STUDY REPORT / 2025年11月度 勉強会

AIがPLに乗らない理由 ――導入の6段階ロードマップと、日本が止まる二箇所

AIを入れても生産性が上がらないのは、AIのせいでも導入量のせいでもない。6つの段階のどこで機会損失が漏れているかの問題である。その場で描かれたフレームワークと、日米の到達段階の差、そしてこの見立てが2026年8月までにどう当たったかの検証。

EXECUTIVE SUMMARY

AIの投資対効果は、6段階のどこで漏れるか

6段階
タスク効率化から競争維持までのロードマップ
4象限
暗黙知/形式知 × エラーコストの高低
Step 1
日本企業の大半が自己満足で止まっている段階
Step 3〜4
米国大手が到達していると見た段階
約10年
PC普及からGDPに反映されるまでの遅れ(講師の見立て)
完成度20%
作成者自身によるこの資料の自己評価

この回の後半、主宰者は参加者の一人(プライベート・エクイティ/コンサル業務に携わる小賀氏)に向けて、その場で「AI戦略をどう経営に落とし込むか」の図を提示した。本人の弁によれば一時間ほどで作った完成度2割の資料だが、内容は二層構造になっている。ひとつは導入対象を切り分ける2×2のマトリクス、もうひとつは導入から利益反映までの6段階ロードマップである。

マトリクスの軸は、知識の性質(暗黙知か形式知か)と、ミスしたときのエラーコスト(高いか低いか)。この四象限で、どこをAIに完全に任せ、どこをAI生成+人間検証にし、どこは人間主導でAIに支援させ、どこは高スキル人材でなければ触らせてはならないかが分かれる。出発点は野中郁次郎のSECIモデルで、言語化されているものはAIで処理でき、言語化されていないものは人間が形式知化しなければならない、という切り分けである。

ロードマップのほうが本題だった。主宰者の主張は明快で、AIを入れても生産性が上がらない、PLに反映されないのは、この6段階のどこかで機会損失が漏れているからだという。順序はタスク効率化 → 従業員の習熟 → 人材の再配置 → 組織のスループット再設計 → 市場需要の獲得 → 競争優位の維持。そして日本企業の大半は第1段階のタスク効率化で自己満足して止まっており、米国はすでに第3段階の人材再配置(=大量解雇)に入っていて、第4段階の組織再設計の話をザッカーバーグやアンディ・ジャシーが始めている――というのが2025年11月時点の見立てである。

結論を先に書くと、この見立ては2026年8月時点でおおむね当たっている。Amazonは2026年1月に追加16,000人の削減を発表し、2025年10月分と合わせて計30,000人となったが、この第二弾は明確に「反官僚主義(anti-bureaucracy)」=管理階層の削減として説明された。これは人員削減そのものより組織構造の作り直しであり、まさに第4段階への移行にあたる。またAppleは2026年4月、ティム・クックが会長へ退き、ジョン・ターナスが9月1日付でCEOに就任すると発表した。主宰者が「2年前からクックは代わったほうがいいと言っていた」「今4人の候補者が出ている」と述べていた読みは、5か月後に現実化した。詳細はPART 6で扱う。

このセッションを貫く一本の線

AI導入の失敗は技術の失敗ではなく順番の失敗である。ツールを入れるのは6段階のうち最初の1段階にすぎず、そこで満足すると、教育・再配置・組織再設計・需要獲得という残り5段階で価値が漏れ続ける。だからPLに乗らない。逆に言えば、企業のAI関連の発表を6段階のどこに位置づけられるかで読めば、その企業がどれだけ本気かを外から判定できる。これは経営コンサルの道具であると同時に、投資家の分析軸でもある。

PART 0

冒頭の雑談――ロボット、フィンランドの衛星、そして中国のデータセンター

講義前の雑談は、この回では単なる近況報告に終わらなかった。三つの話題が続き、いずれもこの日の本題であるAI・データセンターに接続している。

1. 頭脳のアメリカ、肉体の中国

冒頭で語られていたのはロボティクスの見通しである。主宰者の整理は「頭脳のアメリカ、肉体の中国」というイメージで、これが2026年のかなり主流のビジネスモデルになるのではないかと言われている、というもの。介護現場へのロボット導入や、テスラの車内でロボットが動いている事例に触れつつ、日本は出遅れるだろうと予測した。ただし制御装置では日本が世界トップであり、ASMLのEUV露光装置ほど先端でない領域――たとえば韓国のサムスンやSKが使うHBMの製造装置のような層――でロボットでも日本が強くなるのではないか、と補足している。

📌 Claude補足:「頭脳のアメリカ・肉体の中国」という分業観について

この表現は業界の定訳ではなく、主宰者独自の要約と見るべきである。ただし背景にある構図――AIモデルと半導体設計は米国が握り、ヒューマノイドの量産・部材・組立は中国が担うという分業観――は、2025年以降のロボティクス関連の議論で広く共有されている。中国のヒューマノイド勢(Unitree、UBTechなど)の量産能力と、米国側(Tesla Optimus、Figure等)の動作制御・基盤モデルという対比がその典型。ただし「2026年の主流ビジネスモデルになる」という予測を裏付ける定量的な出典は確認できなかった。要確認

2. フィンランドの小型衛星企業と「第2のイーロン・マスク」

参加者の一人が、フィンランドの小型衛星メーカーとビジネスをすることになった、経営者が「第2のイーロン・マスク」と注目されている、将来性をどう見るかと質問した。主宰者の回答は「その会社を知らないので何とも言えない」と即答で、代わりに「ヨーロッパで宇宙産業を見るなら、ルクセンブルクは必ず外せない」と返している。なお「ヨーロッパに第2のイーロン・マスクは5人くらいいませんか」という軽口が挟まれた。

📌 Claude補足:この会社はICEYE、渋谷ではなく日本拠点の話と見られる

文字起こしでは社名が「愛(アイ)」と聞き取られ、アルファベット表記でA〜Hのどこか、という曖昧なやり取りになっているが、フィンランドの小型SAR(合成開口レーダー)衛星メーカーで、日本に拠点を開いており、防衛関連のビジネスを行っている企業となるとICEYEが該当する。同社はフィンランド、ポーランド、スペイン、英国、豪州、日本、UAE、ギリシャ、米国に拠点を持つ。

日本との関係は具体的である。2025年5月、幕張メッセで開催されたDSEI JapanでIHIとICEYEがSAR衛星コンステレーション(最大24機)の共同開発に関する覚書を締結。IHIは衛星4機と画像取得システムを発注し、追加20機のオプションを持つ。衛星の製造拠点を日本国内に設ける計画で、最初の衛星は2026年4月頃から段階的に運用開始・データ提供が始まる予定とされた。日本の防衛省のスタンドオフ防衛能力の実効性確保を支える狙いがある。参加者の「防衛庁とビジネスをやっているらしい」という情報は、この文脈と整合する。

また、ルクセンブルクを挙げた主宰者の指摘も根拠がある。同国は2016年に SpaceResources.lu イニシアチブを立ち上げ、2017年に宇宙資源の所有権を認める法律を制定、2018年にルクセンブルク宇宙庁を設立して、宇宙ビジネスの法制・金融ハブとしての地位を築いてきた。欧州の宇宙産業を資本と法制の側から見るなら外せない、という指摘は妥当である。

3. 中国サーバー大手の日本再進出――データセンターと安全保障

この日の雑談で最も重い話が、新規参加者(米UC系大学出身でデータセンター構築の実務に携わる小澤氏)から出た。要旨は次のとおりである。

語られた内容(参加者の発言。第三者による裏取りは取れていない)

・現在は大型よりも小さめのデータセンターを作るプロジェクトが多い。取引先は米国系というより、米国の息のかかった台湾系企業やSupermicroなど。中国側にも顧客がいる。

・中国のサーバーメーカー「インスパー(浪潮/Inspur)」が日本市場を本格的に狙いに来ており、そのコンサルティングの依頼が来ている。同社は韓国で失敗しインドネシアでも失敗した後、日本での実績を世界展開の足がかりにしようとしている。中国企業は日本での実績を今なお重視している。

・日本法人はあるが戦略がうまくいっておらず、本社が直接乗り出して再挑戦しようとしている。富士通やNECは米国に睨まれたくないので手を引いており、小さい会社を隠れ蓑にして進出しようとしている。

・資金の流れとして、インスパーが直接出せないため中国銀行の東京支店から資金を出させ、日本側の会社に融資させてデータセンターを作る構図が語られた。中国政府がこの日本進出をバックアップすると中国国内で発表済みで、引くに引けなくなっている。

・副社長が近く来日し、面会を打診されている。政府間の摩擦に巻き込まれかねないため、受けるかどうかのバランスを検討中。

これらはクローズドな場での発言として語られたものであり、内容の真偽をClaudeとして確認する手段はない。以下の補足は、社名や市場順位など公開情報で照合できる部分に限る。

📌 Claude補足:Inspur の市場順位について

発言では「世界4位か5位のサーバーメーカー」とされていた。公開データと照合すると、AIサーバー市場では2024年に約12%のシェアでDell(20%)、HPE(15%)に次ぐ第3位。全世界のサーバー市場全体では2024年第4四半期時点で約5.0%のシェアで、順位はおおむね4〜5番手圏にあたる。したがって発言の「4位か5位」という認識は、全体市場ベースで見れば妥当な範囲内である。中国国内の加速コンピューティング(AI)サーバー市場では、2025年上半期にH3C・Lenovoと並ぶトップ3で、3社合計で約50%のシェアを占める。

なお発言中で挙げられた「Supermicro」は台湾系企業と説明されていたが、正確には米国カリフォルニア州サンノゼに本社を置く米国企業(Super Micro Computer, Inc.)である。創業者チャールズ・リャン氏が台湾出身であることや、製造・サプライチェーンが台湾と密接なことから台湾系と表現されたと思われるが、法人としては米国企業。要確認「NVIDIAのGPUの約20%を作っている台湾企業」という数値についても、対応する公開統計を特定できなかった。

「富士通・NECが手を引いている」という点についても、企業の個別判断を示す公開情報は確認できなかった。要確認

この話が本題とつながるのは、AI時代の設備投資が地政学の直接の対象になっているという一点においてである。データセンターは電力と土地と資本の問題であると同時に、誰の資金で誰の機器が置かれるかという安全保障の問題であり、経営戦略としてのAI導入の議論は、この層と切り離せない。

PART 1

2×2のマトリクス――AIに何を渡し、何を渡さないか

フレームワークの第一層は、知識の分類とエラーコストによる四象限である。縦軸は暗黙知(tacit)と形式知(explicit)、横軸はミスしたときのコストの高低。この切り分けの前提として、主宰者はSECIモデルを説明した(詳細は別レポートで扱う)。要点だけ言えば、言語化・表現できているものはごく一部で、大半は暗黙知のまま残っている。すでに形式知化されているものはAIで処理できるが、暗黙知のままのものは人間が形式知化するしかない。

形式知 × エラーコスト低

AIが主流。完全自動化の領域

ドキュメントのスクリーニング、顧客データの処理など。すでにアウトプットされているものを処理するだけなので、大半はAIで完結する。すでにAIに置き換わっている。

暗黙知 × エラーコスト低

AIが作成し、人間が選択する

広告の作成、概要の作成、リサーチなど。求められるのは判断力・リサーチ力・想像力。ミスしてもすぐ修正できるので、コストは高くない。

形式知 × エラーコスト高

AIが生成し、人間が検証する

法務業務、契約書、高額取引まわり。ある程度形式化されているのでAIはすぐ出力できるが、数字や細部は必ず人間が判断する。求められるのは精査能力と専門知識。ここは高度なスキルを持つ人材に限定して任せる。

暗黙知 × エラーコスト高

ヒューマンファースト。人間主導+AI支援

戦略の策定、全社的なシステム統合。ミスすると会社が崩れる領域なので、人間が必ず主導し、AIには支援に回ってもらう。求められるのはリーダーシップとコミュニケーション能力。

主宰者の主張は、コンサルティングで企業に入るなら、まずこの4象限に事業を分解せよ、というものである。完全自動化してよいもの、AIに出力させて一般の従業員が確認できるレベルのもの、人間が主導しなければならないもの、高スキル人材でなければ触れてはならないもの。この切り分けをしたうえで、どこにどんなAIを入れるかを考える。切り分けの前に導入を考えるから失敗する。

そしてこの枠組み自体の出所も明示された。「これはAIで言われている今の戦略。どこから引っ張ってきているかというと、IT・DXも同じフレームワークを使って導入していったんですね、アメリカの企業とか。それをただAIに切り替えただけです」。つまりこれはAI固有の理論ではなく、汎用技術の導入に共通する型として提示されている。

📌 Claude補足:SECIモデルの出典と提唱者

SECIモデルは一橋大学名誉教授・野中郁次郎氏が提唱した知識創造理論の中核で、共同化(Socialization)・表出化(Externalization)・連結化(Combination)・内面化(Internalization)の4プロセスの頭文字から名付けられた。主著は竹内弘高氏との共著『知識創造企業(The Knowledge-Creating Company)』1995年。暗黙知と形式知が個人・集団・組織のあいだで絶えず変換・移転されることで新たな知識が生まれるとする枠組みで、日本発の経営学理論として国際的に最も広く引用されるもののひとつ。

なお野中氏は2025年1月25日に89歳で逝去している。この勉強会(2025年11月28日)の約10か月前にあたる。講義中に「野中教授」として現在形で言及されているが、これは理論の呼称としての言及であり、事実誤認とは言えない。

PART 2

6段階ロードマップ――どこで機会損失が漏れるか

フレームワークの第二層が、この日の中核である。AIを導入してから利益に反映されるまでを6段階に分け、各段階で誰が責任を持ち、誰を対象にするかを定義したロードマップである。

#段階内容と、そこで漏れるもの責任者・対象
1Task Efficiency
タスクの効率化
改善すべきタスクの特定。ところが企業側がそもそも「何にAIを使っていいか」を出せない。AIを分かっていないので、自分の想像がつく範囲の簡単なタスクしか出てこない。CTO・CIOの支援。対象は全従業員
2Employee Adoption
従業員の習熟
従業員がAIのトレーニングを受けていないため、使いこなしに至らない。トレーニングを受けて初めて「こういうところにも使えるじゃん」という気づきが生まれ、できないと思っていたことができるようになる。人材教育システムを対象者全員に対して実施する必要がある。人材教育システム。対象は全従業員
3Resource Redeployment
人材の再配置
10人でやっていたものが5人でできるようになる。余った人員をどう再配置するか、あるいは解雇するか。AI導入で仕事の質も作業内容も変わるため、A部署からB部署へという人事異動が起きてくる。COOの支援。対象はマネージャークラス
4Organizational Throughput
組織スループットの再設計
AIによって生まれた利益と時間をもとに、業務プロセスそのものを再設計する。作業内容とクオリティが変わったのだから、これまでの働き方の設計を作り直さなければ円滑化しない。CTO・COO。対象はマネージャークラス
5Market Demand
市場需要の獲得
生産量が爆発的に増えても、市場が取れなければ意味がない。ここで初めて営業とマーケティングの問題になる。そのうえで費用と人材投資をどれだけ行うかを決める。COO・CFO。営業/マーケティング
6Competitive Retention
競争優位の維持
皆がやり始めると飽和する。競合も同じことをするので、最初は差別化できても追いつかれ、利益率が向上しにくくなる。ここでリサーチを再開し、また第1段階に戻る。CEOおよび経営全体

主宰者が強調したのは、この流れを社内で回すこと自体が経営戦略の中核だという点である。「企業や組織が今後どうやって学習して、相手との差を開き続けるのかという戦略の中で、このタスクを順番に落とし込むことによって、利益損失や機会損失をできるだけ逃さなくできる。そうするとPLに反映されやすくなる」。逆に言えば、AIを入れてもPLに乗らないのは、この6段階のどこかで取りこぼしが多すぎるからである。

そして、AIによる生産性向上がマクロ統計に現れるまでには時間がかかるという前提も置かれた。「パソコンが導入されてからGDPに反映されるまで10年かかった。同じようにAIも人の生産性が上がってGDPに反映されるまで10年くらいかかる可能性がある」。だからこそ、その10年のあいだにどこで漏れているかを潰す企業と、放置する企業のあいだで差がつく、という論理である。

📌 Claude補足:この6段階は独自整理。ただし「PLに乗らない」は実証されている

「Task Efficiency → Employee Adoption → Resource Redeployment → Organizational Throughput → Market Demand → Competitive Retention」という6段階の呼称と順序は、標準的なフレームワークとして流通しているものではなく、主宰者による独自の整理と見るべきである。要確認

一方で、その中心的な主張――AI投資が損益に現れない――は実証研究で裏付けられている。MITのNANDAイニシアチブが2025年8月に公表した調査は、企業の生成AIパイロットの95%が測定可能なP&Lへの影響を生んでいないと報告した。経営幹部52名へのインタビュー、153名のリーダーへの調査、300件の公開導入事例の分析に基づくもので、企業側の生成AI支出は300〜400億ドルに達している。同報告は失敗の原因をモデルの品質や規制ではなくアプローチにあるとし、「可視性(visibility)」目的のプロジェクトに資金が流れすぎていて財務指標を動かしていないと指摘した。成功している5%は、対象を絞り、業務領域に特化し、外部の専門家を組み合わせている(社内AI専門家+外部専門家の組み合わせは成功率67%、IT部門単独は22%)。

「タスク効率化で自己満足して止まる」という主宰者の診断と、「可視性プロジェクトに金が流れて損益が動かない」というMITの診断は、ほぼ同じ現象を別の言葉で述べている。

📌 Claude補足:「PCからGDP反映まで10年」の根拠と、実際の年数

この主張の背景にあるのはソローの生産性パラドックスである。ロバート・ソローは1987年に「コンピュータ時代の到来はいたるところで目にするが、生産性統計の中を除いては」と述べた。ブリニョルフソンは1993年にこの現象を体系的に整理し、計測誤差・学習と調整のラグ・利益の再分配と散逸・ITのマネジメント失敗の4つを原因として挙げた。

年数については、講師の「10年」よりも長い数字が学術的には一般的である。ポール・デイヴィッド(1990年)は米国製造業の電化を例に、工場の電化が生産性統計に現れるまで最大30年を要したと論じた。ブリニョルフソン、ロック、サイバーソンの「生産性のJカーブ」は、汎用技術(GPT)の導入初期には無形資産投資が費用として計上されるため測定生産性がむしろ下がり、後にその果実が回収される段階で急上昇する、という形を示す。

したがって「10年」という具体的な数字は、講師による丸めた概算と受け取るべきで、汎用技術一般の学術的な推計はもっと幅がある。ただし「導入からマクロ統計への反映には長いラグがあり、その間に無形投資=プロセス再設計と人材教育をやった企業だけが果実を得る」という論旨の方向は、Jカーブの議論と完全に一致している。むしろ講師の6段階ロードマップは、Jカーブが言う「無形投資」の中身を段階分解したものとして読める。

図1:2025年11月時点での日米の到達段階(講義中の主宰者の見立てをもとにClaude作図。公的統計に基づく指標ではない)
PART 3

日本が止まる二箇所――教育と、人を切れないこと

主宰者の日本企業診断は容赦がない。「大抵の今の日本人がやっているのは、タスク効率化のところで自己満足しているだけ」。重要なのは第2段階の従業員の習熟で、AIのトレーニングを受けていない従業員が機会損失を出し続けている。だから日本に最も必要なアドバイジングのポイントは、人材教育システム・人事システムの構築にある――という診断である。

そのうえでこう続けた。「タスク効率化をやっているというのは、何もしていない状態なんですよ、まだ」。ITが遅れ、DXが遅れたのも同じ理由であり、この段階で丁寧に変革を行っていないから、IT遅れ・DXできていない・AIも活用できていない、という一連の症状が全部同じ説明で片づく、と。

この診断に対して、業界の内部から実務的な補強が入った。参加者(長谷川氏)の指摘はこうである。第2段階の従業員習熟と第3段階の人材再配置が、日本企業には最もできない。教育にそこまでコストをかけないうえに、再配置のときに人を切れるかという問題が必ず出てくる。この図を見せたところで、この2箇所で止まってしまうだろう、と。

主宰者の返答:尻尾と頭だけやる

この行き詰まりへの回答として提示されたのが、導入対象の選び方に関する研究である。部署単位で入れるなら、最も成果の出ている事業部か、最も成果の出ていない事業部に入れるのが最も成長率が見える。前者なら「あそこがやっているから」という同調圧力で社内に広がる。後者なら「こんなお荷物事業部がこれだけ改善した」という事例がつき、「じゃあ他も入れよう」となる。この両極からアプローチをかけると社内で一気に広がりやすい、という研究が実際にある、と説明された。

長谷川氏はこれを受けて「尻尾と頭のほうだけやってみるという話を聞いたので、それで提案してみようと思いました」と応じている。

📌 Claude補足:日本の生成AI利用率は公開統計でも明確に低い

総務省『令和7年版 情報通信白書』(2025年7月公表)によれば、個人の生成AI利用経験率は日本26.7%に対し、米国68.8%、ドイツ59.2%、中国81.2%。日本は前年度の9.1%から約3倍に伸びたものの、依然として大きく水をあけられている。企業側では、生成AIの活用方針を策定している企業の割合が日本49.7%(積極活用と限定利用の合計)で、大企業約56%に対し中小企業は約34%。

興味深いのは、日本で生成AIを利用しない理由の第1位が「自分の生活や業務に必要ない」、第2位が「使い方がわからない」だったことである。これは主宰者の言う第2段階(従業員が習熟していないため、何に使えるかの気づきが生まれない)の症状そのものであり、白書の数字はこの診断を裏付ける形になっている。

なお、「特定のフレームワークがない状態で外部の意見をどう入れるか」という問いに対して、主宰者はCTOやCIOも含めて外部から引っ張ってくる段階に入っている、と答えている。客観的な意見を入れなければならず、だからこそ今後は再編が起こる時期である、と。GoogleやMetaが社外取締役を多数入れているのはまさにこのチェック要素だ、という説明が続いた。

PART 4

現場からの二つの実装案――下から攻める/投資家に圧をかけさせる

この日のフレームワーク議論が良かったのは、抽象論で終わらず、実際に導入をやった人間と、これから仕掛ける人間の両方から具体案が出たことである。

案A:下から実績を作って上に繋ぐ(長谷川氏の実例)

約8年前、DXベンダー側として名古屋の大手自動車会社にRPAを導入した経験。最初は上から攻めたがまったく取り入れてもらえなかった。そこで開発部門から入ってとりあえず実績を出し、それを上に繋いでもらい、最終的に全社のマネージャー層に教育をかけた。フレームワークと「そもそもどの業務が置き換えられるのか」を話したら進みが一気に速くなった。プレゼンでは「どれくらいやると何%業務カットできるから、金に落とすとこれくらい」という形で持っていった。全社展開では部門ごとにリーダーを立て、試験を作って受からせるという方式を採った。

案B:投資家に言わせる(小賀氏の構想)

日本のマネジメントは簡単には動かないので、投資家の力を借りる。株を持っている投資家からは「これを改善しなければ売る」と言わせ、投資を呼び込みたい会社には「これをやれば買ってもらえる」と伝える。アクティビストでなくとも、普通の投資家からの「売るぞ」という圧力に加え、社外取締役を増やせ・ガバナンスを効かせろという流れ、さらに開示基準の変更が重なる。この全体の流れのなかで投資家とタイアップする。

小賀氏の側からは、現場の実感として次のような問題が語られた。AIエージェントが各種出てきてはいるものの、すでに乱立状態で部署ごとにバラバラ。顧客側のサプライチェーン/バリューチェーンからデータが集まらない。既存のERPなどのシステムを全部切ってしまうのは現実問題として難しいので、新たなアプリをどう入れ込むかというアプローチで、英国の会社と組んで試みている、と。

その突破口として挙げられたのがSSBJ

小賀氏は「来年からSSBJという開示基準が入る。4月以降、時価総額の大きい企業から段階的に毎年入ってくる」として、これを日本企業の改革のチャンスと位置づけた。金融庁および内閣主導で「これはやれ」という形で降りてくるので、そのタイミングを掴もうとしている、と。

📌 Claude補足:SSBJの適用時期と対象は発言とほぼ一致

SSBJ(サステナビリティ基準委員会)が策定した日本版サステナビリティ開示基準は、最短スケジュールで2027年3月期から、時価総額3兆円以上のプライム上場企業に強制適用される見通し。つまり2026年4月開始の事業年度からで、発言の「来年から、4月以降」と整合する。翌2028年3月期には時価総額1兆円以上へと対象が拡大する段階適用となっており、「時価総額の大きい企業から段階的に毎年」という説明も正確である。時価総額の判定は5事業年度末の平均値で行う予定で、対象となる時価総額3兆円以上の企業は68社、時価総額カバレッジは54.1%とされる。

ひとつだけ用語の補正を加えると、発言では「SSBJという会計システム」と表現されていたが、SSBJは会計基準ではなくサステナビリティ情報の開示基準である。ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)基準に対応する日本版という位置づけで、気候関連やスコープ3を含む非財務情報の開示を規律する。

この文脈で主宰者が示した提案の型は、コンサルティングの実務論として明快だった。相手国や相手企業に「あなたたちは遅れている」と言っても認識しない。だからまず循環線のロードマップを引いて、「あなた方の立ち位置はここだ」と示す。分かりやすいようにフレームワークを独自に作り、その枠ごとに絞り出すヒアリングをしたうえで、「ここを改善するとこういうROIが出る」と一つひとつ説明していく。そこまでプレゼンして、それでもやらないと言うなら「勝手にしてください」で終わる、と。

もっとも、この資料そのものについて主宰者の自己評価は厳しかった。「完成度は僕の中で20%くらい。もっと黙らせて、資料だけで『お前ら何も言えないだろ』というくらいのものを作らないと僕は提出しない」。長谷川氏が議員への提案に使いたいと申し出たところ、「もうちょっと精査してから渡す」と応じ、来週前半という期限が置かれた。追加すべき要素として挙げられたのは、二次元のデータ扱いに三次元的な要素を入れること、そして枠のなかに他社比較を入れることの2点である。

PART 5

「高スキル人材」は10年後の労働者である

フレームワークの右端に置かれた「求められる能力」の欄をめぐって、担当講師(前田氏)から言葉の選び方について質問が出た。労働者と高スキル人材を分けているが、どちらも高度な技能が必要ではないのか、と。

主宰者の答えは、能力要件そのものがインフレするという時間軸の話だった。「AIが使えることはコアではなくなってくる」。ここで言う高スキル人材とは、AIが使える人間ではなく、その先のプログラミングやエンジニアリングができる人間を指す。そして今「AIが使えてすごいね」と言われている人たちは、10年後に今の10代が使い始める頃には、ただの労働者レベルになる。かつて高スキルとされたものが普通のスキルになるからだ、と。

ここから導かれる実務上の帰結

スキル要件は固定的な階層ではなく、時間とともに下方へスライドする。ある時点の「高スキル」は次の時点の「標準」であり、そのとき別の高スキルが必要になる。したがって人材ポートフォリオを組むときに、現時点のスキル分布だけで設計すると数年で陳腐化する。前田氏が「この高スキルが今度また労働者のほうに移動するということですね」と確認し、主宰者が「そういうことです」と応じている。

そのうえで主宰者は、日本の経営者に対して最も辛辣な診断を下した。日本人はリサーチ力と想像力(創造性)が圧倒的に欠落しており、大半の人のレベルは労働者の層にいる。ところが労働者のレベルであるにもかかわらず、エラーコストの高い領域で凡ミスを繰り返す。だからコストが高くつき、機会損失が大きくなる。経営者がまず労働者から高スキル人材のレベルまで上がってもらわないと始まらない、と。

そして最終的に求められる能力として繰り返し挙げられたのが、想像力・知識・リーダーシップ・コミュニケーションの4つである。これはマイキークラブで常に言っていることだ、と本人が述べている。2×2マトリクスの各象限に対応させると、エラーコストの低い領域では判断力・リサーチ力・想像力、形式知×高コストでは精査能力と専門知識、暗黙知×高コストではリーダーシップとコミュニケーション能力、という配置になる。

📌 Claude補足:既存レポートとの接続

この「AI後に人間に残る能力」という論点は、本シリーズの既存レポート『AI後に評価される三条件』および『デジタルはアナログを強化する』でも扱われている。今回の新規性は、能力要件を静的なリストではなく時間とともにスライドする階層として提示した点と、それを2×2マトリクスの象限ごとに割り当てた点にある。

PART 6

検証――COOの交代という兆候は当たったか

この日の議論のなかで、最も検証可能な形で提示された見立てがこれである。主宰者の観察はこうだった。米国企業でいま最も入れ替わっているのはCOOである。第3段階の人材再配置ではCOOの支援が要になるので、時代の要請に合わせてCOOが交代している。AppleもCOOが今年(2025年)代わった。米国企業はチーフ層の人事配置まで戦略と連動させているが、日本の場合はCTOもCIOもCOOもずっと同じ人間がやっている時点でおかしい――と。

さらに前田氏が「2年前にティム・クックはそろそろ代わったほうがいいと言っていたのは、この流れからということですね」と確認し、主宰者は「そういうことです。AppleのCOOがやっと出てきましたけど、僕は2年前に言っているじゃないですか」「今4人の候補者が出てきて、Apple自体もCEOの後継が」と応じている。

2026年8月時点での答え合わせ

COO交代(2025年):事実。 Appleは2025年7月8日、ジェフ・ウィリアムズがCOO職をサビー・カーン(当時オペレーション担当上級副社長)に引き継ぐと発表した。長期の後継計画の一環とされ、ウィリアムズは2025年11月に正式に退任。カーンは1995年入社の30年選手である。

CEO交代:発言の5か月後に現実化。 Appleは2026年4月、ティム・クックが取締役会の執行会長(executive chairman)に就き、ハードウェアエンジニアリング担当上級副社長のジョン・ターナスが2026年9月1日付で次期CEOに就任すると発表した。COOになったカーンではなくターナスが後継に選ばれた形である。

したがって「クックは代わったほうがいい」という2年前の読み、および2025年11月時点で「後継候補が複数出ている」という認識は、いずれも結果として正しかったことになる。一方で、この勉強会の時点でCOO交代を「後継人事の兆候」として読んでいた点については、実際の後継はCOO職ではなくハードウェア部門から出たため、シグナルの読み筋そのものは半分当たり・半分外れと評価するのが公平である。

もうひとつ、主宰者は「第4段階(組織スループット)の話をザッカーバーグもアンディ・ジャシーも最近かなりしている。だからもう4列目まで来ているのが会社の状況として見える」と述べた。これも検証できる。

📌 Claude補足:Amazonの削減は「人員削減」から「階層削減」へ移行した

Amazonは2025年10月に約14,000人の従業員を削減し、2026年1月28日に追加で16,000人の削減を発表した。累計30,000人となり、同社史上最大の人員削減で、2回分合わせてオフィス系従業員の約9%にあたる。

重要なのは削減の理由づけである。2026年1月の第二弾は明確に「反官僚主義(anti-bureaucracy)」の施策として報じられ、CEOアンディ・ジャシーはAI時代における官僚主義の削減と効率化の必要性を挙げ、過去10年の急成長で意思決定を遅らせる管理階層が積み上がったと説明した。ジャシーは2025年6月時点で、AIによる効率化がAmazonのコーポレート人員を今後数年で減少させるだろうと述べている。

これは主宰者の6段階で言えば、第3段階(Resource Redeployment=余剰人員をどうするか)から第4段階(Organizational Throughput=組織構造とプロセスそのものの作り直し)への移行そのものである。2025年11月28日時点で「米国はもう4列目に来ている」と述べていた見立ては、2か月後のAmazonの発表内容によって裏づけられた形になる。

図2:Amazonのコーポレート人員削減(2025年10月〜2026年1月)。第二弾は明示的に管理階層の削減として説明された(出典:CNBC/GeekWire報道)
Q&A

質疑応答(AI戦略パート・全5件)

Q1. 前提として外部の知見が適切に入らないと、そもそもこのサイクルに入ってこないのでは。それは前提ということか。(前田氏)
だからCTOやCIOも含めて、外部から引っ張ってくる段階に入っている。客観的な意見をぶち込んでいかなければならない。そうすると再編が起こってくる時期だということも、この図が分かれば読み込める。何かしらの内部イノベーションを起こさなければならない時期や、新技術を導入するときには、外部の意見が非常に重要になる。どれだけ客観的に自分の会社を見てもらって、悪口を言われまくってもいいから直しまくっていく企業が成長する。GoogleやMetaが社外取締役を多数入れているのは、まさにこのチェック要素にあたる。
Q2. 労働者と高スキル人材という言葉の分け方をした理由は。どちらも高度な技能が必要ではないか。(前田氏)
AIが使えることはコアではなくなってくるから。高スキル人材とはプログラミングやエンジニアリングができる人間を指す。求められる能力は今後も上がっていくので、今「AIが使えてすごい」と言われている人たちは、10年後に今の10代が使い始める頃には労働者レベルになる。昔は高スキルとされたものが普通のスキルになる時代が来る。また労働者のなかには無能な人もたくさんいて、むしろ無能の割合のほうが多いので、特化した能力を持つ層は分けておかなければならない。そして次の高スキルがまた必要になる。
Q3. 6ステップを考えると、結局PLの流れからキャッシュフローを生み出す流れになる。これがないとキャッシュフローが生み出せず、企業価値も上げられないということか。(前田氏)
まさにそこを伝えたい。最終的にキャッシュフローに反映させるために、なぜ反映できないかというと取りこぼしが多すぎるから。これを一つひとつ拾っていけば売上も利益率も上がり、効率性が高まるので、会社が勝てるのは当たり前になる。実際に米国はすでにResource Redeploymentを終えようとしていて、次はOrganizational Throughputに来る。事業の再設計を行ってくるだろうという準備をしているのが今の状況で、Metaのザッカーバーグもアンディ・ジャシーも最近スループットの話をかなりしている。だから4列目まで来ているのが会社の状況として見える。事業形態がどう変革するかが、今の評価ポイントになる。
Q4. 導入してもらうことによって、実装後の世界を見せたいが、どんな形で作ればよいか。(小賀氏)
実装後の世界は、こういう新規導入システムの場合は見えない。エラーが今後どうなるかが分かっていないので未来が描けない。むしろその後半に関しては、レジティマシー(正統性)の強化、つまりセンスメイキング理論で納得性を高めさせるしかないと思っている。「あなたの会社が今後どうなりますか」という問いは、「AIを入れてどうなりますか」に答えられますかという問いと同じ。だから前半部分(現状分析のフレームワーク)は作りやすいが、後半は相手のフレームをヒアリングして会社に置き換えて埋めていくしかない。そこに他社比較を入れて、どういう差があるかを一つひとつ会社と向き合って示すだけで全然違う。
Q5. 第2段階(従業員の習熟)と第3段階(人材再配置)が日本企業には最もできない。教育にコストをかけないうえ、再配置で人を切れるかという問題が必ず出る。この2箇所で止まってしまうのでは。(長谷川氏)
導入方法として最も効率のよいやり方の研究がある。部署単位なら、最も成果の出ている事業部か、最も成果の出ていない事業部に入れるのが最も成長率が見える。前者なら「あそこがやっているから」と同調で社内に広がり、後者なら「こんなお荷物事業部がこれだけ改善した」という事例がついて他部署も入れようとなる。この両極からアプローチをかけると一気に社内に広がる、という研究が実際にある。
HOMEWORK & NEXT

宿題・アクションアイテム

  1. フレームワークの精緻化(主宰者/期限:翌週前半)。提示した資料は本人評価で完成度20%。二次元のデータ扱いに三次元的な要素を加え、枠内に他社比較を入れて、相手が「ノー」と言えない状態を作る。
  2. 議員への提案(長谷川氏)。精査後の資料を用いて、ステップ・バイ・ステップで説明する形で提案する。相手はハーバード出身とのことで、反応そのものが観察対象になる。
  3. 投資家経由の圧力の設計(小賀氏)。保有先には「改善しなければ売る」、これから投資を呼び込みたい先には「これをやれば買われる」という二方向で提示する。SSBJの開示基準変更のタイミングと重ねる。
  4. 自社を4象限に分解する。暗黙知/形式知 × エラーコストの高低で業務を切り分け、完全自動化できるもの、AI生成+一般従業員の確認で足りるもの、人間主導でAI支援にすべきもの、高スキル人材に限定すべきものを分ける。そのうえで、どこにどのAIを入れるかを決める。
  5. 6段階のどこで漏れているかを特定する。自社および分析対象企業が6段階のどこにいるかを判定し、そこから先の段階で発生している機会損失を洗い出す。企業のAI関連の発表を6段階に位置づける読み方は、そのまま投資判断の分析軸としても使える。
GLOSSARY

用語集

SECIモデル野中郁次郎氏が提唱した知識創造理論。共同化・表出化・連結化・内面化の4プロセスで暗黙知と形式知が循環する。主著『知識創造企業』1995年。
暗黙知(tacit knowledge)経験・直感・実体験に紐づき、体系化・言語化できていない知識。この勉強会では「AIに渡せないもの」の判定基準として使われた。
形式知(explicit knowledge)明確に表現・言語化できている知識。すでにアウトプットされているため、AIによる処理と置き換えが進みやすい。
Task Efficiency6段階の第1段階。改善対象タスクの特定。日本企業の大半がここで自己満足して止まっているというのが主宰者の診断。
Employee Adoption第2段階。従業員がトレーニングを受けて使いこなせるようになる段階。ここを飛ばすと「何に使えるか」の気づきが生まれない。
Resource Redeployment第3段階。省力化で余った人員の再配置または解雇。COOの管掌領域で、2025年時点の米国大手はここにいた。
Organizational Throughput第4段階。業務プロセスと組織構造そのものの再設計。Amazonの2026年1月の管理階層削減がこの段階の実例。
Market Demand第5段階。生産能力が増えても市場を取れなければ意味がないため、営業・マーケティングの問題になる段階。
Competitive Retention第6段階。競合が追いついて差別化が薄れ利益率が上がりにくくなる段階。リサーチを再開して第1段階に戻る。
ソローの生産性パラドックス1987年のロバート・ソローの指摘。コンピュータはあらゆる場所にあるが、生産性統計のなかにだけはない。汎用技術の効果発現ラグを示す古典的論点。
生産性のJカーブブリニョルフソン、ロック、サイバーソンによる枠組み。汎用技術の導入初期は無形投資が費用計上されて測定生産性が下がり、後に回収期に急上昇する。
SSBJサステナビリティ基準委員会および同委員会が策定した日本版サステナビリティ開示基準。2027年3月期から時価総額3兆円以上のプライム上場企業に強制適用の見通し。
センスメイキング理論カール・ワイクによる、組織が状況を意味づけて納得を形成する過程の理論。実装後の世界を描けない場合の説得手段として言及された。
Inspur(浪潮)中国のサーバーメーカー。AIサーバー市場では2024年に世界第3位(約12%)、全体市場では4〜5番手圏。
ICEYEフィンランドの小型SAR衛星メーカー。2025年5月にIHIと日本でのSAR衛星コンステレーション共同開発の覚書を締結、日本国内での製造拠点設置を計画。
RPARobotic Process Automation。定型的な事務処理をソフトウェアで自動化する技術。長谷川氏が約8年前に自動車メーカーへ導入した事例として言及。