、政府にとってメモリを作ることは国家安全保障上の最優先事項の一つであり、自給自足でやっていくためにかなりのプレミアムがついていると分析した。加えて最近のIPOの傾向として、SpaceXの事例に見られたように不動株(フロート)を小さくして市場の資金を集中させ、値段を釣り上げるやり方が取られており、CXMTもこれをやってきた、と指摘した。
DRAMでCXMTが登場したのなら、SSD・フラッシュメモリ側で出てくる中国企業は何か。答えはYMTC(長江存儲)である。そして今、タイミング的にIPOの準備をしている。中国は市場の流れ自体が米国を半年ほど遅れて追いかけている、というのが主宰者の一貫した見立てである。
ここで参加者の一人がAI検索の結果をそのまま棒読みしたことに対して、講師から厳しい指摘が入った。「Xtackingという独自技術を持ち、読み書き速度と耐久性が他社より大幅に向上した」「世界で初めて232層を商業化した」——これらは調べればすぐ出てくる内容であり、理解せずに読み上げるのは「調べた」うちに入らない、というものである。これはPART 7の「外部顧問には説明責任がある」という議論と同じ論点である。
従来の3D NANDは、記憶層と制御回路を同じシリコン上に一緒に作り込んでいた。Xtackingはこれを別々の場所で作り、後から貼り合わせる。
これが効くのは熱の問題である。同一ウェハ上でどんどん積層すると、熱処理プロセスが周辺のトランジスタ性能を劣化させるため、高くすればするほどトレードオフが発生する。Xtackingでは記憶層の板と制御回路の板を別に用意するので、記憶層は熱を気にせず限界まで積層でき、制御回路は熱の心配なく最速で動く回路を埋め込める。完成した2枚を上下で貼り合わせてチップにする。
理論上は200〜300層まで可能になるが、それは理論上の話であって実際にはできていない、というのが講師の評価である。
そしてボトルネックの所在が示された。積層する技術はある。問題は貼り合わせた後、穴を掘る(ホール)工程である。64層と64層を貼り合わせて互いのバランスを取りながら上げていく技術だが、このホール工程についてはアメリカの技術のほうが優れているため、今の段階ではスピード感が出ない。ここが差になっている、というのが結論だった。
出典:新浪財経 / Tom's Hardware
YMTCの弱点はワールドワイドに展開できていないことである。現状はPC向けやスマホ向けに出している程度にとどまる。一方の強みとして挙げられたのが、メモリ高騰という追い風である。iPhoneが高くなったのはメモリ価格の高騰が原因であり、その結果Apple自身が米国政府に申請して中国製メモリを使うと言い出した。米国があれだけ弾いてきたにもかかわらず、Appleが申請した——これは中国側にとって大きなプラスである、と主宰者は評価した。
ただしYMTCもCXMTと同様、キオクシアやSanDiskのような長期契約ではないため、メモリ市場が万が一崩れたときに一気に儲からなくなる、と釘が刺された。技術的にはかなり追いついてきているが、製造装置が入らないため製造工程が複雑になり、コストが嵩む——これが中国の弱みである。
iPhoneへの影響(実数):iPhone 18 Pro(256GB)のBOMに占めるメモリ比率は約34%で、プロセッサとディスプレイを初めて上回った。DRAMコストはiPhone 17 Proの約39ドル→約145ドル(+272%)、NANDは256GBで約13ドル→約51ドル(約4倍)。BOM総額はiPhone 17 Pro比約+38%。小売価格予想はIDC +200ドル、TechInsights +270ドル、JPMorgan +50ドル。Appleは2026年6月25日に既にMac製品で100〜500ドルの値上げを実施済み。ティム・クックは「40年以上の業界経験で見たことがない」と発言。
PART 11の最後に、主宰者は参加者に対して問いを投げた。エッチングのスペシャリストはどこか(ラムリサーチ)、半導体製造装置の総合メーカーはどこか(アプライドマテリアルズ)。これらはSamsung・SK hynix・Micronに必要である。では中国企業はどこか。
米中は完全に分断化された社会構造になっている。米国は重要技術について中国に輸出せず、劣化品だけを送る。中国は自給自足でやってくる。
ということは、ラムリサーチに代わる企業があっていい。アプライドマテリアルズに代わる企業があっていい。テキサス・インスツルメンツに代わる企業があっていい。ここを調べるのも一つのリサーチである。
同じ論理で、Samsung・SK hynix・Micronの代わりに出てくるのがCXMTであり、キオクシア・SanDiskの代わりに出てくるのがYMTCである。HBM技術が高度化していけば、それを支える中国国内の装置企業も注目企業になる。これも一つの狙いどころ。
具体名として挙げられたのがAMEC(中微公司)とNAURA(北方華創)の2社である。
2025年の世界半導体製造装置メーカーランキングで中国3社がトップ20入り(上海証券取引所/China Daily)。
| 順位 | 企業 | 備考 |
|---|---|---|
| 5位 | NAURA(北方華創) | 推定売上468〜520億元(約74.7億ドル)。2022年8位→2025年5位。プラズマエッチング、PVD、CVD、酸化・拡散、洗浄、アニール+真空技術+リチウム電池装置。→ Applied Materials型の総合装置メーカー |
| 13位 | AMEC(中微公司、688012.SH) | 2025年通年 売上+36.6%(約123億元=約17億ドル)、純利益+30.7%で21.1億元。プラズマエッチング(CCP/ICP、65nm〜3nm対応)+薄膜成膜。主力エッチング装置が5nmラインで使用と報道。→ Lam Research型のエッチング特化 |
| 20位 | SMEE(上海微電子) | 露光装置。ASMLとの「世代格差」を公式に認めている |
AMECは薄膜装置事業が2025年に前年比約+1,300%で成長、世界170社超の顧客に累計8,800超のプロセスチャンバーを設置、R&D比率は売上の30.2%。目標は5年以内にハイエンド半導体装置市場の60%以上をカバー、2035年までにグローバル第一梯隊入り。
ただし規模はまだ1桁違う:AMAT 年商約270億ドル、Lam 約180億ドルに対し、NAURA 約75億ドル、AMEC 約17億ドル。また中国装置メーカーは売上が過去最高を更新する一方、国内での過当競争(内巻)で利益率が圧迫されている点も各紙が指摘している。裏取り済
主宰者は逆の思考実験を提示した。万が一、規制が全部解放されたらどうなるか。おそらく中国が秒速で覇権を取る。すでにEUV露光装置はASMLしか作れないが、中国が実験でデモ版を作り、ある程度機能するという研究が出ている。数年以内に国内でEUV相当の装置を作り始めれば、一気に話が変わる。エッチングやTSVについても内製化が進んでおり、内製化の話がちらほら聞こえ始めたら情勢が一変する可能性がある、と述べられた。
Reuters系報道ベースで、深センの高セキュリティ研究施設で国産EUVプロトタイプが稼働中とされる(2025年末〜2026年初)。体制はHuaweiが中核調整役、ハルビン工業大学(光源)、長春光学精密機械研究所(光学系)、SMEE(統合)、SiCarrier(深セン、国家系)で3,000人超の研究者が参加。2つの並行チーム(林楠・北京航空航天大学の固体レーザー方式/趙永蓬・ハルビン工業大学のLDP方式)。
ただし現状の光源出力は約100Wで、ASMLの約600Wには遠く及ばない。装置は工場フロアをほぼ埋めるサイズで、プロトタイプは稼働しているがまだ機能するチップは製造していない。公式目標は2028年のチップ量産、専門家の現実的な見立ては2030年。
信頼性の留保:主要ソースはReutersの匿名情報筋。中国環球時報は否定も公式確認もしていない。「デモ機」「量産検証」を謳う記事の多くは自動生成系配信で一次情報としての信頼性は低い。ASMLの代替になるという主張は現時点で完全に裏取り不可。スループット・歩留まりのデータは一切公開されていない。
最後に議論はAIチップに移った。これまでCUDAを使わずにAIを作ることはできなかった。それがHuaweiのプラットフォームで作られたのがDeepSeek V4であり、その性能は米国製トップとほとんど変わらなくなっている、と主宰者は述べた。HuaweiのAscend 950PRのようなチップと、低コストで動かせる仕組みがすでに存在するため、今後は中国国内からNVIDIAのエコシステムを使わずに作れる流れが次々と出てくる可能性がある。そうなればNVIDIAの囲い込み戦略が中国国内で通用しなくなり、しかも中国製品は安い。
ここで示されたのが、最も戦略的で最も厄介な指摘だった。中国は若い人がいる国に自社製品を投げまくっている。今の世代や上の世代はCUDAを使ったほうがいいに決まっている。しかし若い世代に最初から中国製の環境を使わせ始めれば、彼らにとっては逆にCUDAが面倒になる。スイッチングコストは高い。だからこそ、まだスイッチしていない世代を先に取る。世代ギャップを利用する戦略であり、「むちゃくちゃ頭がいい」と評された。しかも中国には「人の意見を聞かない」という必殺技があり、上から「これでやれ」と言えばやらざるをえない。
ではNVIDIAの牙城は崩れるのか。主宰者の見立ては、堀はマジで高い、鉄壁だ、というものである。ただし中国人のポテンシャルだけを見ればやってくる可能性は十分にある。だからNVIDIAが今後ずっと安泰というわけではない。もっとも、そうなった頃には量子コンピューティングのエコシステムをNVIDIAが握り始めている。次のステップに顔を出し、超えられたら次はこっち、と先へ先へ移り続けているのが今のNVIDIAである、という整理で締められた。
2026年5月3日、Special Competitive Studies Projectのインタビューで「中国での我々のシェアはゼロに落ちた」「中国ほどの規模の市場を丸ごと譲るのは戦略的に意味がない。すでに大きく裏目に出ている(has already largely backfired)」と発言。2025年5月にも輸出規制は「失敗(a failure)」と明言している。中国事業の逸失は約500億ドル規模と報じられる。
関連して、Huawei会長は「米国の輸出規制に感謝する。中国の半導体産業を加速させた」と発言している(Tom's Hardware報道)。
ただし「規制すると中国が自前で作ってしまう」という逐語的な引用そのものは確認できなかった。趣旨は複数ソースで一貫して確認できる。要確認